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GAME OVER

 目が覚めるとそこはお風呂であった。温かいお湯につかっていた。


 貴族御用達の立派な大浴場。周囲に着衣したメイドが十人ほど円を組んで中央の太郎を見守っている。


「ここは?」


「気がつきましたか」


 見るとお風呂の真ん中で全裸の女性が立っていた。バスタオルをはおり、仁王立ちしている。


「初めまして勇者様。私の名前はエピック。あなたをご招待しました」


「状況を説明してくれ」


「いいでしょう」


 エピックはお湯につかり、太郎に詳しい説明を始めた。


 太郎が勇者であること。前の世界でアーベントに殺されて死んだこと。パラレルワールドであるこちらの世界に生き返ったこと。エピックの話は荒唐無稽で今の太郎に理解しがたい内容が多々含まれていた。


「その、つまり、なんだ……。俺は死んだのか?」


「はい。その通りでございます」


 太郎が死んだことによって世界が変わった。ゲームサーバーが変化したと考えてよい。事実上のゲームオーバーではあるが、この世界に再召喚されて、まだ元の世界に戻る可能性が秘められている。


 太郎の目的はバトルロワイヤルに勝利し、元の世界に戻ること。


 王国。帝国。天界。魔界。それぞれに住む日本人を倒して世界を統一すれば良い。


「あなた様は敗れたのです。ですがご安心を。この世界はシステムは違えど、前の世界と同じように機能しております」


 エピックの話では、前の世界は太郎のやっていたソシャゲを元に作られていた。しかし、今度の世界は違うシステムによって運用されているそうだ。


「この世界は前の世界とシステムはまったく違いますが登場人物は似通っています。そうですね。ニューゲームと考えてください。①と②のゲームがあり、①のゲームを途中で飽きてやめてしまったので、①のデータを引き継いだまま、②のゲームを始めたとお考え下さい」


 エピックは異世界転生でいうところの神様の役割を果たした。死んだ者に最初の設定を教えて特典として素晴らしい力を授ける。


「なるほど。で、俺は何をすればいい?」


 この世界は前の世界と同じではない。太郎が発揮したABCシステムは存在しない。もっともチートで無双したところで天使の最終兵器であるアーベントに負けてしまったのだから本末転倒もいいところではあるのだが。本当に申し訳なくなる。誰に? 前の世界の仲間に。


 結局、一人では何もできないのだ。異世界転生の数々の主人公が自分一人で道を切り開いていくのに対して太郎は弱い。最初の街に留まるどころか冒険して早々に死んでしまった。


 クスっと微笑むエピックは中腰で太郎に近づく。


「安心してください。前の世界では指導者が悪かったのです。ディーヴァは名無しというドラゴンを手に入れて無類の強さを発揮しました。天使は外れでしたね。今度はお任せください」


「へえ。ゲームオーバーになって①から②のゲームにやり直しかい。今度は誰が指導者になってくれるんだい?」


「はい。私でございます」

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