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課金十三万円目。修業、開始

 ディーヴァの話をまとめると、こうだ。


 前世の記憶を持った転生人(?) 太郎と歌子(ディーヴァの名前)は、それぞれ王国側と帝国側に振り分けられている。また、期限付きで人間界は、神の世界に滅ぼされるシナリオらしい。


「私たちはくじ引きで負けたの。人間界と神の世界では圧倒的に神の世界の方が強い」


 王国陣営、帝国陣営は不利。


 そこでディーヴァは王国と帝国を早めに統合することに決めたらしい。


 太郎より1年早くこの世界で目覚めたディーヴァはレベルをあげてバトルロワイアルに勝ち抜くことを決めた。


「そこで太郎さん。あなたの力を貸してほしい」


 ちょっと理解が追いつかない。


「おいおい、待ってくれよ。ディーヴァ……さん」


「歌子でいいわ」


「了解。歌子さん。あんたが俺に目をつけた理由は分かった。でもそもそも、その話は本当なのか?」


 太郎はこちらの世界に来てから説明らしい説明を一切受けていない。自由気ままに異世界ライフを送る予定だった。


「いいわ。証拠を見せましょう」


 歌子が名無しに合図する。すると、頷いた名無しが窓を開け、外に出る。そして、大きくなる。


 大きく、雄々しく、漆黒の。


「嘘だろ……」


 絶句した。今まで人だと思っていたものは人ではなかった。


 歌子が振り向き、満足げに腕を組む。


「理解できたかしら。私のパートナー。邪神ドラゴン、ノクターンよ」


 窓の外。大きなドラゴンが姿を見せる。夜空に火を噴く漆黒の竜。まさしく邪神ドラゴンそのものだった。


 名無しことノクターンは一通り火を噴き、姿をアピールすると満足し、人間の姿に戻る。そして、機敏な動きで窓際に飛び乗り、にへら笑いながら、部屋に入ってくる。


「どうっすか?」


「ええ、結構です」


 歌子はそれ見たことかと満足げに太郎を見やる。


 太郎は納得するしかない。納得せざるを得ない。


「納得した。名無しから、ノクターンから、聞いたのか」


「ええ、私たち異世界人はゲームのルール説明を受ける。私の場合は名無しから元の世界に戻りたければ、最後の一人になるまで生き残るよう聞かされた。神の世界の陣営の強さも同時に、あなたの場合は運が悪かった。それだけよ」


「たしかに。勇者は人間だった。人間は神様と交流することを宗教上の理由で固く禁じられている。でも歌子さんは違う。歌子さんは竜人族。宗教上の理由は関係ない」


「そう。私にはゲームの説明書と1年のアドバンテージがあった。あなたにはまるでなかった。だから早急に強くなってもらわないと困る」


 名無しことノクターンの存在。レベルの差。経験の差。どれも劣っている。


 どうやら太郎の負けイベントは相当重要で、今後のゲーム攻略を左右する分岐点だったらしい。


 ここで歌子の仲間にならなければ今後の神の世界陣営との戦いで圧倒的不利になってしまう。


 だから歌子から差し出された救いの手は迷わず受け取った。


「太郎さん。私とともに戦ってほしい」


「よろこんで」


 お互いに握手する。


 日本語でしっかり絆を確かめた後、元の世界の言葉に戻して、4人で会議する。


 夜。周りは寝静まっているとはいえ、油断ならない。歌子が小声で話す。


「さて、今後のゲーム攻略といきましょう。私は迷わず王都を陥落する。しかし、その間、太郎がいては裏切り者の烙印を押される。それでは今後の神の世界陣営と戦う時に民衆は動いてくれない」


「俺がずっと捕虜になればいいのか?」


「視野狭窄になってはならない」


「じゃあ、どうすればいい?」


「簡単っすよ」名無しが話に加わる。「帝国で修業すればいいっす」


 歌子が簡潔に説明する。


「王都攻略の間、私がチュアとシンフォのレベル上げをしておく。だから太郎は単独でレベル上げをお願いしたい」


 勇者はこれまでたくさんの仲間に囲まれていた。一人は慣れていない。一人はつらい。


 けれど、寝言は言っていられない。きたるべき日の時に備えて強くならなければいけない。


 太郎は決心する。


「分かった。一人でレベル上げをする」


「良かった」


 安堵する歌子。


「そっちの天使さんも大丈夫っすか?」


 名無しが聞く。


 そう、太郎が一人で戦うということは今まで助けてくれた天使ともお別れしなければならない。


 太郎が目覚め、最初の戦場からつきっきりで太郎を補助してくれた、あんた。


 歌子に名無しことノクターンがついていたように、太郎にも天使がついていた。


 名前の知らない天使に向かって太郎は独り言をつぶやく。


「今までありがとう、あんた。でもこれからは大丈夫だ。一人で強くなる」


「はい。歌子さん、名無しさん、ありがとうございます」


 天使が口を開く。太郎は初めて天使の声を耳にした。それは透き通った綺麗な声だった。


 歌子が太郎を心配する。


「今まで天使様のおかげで勇者補正がかかっていた。天使がいたからどんな人でも一発で勇者だと認めてくれた。彼女がいなくなれば勇者補正は消え、ステータスは村人と同じになる。誰も太郎を気遣ってくれない。それでも大丈夫?」


「ああ、大丈夫だ。死ぬ気で頑張る」


「そう。なら死ぬ気で強くなりなさい。修行は実践あるのみ。スピード、スピード、スピード。量、量、量よ。休む暇なく戦い続けるだけ。帝国で地獄を味わってきなさい」


「任せろ」


 会議終了。


 翌日。太郎は勇者から村人にクラスダウン。一人、帝国に向かった。


 地獄の始まり始まり。

村人(太郎) レベル1

HP:D

攻撃:D

速さ:D

守備:D

魔防:D

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