課金五十一万円目。無双のお時間4
「お帰りっす、太郎さん」
「ただいま、ここは?」
目を覚ますと懐かしい風景が広がっていた。
ディーヴァこと歌子にレベル上げを命じられた場所トラジコメディ。相対するは盗賊王のトラジディ。彼は機械兵器のアーベントを駆使して太郎たちを追い詰める。
懐かしすぎて涙が出る。別れは辛くて悲しかったが、人というものはひょうきんなもので、戻ってきては戻ってきたで感動を得る。エピックの屋敷はずっと引きこもり生活だったので、久しぶりの外だ。
快晴。意気揚々とお天道様を見上げる。眩しい空は温かく太郎を迎えてくれた。
「ただいま、俺」
「ところで太郎さん。ピンチっすよ」
大きな腕が振り下ろされる。大剣が地面をえぐり、怒号が飛ぶ。
「反逆者には死を!」
パワードスーツに身を包んだ盗賊王のトラジディ。彼は機械兵器のアーベントを乗り回す。
まあ、あれは天使が作った近代兵器。たぶんエピック辺りが指揮して製造し、トラジコメディに流したのだろうと予想する。
「やばいっすよ、太郎さん」
「名無し。俺はどのくらい寝てた?」
「数秒ほどです。あの金貸し、自分のところにも挨拶に来たっすよ」
「なるほど」
エピックの屋敷で過ごした長期間はたったの数秒。本当に天使サイドは化け物揃いのチート級ばかり。こんなところで立ち止まっているわけにはいかない。進み続けなければのじゃロリ様に申し訳ない。
(絶対にのじゃロリ様の期待に応える。日本に戻る!)
剣を構える太郎。アーベントの大剣を空中で捉え、天空を発動する。
太郎の斬撃で盗賊王トラジディの乗っていた機体は真っ二つに割れ、粉砕した。
「楽勝♪」
「太郎さん、それは?」
名無し、改め、魔王は気づいたようだ。太郎がチートを有しているのを。
「あなたはやはり天使の味方でしょうか?」
「いんや、天使は敵だ。親友と書いてライバルとも言う」
振り返る太郎。後ろで爆発するアーベントを尻目に、盗賊王は青ざめて逃げ去る。
「そうよ、魔王。今はあんたの味方ね」
八の声が聞こえた。
「おお、八さん、戻ってきた……え?」
びっくり仰天。八は虎になっていた。真っ白な体毛の白虎。大人一人が楽々乗れるほどの大きさ。喋る虎。
「私は八じゃない。タイガと呼びなさい」
「えええ、タイガさん?」
「そうよ。八は絶賛引きこもり中。私は白虎のタイガよ」
「わ、わかりました。タイガ」
タイガからはめちゃくちゃな強さを感じる。魔王もそれを感じた。
「はっはっは、いんや~太郎さん最高っすよ。アーベントを一撃で倒して盗賊王を蹴散らし、この街はもう太郎さんの物っすね」
トラジコメディどころか、先の大戦で、帝国そのものが魔王の支配下にある。しかし、王国の方はいつの間にかのじゃロリ様たちが支配していた。
「魔王、あるじ様から伝言よ。決着を付けよう、太郎と歌子ちゃん供においで、ってね」
「なるほど、今回の天使は超絶ハードモードっすね。楽しみです」
「ちなみに私は一匹の虎だから、ただの太郎の味方よ」




