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課金八万円目。シンフォ

 チュートリアル終了から1か月後。


 いろいろあったのだが、まず最初に語らなければならないことは帝国と全面戦争に突入したということ。


 始まりの村に王国の正規兵が集まり、今後、王国と帝国の境目となる始まるの村は重要拠点となる。


 その際、国王に謁見し、勇者として王国に忠誠を誓った。まだまだ太郎のレベルは低いが雲上人の加護を受けているという事実に、誰もが太郎を勇者と認めた。


 王国にはこんな伝説がある。国の危機が訪れ、邪神ドラゴンの災厄が訪れるとき、空から降ってきた雲上人の加護を受けし勇者が誕生し、必ずや災厄を防いでくれよう、と。


 と、まあ、難しい話はこんな感じ。それよりシンフォの話をしたい。


 青い瞳。青い髪。10歳のエルフの少女シンフォ。彼女には魔法の適性があった。


 チュアの時と同じように魔導書を作成し、シンフォに魔法を勉強してもらう。


 シンフォは漢字の読み書きを覚えるように魔法を覚えていった。適性は青の魔法。もともと知能の高いエルフだからこそできる芸当だろう。


 そんなこんなでこの1か月間。シンフォと遊びまくった。


「わ~い。お兄ちゃんですよ~」


「きゃぁあああ」


 始まりの村。村長の家。太郎がシンフォを追いかける。裸で。


 裸で。


 太郎は裸のシンフォを追っかけまわし、シンフォは嬉しそうに声をあげる。


「きゃぁあああ」


「ぐへぐへ、ぐへへへ~」


 ズバッコーン。後ろから叩かれる。


「痛っ? 何すんだよチュア?」


 裸姿の太郎の後頭部を叩いたのはチュアだった。


「何してるじゃありません。倫理規制です。今時10歳の女の子の裸は規制の対象です」


「別に性的な意味はないよ。ただ一緒にお風呂に入るだけだ」


 そう。この1か月間、太郎はシンフォを実の妹のように育てた。


 シンフォは10歳の相応の元気さやお転婆を兼ね備え、太郎と一緒に鬼ごっこをしたり、お馬さんごっこをしたり、とにかく走り回った。小学生の子どもはとにかく走るのが大好きだ。歓声をあげながら、きゃっきゃ、きゃっきゃ、と追いかけっこだ。


「この1か月間すごく仲良くなったんだぞ。寝るのはいつも一緒。毎日、川の字になって寝るんだ」


「そんなロリコン話はどうでもいいです。大変です。帝国の本隊が始まりの村に進撃を開始しました」


「大丈夫だろ。王国の正規軍が守ってくれるさ」


 この1か月間。何度も帝国兵の攻撃を受けた。しかし、すべて正規兵が守ってくれた。


 帝国の方にも勇者の噂は流れている。何でも雲上人の加護を受け、魔法使いを育てているという話しが帝国中に流れているようだ。指揮は低いらしい。当然だ。太郎は邪神ドラゴンから世界を救う勇者。帝国は勇者を相手取っているとなれば罪悪感でいっぱいになるだろう。


 と、すれば帝国も下手は打てない。勢いあまって勇者を殺してしまっては民衆の支持は下がるだろう。


 帝国は密偵を繰り返している。


「だから本隊なんて嘘っぱち。もういい? 俺はシンフォと風呂に入りたいんだ。ぐへへ~お兄ちゃんが背中を流しちゃうぞ~」


「きゃぁあああ」


「はぁ……もういいです、はい。シンフォと遊んでてください」


 チュアは深いため息をつく。


 甘く見ていた。将来的に太郎は後悔することになる。帝国は最強の戦士を戦場に送りこんでいた。


 まだチュートリアルが終わったばかり。そんなの人生において関係ない。


 だって人生はいつ不幸がやってくるか分からない。徐々にレベルアップして、最後にラスボスと戦う。そんなステップアップ、学校の勉強くらい。人生は突然だ。小学生がいきなり高校のセンター試験を受けさせられるくらい理不尽極まりない。


「だってあんたもそう思うだろう? チュートリアルが終わっていきなり中ボスの敵が出てきたら、そんなのクソゲーだ」


 王国の正規軍500人。訓練された村人150人。その他の村人。全滅した。始まりの村は一夜にして帝国の植民地と変わり果てる。

魔法使いシンフォニックポエム レベル20

HP:C

攻撃:B

速さ:C

守備:C

魔防:C

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