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一話:プロローグ①

色々あって久しぶりの投稿。

皆様の暇つぶしになれば幸いです(^^)/



 俺は呟いた。

 

「MMOがやりてぇ……」


 久しぶりの休日にもかかわらず、家に籠り適当にネットを徘徊し、学生時代にはまっていたようなゲームを探してみるが、どれもやる気のおきない代物ばかりだ。

 

「なんでだよ……」


 悲しい気分になった。

 

 寝る暇も惜しみ、無限に沸くMOBを狩り続けた学生時代。

 競う好敵手(ライバル)、最高の仲間たちと築いた最強ギルド、手にした栄光は人生の思い出の中でも一層と輝いている。 


「年を取ったからかな……」


 昔よりもグラフィックは優れ、便利になったゲームもたくさんある。 けれど、俺の食指は動かない。


 長年の社畜人生。

 まだ三十歳なのに、額の面積は広がり、不規則な睡眠と不摂生から体はボロボロだ。

 そして肉体以上に精神は病んでいるのかもしれない。


 それでも俺は……。


「はぁ……んっ!?」


 気になるサイトを見つけた。

 見間違いかと、目を擦り画面ギリギリまで顔面を近づける。 

 余計に見づらくなったので、顔を少しづつ離していく。



『体感型VRMMO、ついに始動!! 来たれ冒険者。 異世界が君を待っている』


「体感型――VRMMOぉおおおおおおおおおおおおおおおッ!?」


 俺は叫んでいた。

 VRの進化は進んでいると、聞いてはいたが、まさか生きているうちに体感型のVRMMOが開発されてしまうとわわわっ!

 

 まさに、――青天の霹靂ッッ!!



「ふぅぅ……!」

 

 椅子の背もたれに限界まで体をあずけ首を反り天井を見つめていたが、大きく息を吐き出しながらホームポジションに戻る。


 みつけたサイトには、ゲームの世界と思われる画像と、オープンベータのテスター募集の文字。

 一切迷わず募集のアイコンをダブルクリック。

 募集要項には当社のVR機器セット(30万)の購入が必須とあった。 


 俺は一瞬迷いつつ、VR機器セットの購入を進めた。

 

「サラリーマンを舐めるなよ?」


 特に独身リーマンの娯楽欲をな!

 まったく聞いたことの無いメーカーだったので、詐欺ではと疑ったが、結局は一瞬のうちに買うことを決断。 VRMMOという魅力には抗えなかった。


「一ヵ月後か……」


 OB開始は一ヵ月後。

 VR機器はすぐに届く、調整をする必要もあるようだ。 

 俺はスマホをとり電話をかける。


「お疲れ様です。 戸矢です」


 電話相手は会社の事務のおばちゃん。

 『あぁ、ちょうどよかった』などと、こちらの要件すら聞かずに仕事の話しを始めようとしてたので、俺はさらりと一言告げてみた。


「会社辞めるんで、有給消化をお願いします」


『はぁあ!?』 


 クソブラックの会社に対して恩義なんて微塵もないのである。

 10年働いて、初めて有給を使う。 ずっと使いたいと思ってたけど、言い出せなかった。 まぁたとえ言ったとしても取らせてくれなかっただろうけど。

 

「ふふふ……」


 貯金は無駄にある。

 一人なら十年は暮らせるだろう。


「楽しみだ」


 その先なんて知らない。

 俺は今、MMOがやりたくてしょうがないんだ。

 








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