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課金五万円目。肥料

 内政の始まり、始まり。


 内情視察から。太郎は始まりの村を見回る。すると、あることに気が付く。村長にたずねてみる。


「この村は農作に力を入れてないんですか?」


 馬や牛を育てる草原は豊かだけれど、田畑は荒れていた。


「はい。私どもの村では牧畜が主流でして、農作物に力を入れていません」


「それはいけない。実は農作と牧畜は相性がいいんですよ。肥料とか」


「肥料とは何ですか?」 と村長。


 この世界に肥料という概念はなかった。荒れた田畑は捨て、新しい土地に農作物を育てていた。そんなの二度手間どころか土地まるまるを放棄しているのと同じことだ。実にもったいない。


 太郎、閃く。


「分かりました。内政は肥料にしましょう」


 太郎の簡単内政クッキング。


「まず馬の糞を用意します」


 馬は1日に15~25kgのウンコをする。100匹の馬を飼っているとそれだけで大変な量。疫病の原因にもなる。


「次に魔法使いを用意します」


 緑の魔法。完全発酵させる。

 赤の魔法。加熱処理させる。


「あとは簡単。てていのていっ! で肥料の完成です」


 肥料は馬の糞のほかに牛や鶏の糞を使った。良質な肥料はそれだけで田畑を潤す。


 始まりの村の荒れた田畑は良質な肥料によって蘇った。


「はい、完成。内政はこんなもんかな」


「おお……さすがは勇者様。これで農作物が育つのですね?」


「ええ、この世界は土地が豊富に余っておりますが、それでも空き地のままにしておくのはもったいないです。有効活用しましょう」


 この世界は安全な水を飲むのにも一苦労だった。なので魔法使いの用意を。


 赤の魔法。川の水を加熱処理。

 青の魔法。ミネラルウォーターの出来上がり。


 一週間にして良質な肥料、ミネラルウォーター、豊かな田畑の完成!


「おおお!!! さすがは勇者様。お見事です!!!」


 村長が目を見開いて喜ぶ。


「ちっちっち、これだけじゃありませんよ、村長さん。ここからが腕の見せ所です」


「ほほう? まだ何か秘策がおありですか?」


「ええ。これより始まりの村でクラウドファンディングを始めます」


 クラウドファンディングとは、不特定多数の人が通常インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うことを指す、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語である。ソーシャルファンディングとも呼ばれる。(Wikiより)


 太郎は始まりの村にやってくる商人たちにクラウドファンディングを持ち掛けた。


「お兄さん、お兄さん、うちの村で作った肥料はどうですか?」


 とか。


「お姉さん、お姉さん、下痢になる心配不要のミネラルウォーターはいかがっすか?」


 とか。


「今ならうまい野菜が作れる田畑を安く売りますよ!」


 など、商人たちに片っ端から声をかけた。


 ここで留意してほしい点は、太郎は商人に物を売ったではなく投資を持ち掛けたのだ。


 肥料やミネラルウォーター、農作物の資金提供を呼び掛けた。また、人口が1000人しかいない村なので労働力を商人から譲ってもらった。村はみるみるうちに活気づいていった。


 村長は恐れおののく。


「勇者様、まだ試作品しかできておりませぬのに、お金がみるみる集まっておりますぞ!?」


「ええ、これがクラウドファンディングです。必要とする金額が集まってからプロジェクトを実行すればいいのです」


 この内政の成功にはからくりがある。

 それは勇者だ。

 商人たちは勇者の扱う未知なる肥料や魔法に興味津々だった。魔法の商業化。これほど商人たちの心を揺さぶる出来事はなかっただろう。そう確信が持てる。


 青の魔法により、目の前で飲める水が作られる現象は、普段お湯しか飲まない商人たちの心を鷲掴みにした。


「あんたのおかげで助かったぜ。魔法の普及。今後の課題にしよう」


 内政はまだまだ続く。

馬糞堆肥、牛糞堆肥の作り方


一、水分調節した馬糞や牛糞を雨が当たらないように積み上げる

二、2ヶ月たったら、堆肥をよくかき混ぜて積み直す

三、さらに2ヶ月後、2と同じことをする

四、堆肥の熱が下がりだしてもそのまま放っておく

五、作りはじめてから半年ほどたつと完成


半年ほどかかる過程を本作では魔法により1週間ほどに縮めております。

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