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二十五万円目。麻雀

 麻雀という中国古来のゲームが存在する。詳しいルールは省くがギャンブルといえば麻雀というイメージが強いし、ヤンキーや不良の遊びであるといった昭和的なイメージがあり、さらには最近の萌え文化による麻雀の普及が目立つ。


 とにもかくにも。太郎は麻雀を打っていた。


「リーチ!」


 リャンウーパー(2、5、8)の良い待ち。必ずあがれると踏んだ。


 話はさかのぼること少し前。


 エピックから紹介された最初のメイド“十”とのバトル。


 彼女が示した勝負内容は麻雀だった。


 執事長を自称する十は一番年上のお姉さん。アラサーというやつでメガネが似合う巨乳のメイド長。


 若ければ高校の委員長と呼ばれていたかもしれない外見に理知的な印象を受ける。


 そんな頭のよさそうな十との勝負に、八、九を加えたメイド四人での麻雀を始めた。


 ルールは簡単。半荘で一度でもトップを取れば太郎の勝ち。逆にトップを取れなければ太郎の負け。無制限に挑んでも良いということに。


 で、あるから東風の親を太郎はガンガン攻めた。


 あがることができれば親の満貫で12000点。しかも待ちは三面張。十の能力は未知数だけれど絶対に勝てると思った。


「良い待ちですね」


 と呟く十。


「十さん。この勝負。本当にイカサマも三味もなしと信じていいんだな?」


「ええ、私の能力以外はイカサマも三味線もしないと断言しましょう」


 麻雀にはコンビ打ちというものが存在する。太郎の場合、相手は十であるが、両脇に八や九のメイドがいて彼女ら三人で組むことが可能だ。例えば、差しこみ。十の考案したルールでは、いくら喋っても良いルールなので、十が欲しい牌を、それがポンでもチーでも、簡単に八や九が捨てることが可能だ。


 八や九はただのおまけ。本人たちもタンヤオを狙いつつ、リーチがかかれば完オリに徹すると宣言している。


 さて、では標的は対面の十ただひとり。太郎はゲームの簡単さに呆れかえっていた。


「いくら超能力者が相手でも麻雀は運が勝敗を決める勝負。絶対はない。まして挑戦回数は無制限で一度トップになるだけで俺の勝利となる。簡単すぎやしませんか?」


「くすっ。どうでしょうね」


 真面目系アラサーが腕を動かす。イカサマの気配はない。


 この勝負楽勝だな、と太郎は思った。なぜなら太郎の麻雀歴はざっと十年以上。哲也、アカギ、むこうぶち、咲などあらかたの麻雀漫画は読みつくしている。


 たとえ雀鬼が相手であっても100回挑めば一回は必ず勝てる。麻雀とはそういうゲームだ。


 100局して一度トップを取るだけ。単純計算で麻雀の勝率が25%なのだと考えると楽勝だ。4局以内に勝利してしまいかねない。嬉しいことに上家と下家はタンヤオ狙いのベタオリ。とても勝てるような打ち筋ではない。勝率は半々に思えた。


 十の能力次第。そういうことだ。


 三味線がありだというなら探りを入れる。


「十さんの能力は半荘を100回やれば100回ともトップが取れるというんですか?」


「まあ、そんなところです」


 あっさり宣言した。何その大魔王? インターハイ王者とプロを相手に勝つ女子小学生を連想した。


 細々とした会話の中、


「ツモ!」


 太郎はあっさり満貫をあがってしまう。12000点の+。


 楽勝かに見えた麻雀対決。


 三十分後。


「……ま、負けました」


 太郎はあっさりと二位で負けた。

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