殺しあい
リクトは何故自分達がここに連れてこられたのかを考えている時にその声は響いた。
「では、私が教えてあげましょう!!!!」
「ーーーは?」
「皆さんの疑問はたっくさんあるでしょう!!ここがどこかだとか、何で自分達がここにいるのかだとか、私は誰なのかとか!!!」
「.....」
そこに居たのは一人の女だった。身長は150cmにも満たない様な小さな体躯で両手には白い手袋を着けていた。唖然とした。今この場にいる人物全員が困惑や恐怖など様々な感情が渦巻く中、女は話を止めない。
「私としてはあなた方全ての質問に答えたいのですが、諸事情により『一部』の質問にはお答え出来ません!!ご了承下さい!!それをふまえてご質問のある方は挙手をお願いします!!!」
「あ、なら質問あるんだけど」
すると手を挙げると同時に喋り出した人物がいた。キョウカだった。
「まずここはどこ?」
「大変申し訳ありませんがそれは先ほどの『一部』に含まれるので細かい明言は出来ませんが、敢えて言うならここは会場です!!!」
「会場?会場って何の?」
全く物怖じせず次の質問に移るキョウカ。どんな神経してるんだ。
「あぁ!!私としたことが!!大変申し訳ありません!!皆さんを連れてきた説明を忘れていました!!」
そこで初めて女は動揺した様に言った。
「申し遅れ増したが私エマ、と申します。以後お見知りおきを」
そう言って女は深々と一礼した。どうやらエマという名前らしい。
「さて、肝心のあなた方をここに連れてきたのは殺し合いをさせるためです!!!」
「ーーーえ?」
「このあとお教えしますが、あなた方には既に個々の異能力なるものを与えました。そしてあなた方はその異能力を使い最後の一人になるまで殺し合いをしてもらいます!!!」
「ーーーは?」
「そして!!最後の一人には優勝商品としてなんと!!なななんと!!!「いい加減にしてくれ!!」ーーーあれ?」
エマが優勝商品を言い切る前にエマの言葉を遮った物がいた。セントだった。
「あんたはさっきから何なんだ!!!ベラベラと訳の分からない事ばかり言って!!」
「.......」
エマは圧倒されたのか何なのか一言も喋らなくなった。
「何が殺し合いだ!!何が異能力だ!!早く俺たち全員をここからだせ!!」
「......」
まだエマは黙ったままだったが、リクトはエマの右手に違和感を覚える。
(あれ?あの手、何かがおかしい気がする...)
リクトは思考するも数秒では思い付かない。
(考えろ、思い付け、考えろ、思い付け、考えろ、思い付け...)
リクトは必死に記憶を呼び起こす。そして...
(手袋!!)
その結論に至ると背後から同時に轟音が響いた。
「!?」
全員が振り向くとそこには...
セントが吹き飛んでいた。