晴れすぎた今日という絶望に
明日は雨が降ればいい。
少しくらい雨が降ったところで延期になるだなんて思ってはいないが、土砂降りの洪水と雷雨ならば或いは、と思っていたのもまた事実だ。
だけど、神様は清々しいくらいに全体主義で、残酷だ。
今日“あれ”が行われるということが、俺と彼にとってどんな地獄であろうとも、世界にとっては悪い虫の駆除作業にすぎない。神様は俺と彼の幸いよりも、駆除作業の方を優先したってわけか。
朝、目を覚まして窓の外を見上げると、雲ひとつない晴天が広がっていた。
「……ははっ。結局はこういうことなんだな……」
乾いた自分の笑いはやけにわざとらしく聞こえた。
わかってたさ。今の時期は日照り続きのこの国で、雨なんて降るわけがない。
毎日汗水垂らして働く農民がどんなに祈っても降らない恵雨が、毎日幾人もの罪人の首を切ることで食い繋いできた死刑執行人如きの俺のために降ってくれる可能性は、果たしてどれくらいあるのか。
ショックのあまり力の入らない身体を、それでもなんとか動かして、よたよたとベッドから這い出た。
濁った目に、伸びきった髪。ベッドサイドの曇った鏡にぼんやりと映った俺の顔は、随分と酷いものだった。いつか、彼が綺麗だと褒めてくれた金茶の髪は見る影もなく乱れてボサボサだ。
鏡の向こうの自分を嘲笑おうとしても、見えてくるのは笑顔に失敗した引き攣った表情だけ。ますます自分が惨めだ。
なんだか無性に吐き気を覚えながらもう一度窓の外に目をやる。晴れすぎた空は、逃避衝動に駆られる俺を再び現実へと叩きつけた。ひっそりとぶら下がる逆さ吊りの雨乞い人形が、俺を嗤っている気がした。
「………….仕事の準備、しないと」
この家を出る頃には、俺は完璧な死刑執行人としての仮面を被らなければならない。
この部屋に、自分の本当の気持ちは全て置いていこう。そうでもしないと、心が死んでしまうから。
***
クラウドという名を聞けば、この国の人々がまず最初に思い浮かべるのは、革命軍の総指揮官であるあの男のことである。
冷静沈着にして大胆不敵。そんな彼の戦術は、王国の近衛騎士たちを翻弄してきた。
でもそれも、つい先日までの話。革命家クラウドは国王軍に捕らえられ、その野望は潰えた。公開処刑の日取りは、今日の正午である。
さて。一方、俺個人がクラウドという名前で真っ先に思い浮かべる人物は、近所の家に住んでいて、幼い頃からよく一緒に遊んだ二つ歳下の少年だ。少年、といっても今年でもう十八になる。
幼い頃のクラウドの姿は今でも鮮明に覚えている。とにかく活発で利発で、そして賢い子供だった。
「おまえの名前、レインだろ。レインって言葉の意味、知ってるか?」
そうして、五歳児では到底知り得ないような知識を自慢げに披露する幼いクラウドと手を繋ぎ、夕方の街を歩いたことは、きっと一生忘れない。あの夕景も、夏の茹だるような暑さも、繋がれた手の温かな体温も。――あどけない子供心が抱いた、淡い恋情も。
「もうじき夕立が来るぜ。湿った雨の匂いがする」
クラウドは俺の手を引き、小走りに雨宿りの木の下へ駆けていく。
まだ幼い、穢れを知らないクラウドは、あるとき俺にこう尋ねた。
「レインは将来、何になりたいんだ?」
あのとき俺は、なんと答えただろうか。王様を守る騎士になりたい? それとも病から人々を救う医者になりたい?
はっきりと覚えてはいないが、夢に溢れた輝く未来予想図を話したことは確かだ。
それに比べて、実際の俺はどうだろう。二十歳になった俺は、両手が咎人の血で真っ赤に染まった死刑執行人となってしまった。
でも、別にそれはいい。罪人の裁きは誰かがやらねばならないことなのだから。
それよりも問題なのは、“幼馴染のクラウド”と“革命家のクラウド”が同一人物で、処刑が決まった彼の公開処刑を執り行う死刑執行人が、他でもない俺であるということ、だ。
***
朝から最悪な気分を抱えたまま、俺は王城の最北に位置する塔に出勤した。処刑の時を待つ罪人の留置所であり、執行人たちの職場でもある『裁火塔』には、異様な緊張感が漂っていた。当然だろう、第一級特別警戒犯罪者として恐れられる革命家クラウドの死刑執行が迫っているのだから。
「おい、レイン」
『裁火塔』の三階、会議室に呼ばれてきてみれば、そこには俺の他にも死刑執行人として働く同僚たちがちらほらと集まっていた。
その中のひとり、友人でもあるリュウが、寄ってくるなりこそりと声をかけてきた。
「ああ、リュウ。おはよう」
「なんでてめえはそんな呑気なんだよっ」
「逆におまえはどうしてそう焦っているんだ」
「こんのっ、馬鹿レイン! てめえまだあの話聞いてないのかっ?」
「……あの話?」
そこまで聞いてふと、周りにいるリュウ以外の同僚たちが、微妙に俺から距離を置いているように感じた。俺を見る彼らの目に映っているのは……若干の猜疑?
そのとき、会議室の扉が開いて、一気に室内に煙草の匂いが渦巻いた。
煙たさに眉を顰めながら振り返れば予想通り、そこに現れたのは煙管を片手に胡散臭く笑う軍服の男。
「やあやあ、処刑人諸君。楽しい殺人ライフを送っているカナ?」
不謹慎にも程がある彼の台詞に、会議室に流れる空気が少し冷える。
俺は溜息交じりに彼を諌める。
「シュルツ大佐、ここの人間を不用意に刺激するのは止めてください」
「おや、レインくん。おはよう、今日も相変わらず綺麗な顔してるねェ」
「戯れはよしてください。大体、大佐は何をしにいらっしゃったのですか、今日は忙しい日なんです。反逆者クラウドの処刑日っていう大仕事があるんですから」
言っていて、自分の言葉に心が痛んだ。だが、それを表情に見せてはいけない。
今朝、鏡の向こう側にいた、廃人のように生気のない俺は、もういない。今ここに立っているのは、一分の隙もない冷血の死刑執行人、レイン・ラドラクスである。
すると大佐は、上から下まで俺を舐め回すように見つめた後、くい、と口角を上げた。含みのある、嫌な笑い方だ。
「大仕事、ねェ……果たしてきみに務まるカナ」
「どういう意味ですか」
馬鹿にしたような物言いが癪に障った。まだまだ年若いとはいえ、俺は特に腕がいいと周囲からも評価をもらっている。仕事に抜かりがあったことは決してない。――腕がいいとはもちろん、罪人の首を落とす腕がいい、という意味で、だ。
ともあれ、彼にこのような謂れをされる覚えはない。
無礼とは思いつつも、俺の声音には剣呑な色が混じってしまう。だが、大佐はそれを咎めたり怒ったりするわけでもなく、挑発的な視線でそれに応酬してきた。
「なんてことはないさ。ただね、これはこの場にいる皆の総意なんだよ」
「総意って……シュルツ大佐、それはどういう――」
そこまで言いかけて、改めて気づいた。同僚たちの目が、妙に冷たいことに。
リュウはというと、焦りを滲ませた顔で「レイン」と、俺の名を呼ぶ。心配で堪らないといった風な声だった。
「きみはクラウドと幼馴染らしいね、レインくん」
「………………ッ!?」
大佐のその一言に、どくん、と鼓動が大きく跳ねた。冷水を浴びせられたような思いだった。
俺とクラウドが幼馴染。それは誰も知らないはずの事実だったのに。いつ? 何処から漏れた……?
「もちろん、僕たちも大事な仲間であるレインくんを疑いたくはないけれどェ。疑わしきは罰せよ、ってね。クラウドは第一級特別警戒犯罪者だ。彼の処刑に、万が一にでもトラブルが生じたら困るのさ」
すっと目を細めて、一歩、また一歩と距離を詰めてくる大佐。俺の足は縫いつけられたように動かない。
とうとう吐息が感じるほどの至近距離となり、大佐の冷たい指が俺の喉に触れた。
「たい、さ」
「僕も軍人、剣捌きには自信がある。きみの代わりに処刑を代行させてもらおうかと思うのだけれど」
こいつが。この血も涙もない軍人が、クラウドを殺す?
確かに俺は冷たい血しか通っていない死刑執行人だよ。でも、こいつとは違う。こいつは血液が通ってすらいない、ただの鬼だ。
こいつはきっと、クラウドの首を切り落とした後、その首を無造作に晒し者にする。髪を引っ付かんで、民衆の見せしめにする。死体が腐るまで放置して、クラウドの人間としての尊厳をずたずたに踏み躙るんだろう。
それを俺は、許せるか。黙って見ていられるのか――
「その冗談は面白くありませんね」
ぱしん、と乾いた音がやけに大きく響いた。俺が大佐の手を振り払った、拒絶の音だ。
――答えは、否だ。
「クラウドと幼馴染? 何処の法螺吹きですか、そんなことを嘯いたのは。全くもって不快です。俺が殺しますよ。反逆者クラウドには、この俺、レイン・ラドラクスが天罰を下します」
一度滑り出した口は、自分でも驚くほどに平然と嘘をついた。
法螺吹きは俺の方だ。本当はクラウドが大切で仕方がない。幼馴染で、気の置けない親友で……そして、叶わない片恋の相手だ。
啖呵を切った俺を訝しげに眺めたのは、ヘヴィースモーカーの大佐。室内に副流煙が広がり、周囲の同僚のうちの何人かが、それを吸い込んで小さく噎せた。
「そうかい。その気合いは心強いね」
「お褒めいただき、身に余る光栄です」
すぐ傍で匂う煙草の重い煙がうざったくて、煙管の雁首を素手で掴んだ。
熱いのかもしれないし、もしかしたら火傷しているのかもしれない。だけど、熱さなど全く感じられなかった。
俺の内なる怒りの熱に比べれば、こんなちっぽけな煙など、あってないようなものだ。
大佐は相変わらずの何かを企んでいるような顔で、笑った。
「そこまで言うのなら、試させてもらおうかねェ」
「試す、ですって?」
「そうさ。きみが本当に反逆者クラウドとは無関係の潔白の身で、そして国のために尽くす忠臣であれるかどうかを、ね」
そして俺の耳元に口を寄せ、小さく囁く。
その条件を聞いた俺の背筋は、比喩でもなんでもなく、本当に凍った。身体が動かなかった。
それはまさに、俺にとって死刑宣告のような内容で――こんなえげつないことを考えつくシュルツ大佐には、やはり人間の血など通っていないのだと、思い知った。
***
かつん、かつんという革靴で歩く音が、地下へと続く階段とぶつかって、冷たく鳴っている。
その足音は、三人分。薄暗い先頭を進むのは、ランプを持ったリュウ。後に続く俺。最後尾に、まるで俺の脱走を阻むかの如くついてくるシュルツ大佐。
『きみとクラウドが幼馴染かどうかの真偽なんて、僕はどうでもいいのさ。大切なのはきみが躊躇なくクラウドを処刑できるかどうか、そうだろう?だから僕に、誠意を見せてくれ給えよ。――クラウドを突き放せ、拒絶しろ。奴が生きる希望を失うくらいに、徹底的にな』
そう囁いたあのときの大佐は、確かに悪魔だった。
大佐は俺を利用して、クラウドの逃走の意志を潰すつもりなのだ。
「いやァ、相変わらず『裁火塔』はジメジメしてるねェ。外は日照りだ旱魃だって大騒ぎだっていうのにさ」
肌に纏わりつくような生暖かく湿った空気に、大佐が背後で言った。俺は「そうですね」と硬い声で返事をするだけだった。
一触触発とも言えるような俺たちの空気。それに気を遣いつつ、リュウが立ち止まって振り返った。ランプの炎が、ゆらりと揺れる。
「着きました。ここが最下層、クラウドを収容しているフロアです」
目の前には大きな鉄格子がひとつ。看守が二人、見張り役についていて、俺たちを見るなり頭を下げて声をかけてきた。
「お疲れ様です、シュルツ大佐、レインさん、リュウさん。処刑時刻まではまだ数刻ありますが、いかがされましたか?」
そう尋ねられ、ごくりと唾を飲み込む。深く息を吸って覚悟を決めてから、口を開いた。
「………………面会を、頼みたい。大佐と俺の二人で、クラウドと直接話をする。悪いがしばらくそっとしておいてもらえないか?」
真横からリュウの物言いたげな視線が突き刺さるのをひしひしと感じた。だがこれは大佐からの条件なのだ、やるしかない。これを乗り越えなければ、俺は俺ではない他の誰かにクラウドを殺させなければならないことになる。
看守の二人は訝しげに顔を見合わせたが、俺の背後にいるシュルツ大佐の存在もあり、特に渋ることもなく俺たちを中に通してくれた。
「無理はするなよ」
すれ違いざまに小さくリュウが囁いた。
ちらりと振り返ったが、ランプの頼りない光では、リュウの表情は伺えなかった。だが、気を遣われているのはわかる。
……こいつだけは、周囲が俺を遠巻きにしても、態度を変えたりしないんだな。
大佐の手前、リュウに返答することは叶わなかったが、その代わりに微かに頷いて見せた。
「ほらレインくん、こちらに来給えよ」
既にその身を牢獄の闇の中へと溶け込ませている大佐に続いて、俺もゆっくりと歩き出す。
瞬間、すぐ側でガシャンッ! と大きく鉄格子が鳴った。
「…………てめェ軍人かァ……」
嗄れた声で呻くその囚人の身体には、鎖が幾重にも巻き付けられているのが、堅牢な石牢の小さな小窓から見えた。
その囚人は、長い前髪の下でぎょろりと動く血走った眼球で、軍服を着た大佐を憎々しく凝視する。
「出せよォ……ここから出せよォ……ぶっ殺してやっからよォ!?」
ガシャンッ、ガシャンッと食料受け渡しのための小窓の鉄格子に掴みかかり、一心不乱に揺らす。
それは、恨みのあまり取り憑かんとする亡霊のようなおぞましさを伴っていた。
すると、その囚人に触発されたのだろう。ひとり、またひとりと他の囚人たちが、鎖のせいで重い身体を引きづって、鉄格子の前まで這い出てきた。
「軍人だと……?」
「殺せ、あいつらを殺せぇ!」
「お綺麗な軍人様が何の用だ!」
囚人たちは口々に騒ぎ立て、憎しみの籠った目で俺たちを睨みつけてくる。元々、この最下層フロアは、囚人の中でも特に問題があるとされる者たちが集まる場所。死刑執行を待つ一級犯罪者の巣窟だ。一度怒りに火が点いてしまえばあっという間に燃え広がって、フロア中が騒然となった。
そんな悪意の渦巻く中心で、大佐は笑っていた。実に愉快だという顔で、怒り狂う囚人たちを観察していた。
「ふふっ、理性を忘れた人間なんて、もはや人じゃない。まるで薄汚い獣のようだねェ、レインくん」
「…………悪趣味ですよ」
上司に同意を求められたときは頷くものだが、そういう気分にはなれなかった。吐き気がする。
俺は黙ってフロアを歩き出した。進んで行くとその最奥に、不気味なほどに静かな石牢が存在していた。
「………………ぁ」
薄暗い牢の中は闇に包まれていたよく見えない。中の様子を伺おうにも、まるで呼吸を止めているかのような静けさ。
口に出すことは許されないから、心の中で呟いた。
――クラウド。
「ふう、やっと会えたね。初めまして、反逆者クラウドくん。僕はハロルド・シュルツ大佐、きみに会いたかったんだよ」
俺を追い越し、すたすたとクラウドに歩み寄って行く大佐。牢の隙間から手を伸ばせば大佐に危害を加えられるほど距離が縮まっても、鉄格子の向こう側は相変わらず沈黙が続いていた。他の囚人たちの喧騒とは隔離されているかのような静寂だった。
「この国に楯突こうだなんてどんな怖いもの知らずの巨漢かと思ったら、きみ、まだ年若いうえに男前だねェ。いやあ、びっくりだ」
そう。そうだ。まだ年若いクラウドの命を奪うという罪深い行為を、この国は強要しているのだ。
ああ、なんという悪行だろう。
「さて。きみの死刑執行はとうとう三時間後まで迫ったねェ。どうだい、この世とのお別れが近づいてくる気分は」
「…………………………は」
ふと、微かにクラウドの息遣いが聞こえた。
俺にはすぐにわかった。クラウドは今、笑ったのだ。
大佐は初めて反応を示したクラウドに笑みを深め、それから振り返って俺を見て、また笑んだ。
嫌な表情だった。また悪魔のようなことを考えているのだろう。
そして、その予想はやはりというべきか、的中してしまう。
「ところでクラウドくん。きみの首を落とす執行人を紹介してあげようじゃないか。ほら、自己紹介してあげなさい、レインくん」
鉄格子の向こうで、今度はクラウドが息を飲んだような気がした。
全身が戦慄いた。ぐっと拳を握って堪えようとするが、身体は言うことを聞いてくれない。
俺の中の本能が叫ぶのだ。怖い、嫌だ、行きたくない。逃げ出したい。クラウドに嫌われてしまうかもしれない。どうして俺は死刑執行人なの。……どうして俺はこんなにも穢れてしまったの?
「――……はい、シュルツ大佐」
だが、逃げ出すことは許されない。大佐の、硬直してしまう俺を見る目が、声なく俺を責めている。おまえがクラウドを殺すと言ったんだろう。逃げ出すことは許さない、と。
「大佐。牢の中に入る許可と、鍵を下さい。彼とは鉄格子越しではなく、直接話がしたいんです」
「……何を言い出すのかなァ。そんなことをして、万が一にでもクラウドくんが脱獄したら、どう責任を取る気なのさ? ……それとも、そういう展開を望んでるのかな?」
「冗談でもそんなことは言わないでください、不快です。ただ、彼のような逆賊の危険な思想を深く理解することこそ、次の諸悪の根源を断つことに繋がるのではないかと思っただけです」
「レインくんは死刑執行人だろう。それはきみの仕事ではないはずだけれど」
「…………………………鍵を、ください」
しつこく食いさがる俺を、大佐はしばらく見つめていたが、
「……ふうん。ならば好きにすればいいさ」
と、鍵を投げて寄越してきた。
俺はひとつ礼を述べてから、すぐに鍵穴にそれを差し込む。施錠した重い石の扉を押せば、鈍い音ともに開いていった。
青白い石の部屋は、思っていたよりもずっと広く、そして寂しかった。その部屋の隅に蹲まっている彼は、身体中を鎖で戒められ、太い足枷を嵌められたうえに、銀の首輪で繋がれていた。
この暗い部屋で冷たい拘束を受けていたクラウドの孤独は、果たしてどれほどのものなのか。
ショックのあまり言葉を失っていると、クラウドはゆっくりと顔を上げた。
「……レイン」
記憶の中のものより掠れていたが、でも間違いなくクラウドの声だった。
途端に懐かしさと在りし日の思い出が脳裏を駆け巡っていく。あれはそう、二年前。俺とクラウドが最後に会った日のことだ。
町外れの寂れた酒場で、ふたりで静かに酒を酌み交わしていたときに、クラウドが言った。
『俺、革命軍作ることにしたわ』
『この国は国民に優しくねえよ。こんな制度は変えるべきだ』
『俺にならそれができる。だって俺だからな!』
美しい金髪と、榛色の瞳を煌めかせて、宣言した。
俺は確か、そんなクラウドに皮肉を言うことしかできなかったのだ。
『捕まらないで上手くやれよ。じゃなければ、次に会うのは断頭台の上だからな。そのときは痛みを感じさせずに殺してやろう』
酒に酔った俺は、そんな馬鹿げたことを言ってしまった。それが現実になるなど夢にも思わずに。
あのときの言霊のせいでこんなことになっているのだろうか?
「俺、失敗したみてえだ。そのせいで色んな人を巻き込んで殺しちまったよ」
二年前の最後に会ったときよりも大分やつれたクラウドは、それでも双眸の光は失わずに、その目を細めた。榛色の瞳は、何故か安らかな色をしていた。
「でも俺、最低だけど後悔はしてねえんだよ。たくさん仲間を殺す結果になったのに。……たぶん、国を変えるってこと一点だけを見れば、成功したからかな」
――革命軍は敗北して、みんな処刑されちまうけど、俺たちが掲げた反旗を国民たちはその目に焼きつけたはずだ。
――俺は確信してるんだ。これからこの国では、大きな革命が起こる。それは俺がレジスタンスを作って起こしたちっぽけな革命よりももっと大きなもんだ。
――そんで、この国は生まれ変わる。……その瞬間を、俺は見ることはできないけど。
クラウドは寂しげに笑って、それから鎖のせいで動かしにくい腕を、俺に向かって伸ばしてきた。
「代わりにレインが見てきてくれよ。なあ、お前は俺の大切な幼馴染で、親友で、それから……」
――クラウド。
クラウド、ごめんな。……ごめんなさい。俺をどうか許してくれないか。
こんな残酷なことをしてどうして許されようか。許されないに決まっている。
それでもクラウド、おまえにだけは、嫌われたくなかったよ……。
「――意味のわからない妄言を吐くのは止めろ」
喉から絞り出したのは、冷たい拒絶。
「私とおまえのような反逆者が、幼馴染で親友? 虫唾が走る。私をどこかの誰かと勘違いしてるのではないか?」
「…………レイン?」
目を見開くクラウドの顔を、まともに直視できなかった。
心の中で、何度も何度も言い聞かす。今の言葉は、クラウドの幼馴染であるレインの言葉じゃない。冷血の死刑執行人、レイン・ラドラクスの言葉だ、と。
「私とおまえは初対面だな。私は死刑執行人、レイン・ラドラクス。おまえの首を落としにきた」
「初対面……? レイン、何を」
「何を言っているのかと聞きたいのはこちらの方だ。そんな妄想を刷り込めば、俺が絆されて脱獄の手助けをするとでと思ったか? つくづく汚い男だ。そうしてその綺麗な顔を使って、今まで何人もの人間を誑かし、利用してきたのだろう」
言いたくない! こんな心にも思っていないようなこと、言いたくないんだ!
「おまえのような薄汚い男は、存在するだけでこの国に瘴気を生む。今日が晴れでよかった。絶好の処刑日和だな。おまえの無残な最後を国民に晒すいい機会だ」
嘘! 嘘なんだよ! 本当は全部嘘なんだ! 信じるなよ、俺の言葉なんて信じるなよクラウド!
…………嘘、なんだよ……。本当は雨が降ってほしかった。大きな雲に国中が覆われて、雷鳴が鳴り響いてほしかったんだよ。
だが、そんな音にならない激情がクラウドに届くはずもない。
クラウドは力なく首を横に振り、落胆を隠しもしない声で呟いた。
「結局おまえも、権力に屈して俺を見捨てるんだな、レイン」
クラウドの榛色に失望したと訴えられて、俺の心は急速に冷えていく。
違う、そうじゃないんだ、これは大佐の命令で、仕方なく……思わずそう叫びたくなる衝動を、もうひとりの自分がいた。
違う? 何が違うんだ。結局はクラウドの言う通りだろう。俺は勝手に二択を作り上げていた。クラウドを自分の手で殺すか、赤の他人に殺させるかの二択だ。クラウドを救い出すという選択肢ははなからなかった。
それは何故か? 簡単だ。クラウドの脱獄幇助をして、自分が罰を受けることを恐れたんだろう? 自分の身が可愛かったんだろう? なんて俺は醜いんだろうな。愛より保身を取るだなんて。
「……元よりおまえの味方なんてした覚えはない。いい加減、荒唐無稽な妄想は止せ」
それでも、俺がおまえのことをずっと忘れずにいたということを、理解してはくれないか。
「私は死刑執行人、レイン・ラドラクス。クラウド、おまえの首は私が落とす」
小さな格子窓からでは、薄暗い石牢の奥までは大佐から見えないだろう。
それをいいことに、俺の両目からは、はらはらと生温い雫が溢れた。
「おまえのせいで幾人もの国に忠義を誓った国王軍兵士が死んでいった。おまえが国民を扇動したせいで、私は唆された哀れな反逆者たちの首を斬ることになった。全ておまえのせいだ……!」
涙声にならないようになんと堪えるのだが、泣き止むことはできなかった。子供のように泣く俺はどんな無様な顔をしているのだろう。
俺の涙を目の当たりにしたクラウドは、一瞬驚いて何か言おうとしたが、結局その言葉が声を伴ってこちらに届いてくることはなかった。
「だから私は、おまえの首も他ならない私の手で落とす。約束通り、な」
刹那、クラウドの榛色の瞳が揺らめいた。
『捕まらないで上手くやれよ。じゃなければ、次に会うのは断頭台の上だからな。そのときは痛みを感じさせずに殺してやろう』
あの日、酒場で憎まれ口を叩くしかできなかった俺のことを思い出したかのような顔だった。
……クラウド、ごめんな。俺は最後まで、本当の気持ちを伝えられなかったよ。
本当は、あのとき。
『革命軍なんて止めろ。クラウド、おまえが好きだよ。だから失いたくないんだ』
そう、言いたかったのに。どうして言えなかったのだろう。
涙でぼやける視界の中で、クラウドが俺を見つめていた。――やがて、小さく微笑んで、
(ありがとう、レイン)
クラウドの唇から、音なく紡がれる。
目を奪われた。クラウドの安らかな笑顔はなんて美しいのか。
こんなにも美しい彼の生を絶ってしまうこと、神もきっと許しはしないだろう。
でも、いい。もう、誰に許されなくてもいいのだ。この笑顔の前ではどんな罰すら羽ように軽いのだから。
***
俺の友人でもあるその男は、同僚の中でもとびきり優秀な死刑執行人だ。名前を、レイン・ラドラクスという。
少なくとも『裁火塔』で働く者の中では自分、リュシアン・ドレット――リュウが一番、彼のことを理解しているという自負がある。
だからこそ俺はすぐにわかってしまった。処刑時刻がもうすぐそこまで迫っている革命家クラウドと、レインが幼馴染であるという噂が、真実であるということを。
レインは人前ではほとんど表情を変えない。でも、俺は彼の目の色を見てすぐにわかった。配属される前、研修時代から一緒にやってきたのだ。わからないはずがない。
レインは優しい奴だ。
なぜそう言い切れるのかというと、彼の処刑の腕は素晴らしいものだからである。
誰かが言った。人を殺すことを生業とする死刑執行人などに、自分たちと同じ色の血が流れているものか、と。
それでも、誰がなんと言おうとも、レインは優しいと俺は胸を張って言える。
昔から一緒だったと言っただろう。だからレインが初めて罪人の首を落とした瞬間も俺は見ていた。
今でも鮮明に覚えている。レインは研修生の中で一番、首切りが下手だった。
下手だから、なかなか首が落ちない。今でこそ表情の乏しいレインだが、あの頃はまだ感情が表に出やすいことこのうえなくて、彼は可哀想なくらい泣いていた。
『ごめんなさいっ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……! いたくしてごめんなさいごめんなさいごめんなさい……』
泣きじゃくって謝りながら、何度も何度も罪人の首に刃を落とした。
腕の悪い死刑執行人に処刑されることほど苦痛なものはない。下手であるということはつまり、なかなか死ねずに苦しみ続けるということを意味するからだ。
そして、レインは下手だった。研修生を担当した先輩からはこの道を諦めた方がいいと言った。
それでも、レインは辞めなかった。死刑執行人などという汚れ仕事を続けたいと思うのには何か理由があったのかもしれないが、詮索したことはない。
人を殺す才能のなかった優しいレインは、罪人をひと思いに殺してやれる優しい死刑執行人になるために努力をした。
毎日のように白骨化した骸を地面に並べて、骨と骨の間に刃を振り下ろす練習をしていた。肉を一瞬で断ち切るためには、骨にぶつからないようにしなければならない。レインはその繊細な作業ができるように、来る日も来る日も刃を振り続けた。なんて愛おしくて狂おしい努力だろうか。
そうしてレインは、若くして『裁火塔』の筆頭死刑執行人にまで上り詰めた。人を殺すのが、上手くなった。
俺はレインのことを人よりよく知っているが、レインがどうして死刑執行人になりたかったのかはわからない。
でも。
「これより、罪人クラウドの公開処刑を執り行う。罪深き反逆者にこの私、レイン・ラドラクスが天誅を下す」
観衆となった国民たちの前で自分の幼馴染を殺すためでは、なかったはずだ。
オーディエンスの国民たちは、高い断頭台の上に立たされる反逆者と、彼を処刑せんとする死刑執行人を食い入るように見つめ、口々に勝手なことを述べた。
――クラウドさんが死んでしまったら、もう革命軍も終わりね。私たちの生活が変わることはないわ……。
――はっ、あんな奴死んで当然だ。あいつが国王を打破したところで俺たちの現状は何も変わんねえんだよ。
――あいつがこんな馬鹿げた抵抗を始めたりしなければ、私の息子も変な思想を抱いて命を散らすことはなかったのに。
――何を言っていんるんだ。彼は確かに僕たちの英雄だっただろう。
――……にしても、なんだあの死刑執行人は。
――クラウドをこれから殺すっていうのに、眉ひとつ動かさないな。
――流石、死刑執行人には血も涙もないってのは本当らしい。
随分と好き勝手言ってくれるな。
心の中では不服を唱えるが、それを口にすることはない。仕方がない。所詮、死刑執行人は汚れ仕事。世間から白い目で見られ、極悪非道の罵られるのには慣れている。
だが、その罵声の対象がレインであるということが気に食わない。
やがて、断頭台の上に衛士たちが現れて、ふたり掛かりでクラウドを拘束した。
重い鎖がジャラジャラと音を立てながら、クラウドの自由を奪う。鉄製のそれは、憎々しいほど晴れた空の下、太陽に反射して鈍く光っている。――処刑時刻まで、残り三分を切った。
レインは硬い平坦な声で尋ねた。
「もうじき時間だ。反逆者クラウド、最後に言い残すことはあるか」
あれほどまでに五月蝿かった民衆たちの騒めきが、徐々に引いていく。皆が皆、この国を揺るがした革命家の言葉を聞き逃さんとしている。
ところが、クラウドは口を引き結んだまま一切喋らない。ただの一言もだ。その代わりに、衛士によって断頭台に伏せさせられた体を捩って、レインと視線を絡めている。じっとレインを直視していた。
「……くそッ! 何か言えよ英雄気取りが! 俺の息子を返しやがれ!」
瞬間、黙っていた民衆の中にいた若い男が、耐えきれないといった風に悲痛な叫んだ。恐らく、革命戦争に我が子の命を奪われた父親なのだろう。
それを皮切りに、他の国民たちもひとり、またひとりと自己主張を始めた。
反逆者を殺せ。英雄を殺すな。殺せ。殺すな。殺せ殺せ殺せ殺すな殺すな殺すな!
――そして喧騒の中、運命の時は訪れた。
ゴーン、ゴーン、ゴーン……
遠くで鐘が鳴る。十二時の鐘だ。これが鳴り止んだとき、処刑は執行される。
なあ、レイン。おまえは今、どんな気持ちを抱いているんだ? 俺にはわからないよ。
レインが腰に携えていた剣を鞘から抜いた。いつも処刑執行の後、レインが入念に手入れをして罪人の血を拭っている剣は、濁りのない白銀だ。
レインは無表情で、だが顔色は紙のように白かった。それでも剣の切っ先は微動たりともしない。
ゴーン、ゴーン、ゴーン……
もう半分鳴り終わった。レインがゆっくりと剣を振り上げる。
人を殺すのが上手なレインは、一瞬でクラウドの命を摘み取ることだろう。
ゴーン、ゴーン、ゴーン……
また、鳴った。
そのとき。遠くからで声までは聞こえないが、レインの口が言葉を紡いでいるのが俺のところからも見えた。
ゴーン…………
何を言っているのだろう。今にも泣き出しそうな、儚い無表情の彼は。
ゴーン………………
――刹那、唐突にクラウドが笑った。
「永遠に愛してる、――!」
叫んだわけでも怒鳴ったわけでもないのに、その声はやけに透き通って処刑場に溶けていった。
だがその声が、愛する者の名前を呼び終える前に最期の鐘は、鳴り響く。
ゴーン……………………
レインが刃を振り下ろした瞬間、遠い東の空に稲妻が走った。
観衆は湧いた。歓喜に震える者、泣き叫ぶ者、つまらなそうに去っていく者。その中でひとりだけ、レインだけが処刑台の上でぼんやりと立ち尽くしたまま、空を見上げていた。反逆者の血に濡れた自分の剣にも、処刑台に転がるクラウドの首にも、一切目を向けない。
ただ、遥か遠くの黒雲に覆われた東の空を、見つめ続けていた。
じきに、雨が降る。
***
じきに、雨が降る。
その予想は見事に的中して、処刑場も今となっては曇天、土砂降りになった。
晴天の中で傘を持ち歩く者はいない。不意打ちの雨に降られ、観衆たちはあっという間に引いていき、処刑場は一気に寂れた。
雨が降ったな、クラウド。俺がどんなに望んでも降らなかった雨が降ったよ、今更。
「今更、だろう…………」
もうクラウドは死んでしまったんだ。俺が首を斬ったから、ただの肉塊になってしまったんだ。もはや、雨に意味はない。
痛いくらい雨に打たれながら、静かに目を閉じる。あのとき、正午の鐘が鳴り響く中で、俺はクラウドに我儘を言った。
『……愛してる、クラウド。殺したくないよ。この剣でおまえの首ではなくて鎖を断ち切りたいよ』
ここまで来て、もう後戻りできるときは過ぎ去ったというのに。逃げられないところにいる知りながらこんなことを言う俺は、きっと世界で最も残酷だった。
許されることは望んでいなかった。それなのにクラウドは、微笑んだ。
『やっぱりレインは、俺の知ってるレインだな。レインにだから、殺されたいんだ、俺は』
『嫌だ、おまえに嫌われたくない』
『嫌わねえよ』
『嘘だ』
『嘘じゃねえ』
『嘘』
『……そこまで言うなら、証明してやるよ』
大きく息を吸い込む音がする。クラウドの喉が開き、肺の奥にまで深く空気を吸い込む。
これがクラウドの、最期の呼吸。
『俺は、おまえがレインでいてくれる限り、どんなことになってと、どんなことをされても――永遠に愛してる、レイン!』
俺の名前が呼ばれる前に、刃は振り落とされ、クラウドの首は飛んだ。
だというのに、俺には最後の一文字までしっかりと、クラウドが自分の名前を呼ぶ声が届いていた。不思議なものだ。
なあクラウド、ずっと愛してるってどういう意味だ?
ずっとって、いつまでのことを指すんだよ。
おまえが無責任なことを言って期待させるから、きっと俺は来世までおまえのことが好きなままだ。どうしてくれるんだ。
来世まで祟ってやる。来世までおまえのこと、好きでい続けるからな。
***
〈おまえの名前、レインだろ。レインって言葉の意味、知ってるか?〉
ふわふわと漂う優しい夢の中で、幼い少年が得意げに尋ねてきた。
この子は、誰だろう。見たことがある気がする。どうにも懐かしく感じる。
〈レインっていうのはな、雨っていう意味なんだぜ。おれ、雨が降るとなんか安心するだよな。多分、レインがいるって感じるからだと思う〉
照れくさそうに笑う少年の頬は、薄っすら赤らんでいた。
〈でもさ、おれの名前はクラウドじゃん? クラウドって、雲って意味だからさ。雲がないと雨は降らないし、つまりそれってさ〉
今度は挑発的な目をして見せた。
〈おまえはおれなしじゃ生きていけないってことだよな!〉
「おい起きろよ雨宮ー、ったくおまえは俺がいないとほんとダメ人間だよな」
「…………ん」
ゆっくりと目を覚ますと、眩い橙色に襲われ、思わず目を細めた。
あちこち凝り固まった身体は、机に突っ伏したままだ。俺はどうやら、放課後、机に伏せたまま眠ってしまっていたらしい。
目の前には幼馴染の東雲の呆れ顔がある。
「……はよ。今何時?」
「五時。もう帰ろーぜ?」
「正午じゃない、のか」
「は? おまえ何寝ぼけてんだよ。ほら、さっさと帰ろうぜ」
「ああ、うん。――夢、見てた」
「へえ。どんな?」
「……忘れた」
「おまえなあ……」
忘れていい、あんな悪夢。
でももし、あの悪夢が本当に前世だとかそういう類のものだったのだとしたならば。
「……東雲!」
無人の廊下で呼び止めると、彼は歩み止めて振り返ってくれた。
「あー? 何だよ雨宮、ってうお!」
不意を打って抱きつくと、驚きのあまり東雲は硬直してしまう。
それをいいことに、俺は東雲にキスした。何回も何回も、浅く、深く、優しく、容赦なく。唇に噛みつく勢いでキスをした。
「おまっ、学校なのに大胆なことするよなあ……んで、雨宮は何がしたかったんだ」
苦笑気味に俺を引き剥がした東雲に尋ねられ、俺は笑った。
「生の味がするよ、東雲」
幸せで、それでいて幸せが胸に痛くて切なかった。
こういう両片思いの敵対系BLは定期的に書きたくなります。
類似した話をまたそのうち性懲りもなく投下すると思いますが、気が向いたら次もお付き合いください……!