六話:鑑定の儀
神父の説明は丁寧でいて、つまらなかった。
ありがちなRPGの設定だ。
魔神派閥の魔人族と、光神派閥の天人族の対立がもうはや数世紀起こっているとか。
そして今、邪神の復活により世界は混沌に満ちている。 その代表的なモノが魔物や魔獣、それにダンジョンの進出拡大。
世界の均衡を保つため、異世界から渡り人が送られてくるのだと。 イケメン神父の話しはこんな感じだった。
「世界にダンジョンが溢れています。 このままではいずれ、世界は闇に覆われてしまうでしょう。 それを防ぐため様々な天人族の種族は一つとなり、ダンジョンの攻略に心血を注いでいるのです」
「へぇ……」
いつまで続くんだろうと思っていると。 アーリャが苛立ちの籠った声をかけてきた。
「ねぇ、話しは終わりでしょう? はやく鑑定の儀に進めてくれないかしら」
ルークは額に手をやり、神父はまだまだ話したりないといった感じあったが、祭壇に置いてあった姿見の方を指さし命令してくる。
「ではトーヤ殿のステータスを鑑定させて頂きます。 本来であればステータスは秘匿するモノですが、渡り人のスキルは珍しい物が多く、使い方を誤ると人や自分に危険を及ぼす可能性がありますので、確認させていただきます」
珍しい物とな?
ユニークスキルとかですかねぇ。
「また、保護してくださいましたルーク殿とアーリャ殿にも鑑定の儀に参加する権利がございますのでご了承ください」
「そうなんだ?」
「保護した奴の特権ってやつだな。 渡り人は未知のスキルやジョブを持っているって話しだ。 気になるだろう?」
まぁたしかに。
レアスキルとかユニークとか、ネットゲーマーだったら興味津々ですな。
「それにな――」
「ではお願いします。 神父様」
ルークの言葉を物理的に――怪しく光るヒールで――遮ったアーリャ。
神父様はくぐもった呻き声を上げ屈んだ男を一瞥し、鑑定の儀へと移った。
「では、ここに立っていてください」
大きな姿見の前に立つ。
映るのは俺。
それに覗き込んでいる薄紅色の髪をした碧い瞳の美人、アーリャだ。 ルークはまだ足の甲を押さえている。
「いきますよ!」
鏡は輝き、徐々に文字が浮かび上がっていく。
それがどうやらの俺のステータスらしい。
俺はゴクリと喉を鳴らし、光の文字を見つめた。
しかし……。
「……読めねぇ」






