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課金五十四万円目。ふわふわタイム

 打倒エピックに燃える中、並行して歌子の修行が始められる。


 課金によるレベルキャップの開放。彼女はソシャゲ関連に課金したことがなかった。


 そういえばキャラの掘り下げをしていなかった。と太郎は気づく。


 歌子がどんな日本人で、どんな女性で、どんな経歴の持ち主か未だ不明のまま。


 きっと会ってすぐにトラジコメディでのレベル上げを言い渡されたからだろう。太郎は彼女の内面を知らないまま今を迎えてしまった。


「お互いリーダーなんだし、もう少し交流してみるべきか?」


「それは必要ないでしょ」


 夜。キャンプ地で眠れず、静かな時をタイガと二人で過ごす。水辺に移動し、幻想的な湖をぼんやりと見つめる。人と虎。体毛に埋もれながら太郎はすやすやと心地よい時を送る。


 タイガは犬のように鼻先を付け、舌で舐めた。人間の姿でやればR18ものだが、人と虎。どこもエッチな雰囲気はない。たぶん大丈夫、ただ白虎に愛撫され舐められただけだ。


「くすぐったい」


「あんた、あいつと戦ったんでしょう?」


「ああ」


 そういえば剣をフェイクに拳闘士のように戦った記憶がある。勇者だった太郎はそこそこいい感じで歌子を撃退できた。八とやったときは手の上で踊らされ、体幹で無効化された。苦い思い出だ。


「なら大丈夫。戦士たるもの、言葉がなくても心で通じ合う」


「二人ともちょっと脳筋過ぎませんかね!?」


 お、おいっと驚く。


 社会人は一緒に仕事をするよりも一回の飲み会の方が相手の気持ちが分かると聞いたことがある。太郎は高校生なのでお酒の席はなかったが、ここの住民たちは戦うことで相手のことを十全に知るようだ。


 シックスセンスと呼ばれる第六感のようなものだろうか?


「ピーンっているじゃない?」


「あの拷問姫か?」


 太郎の顔を変えた悪魔。ピーン・ファンタジアは、今は仲間だ。


「彼女、直感◎を持っているわよね」


「ああ」


「女の勘っていうか。私たちは戦いにおけるそういうのが鋭いのよ」


「へー」


「ペロッ」


 タイガが舐める。くすぐったい。


「虎は人間と違って舐めるだけで相手の体調を知ることができる。ピーンとか竜人とか変わった特徴の人もしかり。そういう能力なのよ」


 太郎は持っていないが『鑑定』の能力に近いかもしれない。


「あたしたちは常に全力で挑まなければ死んでいた。だから五感が過敏に反応するの。自然界のサバンナで同じこと言える?」


「はいはい、悪かった。俺の能力不足です」


 タイガが甘噛みする。人間同士でやるとアウトだけれど、虎だから問題なし。牛なら乳を揉んでもエロくないぜ。


「お二人は付き合ってるんすか?」


「シャー!!!」


 唐突に現れた名無しに、なぜか猫のように毛を逆立てたタイガが真っ赤に反応した。

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