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課金二十三万円目。無双のお時間3

「ABCシステムを起動。スキル習得に入る。名無しよろしく!」


 ダンジョンタワーを攻略後、トラジコメディの広場に集まる。周囲はホームレスの人たちが数人ほど。


「了解っす」


 今回、暗殺者の名無しが披露するのは壁走りというスキル。重力に逆らないながらビルを登ったり、地面と平行に壁を走ったりすることができる。暗殺者必須のスキルだった。


 本来は習得に1年以上を費やすスキルだが、盗賊の太郎はABCシステムを使い、見ただけで暗殺者の壁走りを習得した。


 名無しは広場にある大きな木を壁走りで垂直に上り、下りは螺旋を描きながら戻った。


 ため息をついた。


「太郎さんのソシャゲ知識はチート級っすね」


「まぁな」


 太郎は余った経験値を壁走りに振り、毒耐性◎とは別に新しいスキルを覚える。元々暗殺者向きの盗賊スキルだとはいえ覚えるのに早すぎる逸品だ。名無しのような熟練者が暗殺者を極めて初めて覚えるようなスキルだ。


 とはいえソシャゲ無双にも限界がある。実は太郎が生前にやっていたソシャゲはアップデート前だったのだ。この世界はソシャゲそのものではあるが、天使やドラゴンなどの種族は出てこなかった。人間同士が戦うただの戦記物だった。太郎が無双できるのは人間世界まで。神の世界の天使やドラゴンは未知数の存在だった。


 試しに太郎は壁走りを使い、大きな木を登ってみる。コツが分からず途中で足の裏が木から離れ、地面に真っ逆さまに落ちた。


「いてて。難しいな」


 名無しが手を貸して起こしてくれた。


「二回行動の時のようにスキル継承すればいいんじゃないっすか?」


「いやダメだ。スキル継承の枠はあと3つ。無駄遣いダメ。盗賊が覚えられるスキルは自力で覚えたい」


「そんなもんっすか。とはいえ見ただけで経験値を振って習得ってのはチートっすけどね」


「よし、もう一回」


 何度か試すうちにコツを覚え、大きな木を自由自在に駆け回れるようになった。


 周囲にいたホームレスの人たちが拍手してくれた。


「ふう、気持ち良いスキルだな」


「完璧っす」


「んじゃ、さっそくイベントを進めるか」


「イベント?」


「ああ、トラジディに勝負を挑む」


「え、もうっすか?」


 名無しが驚いた顔をする。無理もない。太郎がトラジコメディに来てやったことといえば捕まって拷問を受けたこととダンジョンタワーでレベルを上げたことしかない。でも、それでも心配ない。


「トラジコメディは序盤のストーリーだ。これだけレベルが上がれば簡単にクリアできる」


「でも太郎さん。さっきアップデート前って言ってましたっすよ? 想定外のことが起きる可能性を考慮したほうがいいんじゃないっすか?」


「何度もクリアしたことのあるストーリーは飽きた。早く歌子たちと合流したい。最速の最短でトラジコメディをクリアする」


「そんなもんすか。ま、何かあったらドラゴン化して助けるっす」


 太郎のソシャゲ知識無双に慣れたようで、名無しは、ええい、ままよ! という感じだった。


 出たとこ勝負。名無しから武器を受け取り、ABCリンクでチュアとシンフォを呼び出して4人パーティーでトラジディの本丸に乗り込んだ。


「これより太郎チームはトラジコメディの征服を開始する。俺らが悪者みたいだけど気にするな」


 ゲームならばサブイベントがあり、町の人の依頼をこなしてポイントを貯めてアクセサリーをゲットするのだろうが、そんな手間のかかることはやっていられない。ネットで攻略を見ながら最短でクリアを目指す太郎は、イベントに関係のないサブイベントは飛ばす派だった。


 だから突っこんだ。トラジディがいるという館へ。


「曲者だ! 出合え! 出合え!」


 それなりに良いお家に住んでいるトラジディの住処からたくさんの盗賊が出てくる。


 夜襲をかけても良かったのだが、しち面倒臭かったので、昼間に正面から大声で「トラジディを倒す」宣言をした。


 最初は笑われたが門番を一撃で気絶させると次々と雑魚のお出ましだ。


 名無しの暗殺(気絶)、太郎の剣技、チュアとシンフォの魔法で次々と倒した。


 途中、中ボスみたいなのが出現した。


「わははは。やるではないか。我はトラジコメディ四天王の一人、盗賊Aだ!」


「チュア。赤の魔法」


「はいです」


 チュアの赤の魔法が炸裂。盗賊Aは火だるまになった。


「やるな」と盗賊B。


「だが、盗賊Aはトラジコメディ四天王にて最弱」と盗賊C。


「我ら盗賊B、盗賊C、盗賊Dこそが最強の盗賊だ!」と盗賊D。


「名無し」


「はいっす」


 太郎の合図で名無しが飛び上がる。壁走りを使い、一瞬で盗賊B、C、Dの死角を取り、暗殺剣で一撃で気絶させた。


 トラジコメディ編の中ボスとはいえレベル差があまりにもあり、バトルは一瞬で終わった。


 50人ほど盗賊を倒したところで館の奥から大柄な老人が出てくる。


 徳川家康を大柄のマッチョにしたようなご老人だ。白髪の髭を蓄えて豪快に笑う。


「ガハハハ。やるではないか。我こそが盗賊王。トラジディだ」


 太郎、驚く。


 なんと盗賊王のトラジディは齢60を超えるご老体だった。


「名無しさん、名無しさん」


「なんすか?」


「あの爺ちゃんがトラジディで合ってんの?」


「はいっす。トラジコメディは50年以上続くスラム街。盗賊王トラジディ自身も生きた伝説っす」


 徳川家康をムキムキのマッチョにしたようなトラジディは豪快に笑う。


「ガハハハ。4人だけで我に挑んでくるような阿呆はこの50年で初めてだ。お前らは何が狙いだ?」


「えーと」


 返答に困る太郎。とりあえず歌子から修行の一環でトラジコメディに行かせられた。


 レベルを上限にするという目的は果たした。ついでに征服しようと目論んだが、よくよく考えてみればこんな辺境、いらない。もう一度言う。こんな辺境のスラム街、いらない。


「えーと。あーと。うーと。その~……てへ^^」


 女の子っぽく笑って見せる。見た目が薄幸の美少女なのだから誤魔化せるだろうと考えていたが、そう甘くはなかった。


「おぬしら……」


 トラジディの額に筋ができていた。相当のお怒り。


 盗賊王トラジディは叫んだ。館から大きな機械兵器が出現した。まるでガンダムのようなそれは太郎の知らないボスキャラだった。


「ピーン様からもらった帝国を支配するための機械兵器アーベント。おぬしらをぶっ殺すぜ。ガハハハ」


 機械兵器アーベント。RPGファンならお分かりだと思うが、うたわれるものにはアヴ・カムゥという巨大兵器、軌跡シリーズには七つの騎神という古代の機動兵器が存在していた。よって太郎がプレイしたソシャゲのRPGにも天使が有するパワードスーツのようなものが存在する。


 それがこれ。機械兵器アーベントだった。


 ロボット。ロボット。ロボット。であーる。

盗賊(太郎) レベル40

HP:D

攻撃:C

速さ:C

守備:D

魔防:D


補助 二回行動


毒耐性◎

壁走り

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