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サツジンキグルミウサギ1  作者: 参月みっか
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わたしと俺様

わたしは卯佐美。至って普通で種も仕掛けも無ければコンセントも付いていない、

そこら辺にいる、そこらじゅうに居る高校二年生!

好きな動物はうさぎさん!

(・・・なんてな。最近の女子高生ってのはみんな揃ってこんなもんだろ。

 やれやれ、俺様には肩身狭い肩書きって事かね・・・まぁいいや。

 俺様の名前はローズヒップ。紅茶と同じ名前だから覚えやすいだろ、へへ、覚えてくれよな。覚えてくれなきゃ泣いちゃうんだぜ。

 ともあれ俺様はこの卯佐美っつー女子高生「そのもの」であり「本人」であり「中身」だ。

 そのままの意味、でな。)

わたしは今、現在進行形で、一人暮らししているわたしの家である「ぼろあぱぁと夢兎」に帰宅中なのですが、なんと!前方に友人の空子ちゃんを捕捉したのです!

「空子ちゃぁぁぁぁああああん」

わたしは女子高生らしからぬトップスピードで駆け抜けます。走っていくのです。

空子ちゃん。鳥居空子ちゃんは、友人であるわたしを置いて好きな人をつくり、只今絶賛恋愛中らしいのです。空子ちゃんはわたしがそれに気づいていないと思って油断していますがね。うふふ、気づかない筈無いですよ、乙女というのは恋をしたらそれまでとがらりと性格が変わり、目は輝き、全体的に華やかになります。

些細な事にもしっかり気づく。それが友人というものだと、わたしは自己解釈をしているのですが・・・まぁ、個人主義ですけれど。

(鳥居空子の場合、好きな奴・・・花堂想華ってやつ。そいつが近づくと目に見えて動揺するから、すげぇ分かりやすいんだけどな。)

「あら、卯佐美ちゃんじゃない。一人なの?人気者の貴女が・・・珍しい」

空子ちゃんは怒涛の勢いで走り寄ってきたわたしに驚いたようで、少し引き気味に言います。

「人気者だなんてっ!恥ずかしいよ、空子ちゃん、えへへ~でも一人だよ、残念ながらね」

ハイテンションのわたしに付いていけない空子ちゃんは、ドン引きを思い切り顔に出しながら返します。

「い、いえ、貴女は充分人気者よ、私を見なさい。交友関係において圧倒的劣等感を誇るこの鳥居空子を見なさい。・・・うぅ」

語尾はもう脱力感と虚無感で一杯一杯の空子ちゃん。そんなトコも可愛いですけどね。

(自分がぼっちだって分かってんなら交友をもてるよう積極的になればいいじゃねぇか・・・?まぁ、それが出来なくて苦悩する美人がこいつの特徴だけどよ)

「あはは・・・ん、そういえば空子ちゃんも今帰り?一緒に帰らない?」

すると、あっ、という顔をする空子ちゃん氏。

「ごめんなさい、今日は花堂が家庭教師を・・・じゃなくてっ、じ、塾があるから・・・」

花堂想華さんにお勉強を教えて貰う日なのですね・・・察しました、知らないフリをします・・・いつも通り。

空子ちゃんと惜しくも別れると、それからやはりいつも通り。一人で歩く帰り道です。

(他に人が居ないと色々考えられていいよな。それが良い事だろうと悪い事だろうとよ。)

そうしていつの間にやらおうちの前でした。

鞄から小さな銀の鍵を取り出して鍵穴に指し、ドアを円滑に開けます。

「今日のご飯は何にしましょうかね」

おうちの中。

やはりいつも通りです。

死体の腐るにおいって、中々消えないから嫌ですよね。



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