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課金十万円目。ディーヴァ

 始まりの村が占領される10分前。


 王国の正規軍500人が戦死した情報は太郎の元にやってくる。ただただ茫然とするばかりだった。


「何だって? もう一回言ってみろ」


 と太郎は聞き返す。


 見張りから情報を得たチュアがもう一度言う。


「帝国軍は10人足らずで正規軍500人を殺し、城を落として今現在、始まりの村に進軍中とのことです」


「10人? たった10人にやられたのか?」


「正確には、たった1人、1人の女性に全部やられたとの報告が入っています」


 チュアは口を重く閉じる。太郎は戦慄した。なんだその戦争チートは? と武者震いする。


 チュートリアルで戦った重装鎧だってレベル20だった。守備が高い分、速さがなくて簡単に倒せた。

 今度相手にする帝国軍の1人は確実にレベルがカンストしている。たかが20レベル程度が束になったところで勝てるはずがない。


 帝国の主戦力が出張ったと見て間違いない。ならば序盤の太郎たちでは勝てる見込みはない。


「降伏しよう」


 ひねり出した答えがそれだった。


 チュアは即座に反論する。


「ダメです。帝国軍は正規兵を皆殺しにしました。始まりの村もそうなります」


 男は死に、女子供は捕虜にされR18展開が待っている。始まりの村は絶望に襲われる。


 自身の身の危険をかえりみず、チュアは戦うことを主張する。


「ただやられるのを黙って見れるはずありません、はい。私たちも挙兵しましょう」


「うん、そうだな」


 おそらく敵はレベル40。ステータスはカンストしている。序盤でいきなりラスボス級が出てくるのは、ゲームでは決まって負けイベントだと相場が決まっている。この世界に記憶が蘇った太郎は、今回の戦争は神が用意した負けイベントだと肯定的に考える。大丈夫、死にはしない。そんな気がした。


「始まりの村でも挙兵しよう。ただし村人は避難させる。俺たちは避難が終わるまでの時間稼ぎだ。何せ勝てる相手じゃない」


「そうですね」


 時間稼ぎに手を挙げたのはチュア、シンフォの2人。帝国軍が10人ほどなら3人でも問題ない。


 村長に事情を説明し、太郎たち3人は、村人を逃がすための使者として帝国軍の方に向かう。


 途中、川の橋を渡るときに声がした。


「勇者様! あっしらも混ぜてください!」


 そこには騎乗した村人150人ほどが集まっていた。


 太郎は冷たく突き放す。


「逃げろ、お前らがいても絶対に勝てない。だからさっさと避難しろ」


「いいんですよ。俺たちはどこまでもついていきます!」


 おおおぉぉぉ!!! と150人の雄叫びが上がる。


「好きにしろ」


「ふふ、嬉しそうですね、はい」


 チュアが太郎をからかう。前の世界でゲームばかりしていた太郎。こんな一致団結はしたことがない。


 独りには慣れていたはずなのに、頼もしい仲間たちができてうれしく思った。


「これより帝国の進軍を足止めする。1秒でも長く村人が逃げ出す時間をつくるぞ」


「おおおぉぉぉ!!!」


 それが10分前。


 現在。絶望が蔓延した。


 太郎の目の前にあらわれたのは軍服を着た黒い悪魔。


 彼女はディーヴァと呼ばれていた。ステータスを確認するとAランクが複数。


「竜人族です。邪神ドラゴンの血を受け継いだ最強の戦士。それが竜人族です、はい。中でもディーヴァは帝国最強と謳われる戦女神」


 チュアの説明を受けて合点がいく。


 邪神ドラゴンを倒すために生まれた勇者と対の存在。しかし、太郎とは違いディーヴァはレベルもステータスも経験値も武器も豊富だった。何もかもが勇者より上。


 試しに訓練された村人50人ほどで突っこんだところ。全員、黒の稲妻によって黒焦げにされた。


 剣を交えてさえいない。ディーヴァの周囲を浮遊する高電圧の物質が辺り一面を黒焦げにした。


 チュアが赤の魔法、シンフォが青の魔法を放つ。しかし、魔防Aのディーヴァの前では魔法障壁によってかき消される。もう何もかもがダメだ。


 始まりの村の避難誘導が済んだところで太郎は白旗をあげる。寸前にディーヴァはこう言い放つ。


「勇者よ。私と一勝負しないか?」


 ディーヴァは挑発的な目つきでそう言った。


「俺たちの負けだ。降伏する」


「その前に貴様と剣で勝負したい。私は魔法を使わないから一騎打ちだ」


 ディーヴァが1人、悠然と向かってくる。手には大剣。歩くたびに豊満な胸が上下に揺れる。運動選手のようなスタイルの良さに、相当の剣の達人であることがうかがえる。


「クラウドファンディングを活用した勇者様。その噂は私の耳にも入っているよ」


「そりゃどうも。分かった。一騎打ちしよう」


 太郎のレベルは20。ディーヴァのレベルは40。勝ち目はない。渡り合えそうなのはBの速さだけだった。


 馬から降りて、チュアとシンフォに待機を命じ、太郎も1人、戦場の中央に赴く。周囲は黒こげになって死んだ仲間たちの遺体で埋め尽くされていた。


 ゲームとはいえ独りぼっちの太郎に優しくしてくれた村人だ。


「仇は討つ」


 ゲームとはいえ序盤で死んだらクソゲーofクソゲー。クソゲーの王様だ。


 これが負けイベントであり、死なないことを祈りつつ、太郎は鞘から刀身を抜いた。

名無し レベル?

HP:?

攻撃:?

速さ:?

守備:?

魔防:?

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