課金六十九万円目。日本での共同生活
日曜の朝。東京のボロ一戸建てをあてがわれた太郎たちは楽し恥ずかし生活を送っていた。
「じゃ、行ってくるっす」
「兄さん、また競馬ですか?」
「そっすよ~、高校生は勉強してください」
名無しが手を振って出かけていく。日本に戻り、転職活動が上手くいかず、競馬で食ってやる! と意気込んでいたが順調に資産を崩している。それでも名無しは楽しそうに出ていった。
「自分がいたら3人の邪魔っすからね~」
「いやいやいや」
と、大人が出ていったところで、十代組3人がどうなったかというと。
「風呂でも入るか」
太郎が朝飯の準備をし、一人分片付いたところでシャワー室に行く。すると、
「きゃぁあああ!!!」
またしても出くわしてしまった。
「ごめん、歌子姉」
日本に戻って以来、融合して竜騎士になった影響か歌子とシンパシーが合うようになってしまった。トイレに行こうとしたら、トイレでバッタリ出くわし、風呂に入ろうとしたら、風呂でバッタリ出くわす。いわゆるラッキースケベが多くなった。特に歌子姉。
「あの龍神め、余計なことを」
なぜかお互いの露出を見る頻度が高く、妙に意識してしまう。今日も歌子姉の下着姿を拝み、好感度をがくっと下げてしまった。
「太郎、スケベ」
2階から朝食を取ろうと降りてきたタイガと出くわす。彼女は中学を卒業し、高校に行かず引きこもっている。ネットビジネス在宅ワークを駆使し、家に居ながらお金を稼いでいる。元々秀才の彼女は高卒認定を受けて、太郎と同じ道を進むと言い出した。
「いや、ごめん、すまん」
「謝罪は食堂で聞く」
こんな感じでシェアハウスの朝は騒がしい。いつも兄貴が競馬に行き、姉が黄色い悲鳴を上げ、妹に怒られる。こんなちぐはぐな共同生活であるが、なぜか毎日が充実している。
「今日はデートなんだからオシャレしてね」
「りょ、了解」
家族元を離れて4人での共同生活。今のところタイガくらいしか稼ぎを出していない、こんないたらない家族だけれど、みんな夢に向かって邁進していた。
「さて今日も頑張りますか」
ゲーム界隈で第一人者になるため、太郎はデート前にゲームをしていた。ただしバイトを辞めたので今は無課金でソシャゲをしている。余ったお金は夢のために。専門学校の入学金を捻出するために貯めていた。
「ちょっと二人だけでずるい。私も行くわ」
「歌子姉。勉強は?」
「たまには息抜きも必要よ」
バスタオル姿の歌子がデート前のカップルを呼び止める。勉強は順調に成績を上げているらしい。
毎日が修羅場の共同生活を太郎はなんとか過ごしていた。




