課金三万円目。チュア
紹介された幼なじみは村娘という言葉にぴったりの地味子だった。髪型はおさげ。そばかすが少々。
ヒロインではない。ゲームでいえば最初からいる仲間キャラクターといった感じだろう。たぶん弱い。
ステータスを確認すると村人レベル10と同じステータスのオールDだった。
「初めまして勇者様。オーヴァーチュアと申します」
「太郎といいます。よろしく」
この娘が本当に頭がきれるのか確かめてみることにした。
「勇者とは仲が良かったの?」
「犬猿の仲でございました」
「ふ~ん。試しに俺を怒らせてみて」
ちょっと無茶振りする。どんな反応を示すかワクワクする。
「シコシコ太郎」
「え?」
空気が凍った。いきなり下ネタとは……オーヴァーチュアちゃん……恐るべし。
「え~と。オーバーチュアさん。そのニックネームの由来を聞いてもいいですか?」
「はい。太郎さんの前の体。勇者様はオナニーがお好きでした」
(――本当かよ勇者!?)心の中で突っ込む。
「彼は村の衆とよくチ〇コの大きさを測っては風呂場で射精飛ばし大会を行っておりました」
どうやら太郎の記憶が戻る前の勇者は、白い液がどこまで飛ぶかの競争をやっていたらしい。風呂場でチ〇コの大きさを比べて負ける。腹いせにオナニーマスターの勇者は白い液を、ビュッビュッ、と飛ばして男の誇りを守ったそうだ。だからシコシコ太郎。うん、なんか納得。
「なんてハイレベルな下ネタなんだ。シコシコ太郎。そのニックネームは心にグサッと来る」
「私よく男湯に行って勇者のチ〇コに蹴りを入れてたんで。はい」
オーバーチュアは銭湯の番頭をしており、ひんぱんに勇者たちを注意していたそうだ。それでも勇者たちは白い液飛ばし大会をやめなかった。何が彼らをそこまで動かしたのか。謎だ。
「下ネタを口にして微笑一つしないなんて。まさに氷の女。アイアンメイデン。オーヴァーチュアさん。なんて恐ろしい女なんだ」
「あ、チュアでいいですよ。長いんで、はい」
とにもかくにもチュアには魔法使いになってもらわないと困る。今の村人だけでは帝国軍の重装鎧を倒せそうにない。簡単に、チュアに魔導書を読んで勉強してもらうようにお願いした。
「かくかくしかじかなんだ。どうかな?」
「そうですね。男湯で白い液を飛ばす困ったやつの死にざまを近くで見れる良い機会ですね」
「怖いよ」
「私、魔法使いになります。そしてシコシコ太郎の背中にぶっ放します。魔法」
「ニックネームはそれでいいから、味方に魔法を使うのはや~め~て~(懇願)」
村娘オーヴァーチュア レベル10
HP:D
攻撃:D
速さ:D
守備:D
魔防:D