完全勝利
※タイトルが完全にネタバレ※
リクトはニシカタの能力により、攻撃すらまともに出来ない状況だった。
(西方さんの能力は多分、手を振るのに連動して俺にかかる重力の向きを変える能力だな?)
リクトはニシカタの重力操作により、大変な事になっているはずだが、リクトは冷静だった。というよりニシカタの攻撃パターンが読めたから、攻撃が来る前に姿勢を変えてダメージを減らしている。
「....!あぁうぜぇ!!!とっとと負けろよ!!!」
ひょいひょいと攻撃を避け続けるリクトにイラついたニシカタが叫び手を振る速度を上げるがリクトには通用しない。
(むしろ攻撃が単調になってるからありがたいな)
リクトは相変わらずの余裕で攻撃を分析し続ける。
そんな戦闘が続いたある時リクトはドアに向かって飛ばされた。
(一回ドアを融かして部屋の外に出るか?)
リクトは自分の落下地点を見てそう判断し、手をドアに向けるが....
「!?」
リクトがドアに触れる直前に能力が解除されたのかリクトは天井でも壁でも無い床に叩きつけられた。
(何で能力を解除した?部屋の外に出られたら困るのか?ん?待てよ?確か部屋に入った時...)
リクトが思考していた時、再び起こった重力操作にリクトは対処仕切れず壁に叩きつけられる。
「グッ!?」
「そのまま死ねぇぇ!!!」
ニシカタが手をやたらめったら振り回しリクトは全方向に叩きつけられる。
(グ!!、さ、流石にこれは、これはヤバい!どうにかして奴の手を!!―――ん?あ、これなら!)
リクトは痛む頭で考えた時、自身のポケットの中の物に気づく。そしてそれを掴み、ニシカタに思い切り投げつける。
「?!」
ニシカタは咄嗟に顔を手で庇う。するとその手に何かドロッとした物がかかる。
「なんだこれ!?!?」
『解除』
「!?!?」
リクトがそう言うと同時に手にかかった何かが固まり、腕が少しも動かなくなる。
リクトが投げつけたのは砲丸だ。
リクトは自分の能力でまず砲丸を蒸発しないが、ドロドロになる位の温度に融点を調節をした。
そして次にニシカタに砲丸を投げつけ、砲丸に掛けた『融点操作』の能力を解除した。
リクトの能力は発動は掌で触れる必要が有るが、解除の場合は離れた位置からでも出来る。
本来鉄の融点は千五百三十八℃だ。『融点操作』が無ければ一瞬で固まる。
そしてニシカタの手には砲丸だったものが肩から足までまんべんなくかかったため腕を振る事が出来なくなる。その上、床ともくっつき、動けなくなる。
「う、うわぁぁぁ!?!?な、何だよこれ?!おい、と、取ってくれ!!」
ニシカタは叫び、騒ぎ、喚いた。
だがリクトは少しも気にせず歩き、掌に何かを触れさせる。
「おい!!や、止めろ!!!」
ニシカタは動揺し、更に五月蝿くなった。
「....」
「やめろぉぉぉぉ!!!!」
ニシカタは動く首を玩具の様に面白く左右に振るがリクトは手をどけない。
そしてリクトは触れていた物を融かした。先ほどとは違い、蒸発し、何も残らなかった。
「ふぅ」
リクトは息を吐き、言った。
「これで、西方さんの能力は使えないよな?まぁその状態じゃ元から無理か」
「....」
リクトが溶かしたのはニシカタではなくこの部屋のドアだった。
「西方さんの能力は『ドアが閉まってる部屋の生物の重力を操る能力』、だろ?だから部屋に入った時にドアを閉める様に俺に言った。そして俺がドアに当たろうとした時に能力を解除したのもそのせいだろ?」
「あぁ...そうだよ....これ、とっとと消してくれ....」
ニシカタは力無くそう言い固まった鉄の拘束の解除を求めてきた。ここまでの脱力は散々『ゴミ』と言ってきた相手に負けたからだろうか。
「解除の前に一つ。この勝負俺の勝ちだよな?」
「.....」
「沈黙ってことは肯定と判断する」
リクトはそう言って能力をもう一度使い、今度は蒸発するように融点を操作した。
リクト、1stラウンド勝利の瞬間である。
今回の話とは少しも関係無いんですが、一話でリクト君の顔の説明に「性格が良ければモテる」と有りましたが、作者の語彙力のせいで何かリクト君ブサイクみたいですねwww僕が言いたいのはリクト君はイケメンなのに性格のせいでモテないってことを言いたかったんです。敢えてもう一度言います。リクト君はイケメンです。
後、今話の内容に関係が有ることなんですが、ニシカタ君は一応モブ設定なので要望が無い限りキャラ設定を書く予定は無いです。......以上!




