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三十八万円目。VS九④

 モニターに映し出された株価は上昇を続ける。S&P500はアメリカの優良企業を500社の株価の平均であり、リーマンショックも何のその。上がり続けています。


 バフェットの言う初心者はS&P500のインデックスを積み立て続けなさい、のあれです。


 バフェットの親族にはアメリカ株を九割、アメリカ国債を一割、と言っていますが、二十代でしたら100%S&Pを買えばいいでしょう。リスクも増えますが、リターンも大きいです。もしリスクをヘッジしたいのであれば預貯金を増やせばいいのではないでしょうか? まあ、アメリカ国債を一割で大丈夫でしょうが。


 さて、勝負に戻りましょう。口数少ない太郎さんが動きます。


「なあ、九さん」


「何ですか?」


 うっすら笑みを浮かべる彼は不気味です。


「なぜ俺がここで喋ったか分かるか?」


「それは、おそらく十の能力『画竜点睛を知る』でタイミングをはかっていた、」


 ――うっ!? ……はかっていた?


 私は気づきます。彼の相棒は十です。未来予知のできるドラゴンです。ならば、ここまでの展開は予想通りなのです。なぜなら十がまったく口を開かないから。助言一つしていません。バトル開始と同時に株勝負の終わりを見通していたはず。


 もしも、もしも、この展望が読めているとしたら、最後には太郎さんの反撃が来ます。120%勝つはずだった私が負けるのです。ありえない。残り三か月。私はFRBを動かそうとして、すかさずに太郎さんは動きました。


 魔法カード発動『北朝鮮のミサイル』!


「狙いは日本。国土に核弾頭ミサイルを発射する」


「はあああ!?」


 仮想市場では北朝鮮のミサイルが発射されたことにより、日本の迎撃ミサイルが同じように射出されます。しかし、問題はそこではありません。シュミレーション内で北朝鮮の暴挙によりあれが始まります。


「嘘。第三次世界大戦?」


 そうです。太郎さんの日本を狙った核攻撃でアメリカが怒り、国連が怒り、FRBが怒ります。株価は大暴落。日本市場もアメリカ市場もリーマンショック級、いや、それ以上の下落を見せます。


「……魔法カード発動。FRBの介入」


 私は死にそうになりながらも手を打ちますが、時すでに遅し。第三次世界大戦の勃発と同時に株勝負は終わりました。日本の株価は大暴落し、安全資産であるはずの国債も売られます。日本という国の危機に機敏に反応した投資家が株も国債も手放しまくったのです。そりゃそうだ。核を撃たれるような国に投資したくはありません。


「勝負は終わりだ。結果を発表する」


 十がモニターを確認します。私のポートフォリオが発表されました。アメリカ株を十種買ったインデックス並みの成績を上げています。もちろん最後は第三次世界大戦が始まったので大暴落です。


 次に十の成績が発表されます。アメリカ株、日本株、国債を買っていた十は悲惨でした。私以上の損失を出しています。


 当然でしょう。あんな終わり方をされては誰も勝ちません。太郎さんが仮にGAFAを買っていたとしてもS&P500に全投資していたとしても、はたまた100%国債を保有していたとしても大暴落です。


 きっと私の方が高いはず。


「自暴自棄になるとは思いませんでした。しかし、5年は大きい。配当の差で私の勝利でしょうかね?」


「まだ勝負は決まっていません。画面を見てください」


 なぜか太郎さんが自信満々で言い返します。


 第三次世界大戦の勃発で終わったこの勝負。日本国債もめちゃくちゃです。太郎さんに勝機はありません。それでも心配になった私は杞憂であることを祈り、モニターを眺めます。


 私の耳に太郎さんの声が届きました。


「罠カード『フェイクニュース』を最後に発動。すべては嘘でした」


 十が結果を公表します。


「この勝負。太郎さんの勝ち。九の負け」


「は?」


 ――はぁあああ? 一体全体何故!?

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