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課金五十五万円目。決戦前夜

 始まりの村でテントを張り、バチバチと薪を焚いて火を燃やす。


 有象無象の集まった王都解放軍は、のじゃロリ様の配下、宿敵エピックを倒すために決起する。


 歌子の仕上がりは上々。レベルキャップを開放し、このくそったれな世界に終わりを告げるため、剣を握る。


「聞けぇ、みんな」


 キャンプ場に集まる王都解放軍。リーダーの歌子が激を飛ばす。


「明日、私たちは王国の都市に攻め入る。帝国兵の諸君、集まってくれた皆、今日までご苦労。明日、すべてが決着する」


 歌子、太郎、名無し、タイガの立てた作戦は一夜城のように一日で王都を陥落する作戦。王国の見張りの兵士を振り切り、全軍を一気に王都まで運ぶ強硬策。なぜこのような作戦をとるに至ったかというと、食料の問題があったから。長期戦になれば始まりの村を拠点とした王都解放軍の不利は自明の理。


「絶対に勝つぞぉおおお!!!」


 歌子は大声をあげる。続いて、王都解放軍のメンバーが雄叫びをあげた。


「おぉぉぉおおお!!!」


 決起集会が終わると宴会に突入する。今ある食料で最高の物を振る舞う。ワイン、肉、魚。自然のフルコース。


 キャンプ地の特等席でお酒をご馳走され、歌子と一緒に語り合う。


「太郎、私の人生は平凡だった」


 日本人だったころの話だ。


「中学受験をして、良い学校に入り、良い大学に入り、良い大企業に入り、年金をもらう。そんな人生だとずっと思っていた」


「ああ」


「でも違った。私はゲームの中に飛びこんで人を殺しまくる生活を送った」


「人じゃない。人格はあるがゲームの中のデータだ」


「そ、そうだな」


 少し酔っているのか顔が赤い歌子。太郎は水を差しだす。


 帝国の将軍として歌子はずっと無理をしていた。斬って斬って斬りまくった。日本に戻るために修羅と化した。でも、もう終わり。


「歌子、明日ですべてを終わらそう。最終決戦だ」


 太郎たちは血を流しすぎた。たくさん傷ついた。でも大切な出会いもたくさんあった。


「こんな時に言うのも変だけど、俺は生きてるって実感するよ」


 日本に帰るためにする努力。人が何かを頑張る姿は美しかった。


 太郎がワインのグラスを差し出す。歌子が反応する。


「ああ、終わらそうじゃないか」


 ――キンッ。


 ガラスの小気味好い音が鳴る。乾杯。二人は明日の勝利を誓い合う。


 バトロワの最終決戦。太郎、歌子、名無し、のじゃロリ様。誰が日本に戻るのか、明日、決まる。


 始まりの村のキャンプ場にて。王都解放軍のバカ騒ぎで一夜が過ぎていった。

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