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閑話。無課金2万円分

 王国。王の間にて。


 斥侯から報告が入る。


「失礼します。王様。始まりの村で勇者様が捕虜になったとの情報が入りました」


「それは由々しき事態じゃ。して敵の数は?」


「はっ。10でございます」


「なんと!?」


 あまりの事態に王様は驚愕し、めまいを覚える。


 勇者の国の王様は老体で争いを好まない性格をしていた。昔は気性が荒く、すぐに処刑を決行する織田信長のような人だったが、年を経るにつれて思慮深くなっていった。


 鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス


 まるで徳川家康のように温厚。健康に気をつかうご老公。


「帝国はどのような手で勇者を破ったのじゃ?」


「はっ。帝国はディーヴァを投入してきました」


「なんと?」


 ディーヴァは帝国の最高戦力だと聞いたことがある。一騎当千の猛者。勇者が負けたのも仕方がない。


 斥侯は片膝をついた状態から手紙を取り出す。王様に読みあげていいか許可を取り、うやうやしく手紙を読み始める。


「知将エピック様から王様に手紙でございます」


「ほう。読みあげろ」


「はっ。ディーヴァの話を聞きました。小難しい話は置きまして不肖ながらこのエピックがディーヴァを撃退してごらんになりましょう、とのことです」


「ふむ。返事を出せ。ディーヴァをお前に任せる、とエピックに伝えろ」


「はっ」


 斥侯を頭を下げて王の間を後にする。


 年老いた王様は考える。エピックの事を。


 エピックとは王国の将軍の一人であり、紅一点。つまりは歴代で初めての女の将軍だ。


 弱冠12歳で頭角をあらわした彼女はその知略により、たった3年足らずで将軍まで上り詰めてしまった。歴代初めての女将軍であり、歴代最年少の将軍でもある、化け物だ。


 王家の伝統により、女は将軍になれないのだが、エピックは男装し、偽りの少年として将軍になった。この事実を知るものは少なく、王様を除き、たったの数人足らずしかいない。


 しかし、男か女かなどはどうでもいい。エピックは知将の座にふさわしい軍略家であり、王国になくてはならない存在だ。


 男装の女の子将軍。


 勇者が捕虜になった今、エピックの一手で今後の勝敗が大きく変わってくる。


「我々の時代はとうの昔に終わった。若い世代が、今の王国を動かしておる。老いぼれは黙って玉座の間で待っておるだけでいい」


 王様は独り言を続ける。


「のう、宰相?」


「はい。その通りでございます」


 王様の後ろからもう一人の老人が姿をあわらす。宰相。彼の背中には翼が生えていた。


 王様は元勇者であり、宰相は天使であった。


「王様。人間界に新たな英雄が誕生しようとしている。あなたが平和な世の中を築かれようと、いずれは必ずや動乱の時代がやってきます。その運命には人間も天使も逆らえないのでございます」

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