全員集合
夢を視た
それは12年前のあの日----
『母さん!早く行こうよ!!』
『ええ、すぐ行くわ』
それは幼い日の陸斗と母親の夢だった。
『わぁ、すごーい!!』
『あら!本当にすごいわねぇ』
その日、陸斗と母は街中に出掛けて来ていた。特にこれといった目標は無く、休日に親が子供と過ごすよくある光景だった。が、
『母さん!母さん!』
『り、と、早く、げなさ、お母、んはも、だめよ、、』
途切れ途切れの母の言葉には耳を貸さず、陸斗は母に近寄る。
『母さん!お願い!早く、早く来て!』
『りく、と、母、んはここ、終わり、けど「リクト!」あ、たは精一、「おい、リクト!」生き、』
「おい、リクト!起きろ!!」
そんな過去の夢は強引に引き剥がされ、リクトは現実に戻ってくる。
「おい、大丈夫か?!」
「え?い、委員長?」
そこにいたのはリクトのクラスの学級委員長の岩里宣人だった。
「い、委員長、赤髪の男は?」
「赤髪の男?誰だよそいつ」
「え?」
「まぁいいや。オーイみんな!リクトも起きたぞ!」
「え?みんな?」
そんなリクトの疑問に答えるように現れたのは...
私立冥落高校2-3組のフルメンバーだった。
「え?み、みんな?」
「え?あ、霧崎君...おはよう」
「...」
少し距離を感じるがそれもそのはず、リクトは常日頃から近寄ってくる人間を片っ端から拒絶したため、当然友達はいない。
(今さらそんなこと気にしててももう遅いよな...)
リクトがそんなことを考えている時に、誰かが言った
「全員起きたことだし、情報交換と行こうよ!」
元気にそんなことを言い出したのは副委員長ではあるが、実質クラスのボスと言っても過言ではない、朽木鏡花だ。
「私は斧、、、というか鉞かな?を持った男に教われたんだけど...」
「「「「「!?!?!?!?」」」」」
その場にいた全ての人物が驚愕した。それはリクトも例外ではない。
「お、お前もなのか!?」
男子生徒が言った。すると、それにつられる様に至るところで話し合いが始まった。が、
「ハイハイハイ皆静かに!!情報整理が出来ないから!」
そのざわめきを制止させたのもキョウカだった。
「聞こえた内容だと皆何かしらに襲われた!ってことだけどそれでいいの?!」
キョウカがそう言うと各地で賛同の声が上がる。
(でも、だとしてもどうして同じクラスの高校生全員を襲撃したんだ?)
皆が複数人で話し合う中、リクトは一人で思考を巡らせるが一向に答えに、たどり着かない。が、その時
「ならばこの私が教えてあげましょう!!」
場違いな明るい声が響いた。