閑話。無課金1万円分
太郎を送り出した日。歌子はさっそくチュアとシンフォの特訓を始める。
すると、アサシン姿の名無しが話しかけてくる。
「帝国の辺境。難民街。通称、無法地帯トラジコメディ。太郎さんは間違いなく死ぬっすよ?」
歌子は名無しの真意を読み取る。お前は太郎を見殺しにする気か? そう問うているように聞こえた。
トラジコメディは王国側、帝国側の戦争難民や犯罪者が流れ着く最後の場所。無法地帯。
力こそすべての弱肉強食の世界だ。
無法地帯を治めるのは盗賊のトラジテディ。犯罪者の街だけあって法律もクソも存在しない。
歌子はしばし考え、発言する。
「問題ない。強くなるにはトラジコメディで修業するが一番いい。リーダーのトラジディを倒せるくらい強くなってもらわないと困る」
「しかし、レベル1の太郎さんが行けば運が良くて奴隷、最悪すぐ死ぬっす」
「まあ、それはそれでいいさ」
「あんたはライバルである太郎さんを早々に殺すっすか?」
誤解だ。歌子はしずかに告げる。
「あいつは一騎打ちで私に尻餅をつかせた男」
「それは歌子さんが男に免疫がないだけでは?」
「うるさい!」
真っ赤になる歌子。
一つ咳払いする。
「コホンッ。とにかくトラジコメディを掌握すること。それが修行の目的だ」
「知らないっすよ。太郎さんが死んでも」
心配する名無しに、歌子はこう命令した。
「だからだ。だからノクターンに影で見守ってほしい」
「んん、やっぱり歌子さんは優しいっすね」
「か、勘違いしないでよね。同じ日本人のよしみよ」
「そういうことにしておきます。忍者の名無し。太郎さんの護衛の任につかせてもらいますっす」
「あくまで死ぬ一歩手前で助けてください。地獄を見たほうがレベルはあがる」
「はいっす」
名無しは歌子の部隊から離れ、太郎と同じトラジコメディへと向かった。




