深谷の陰謀
なし
「いよいよ
始まるぞ。」
自分のことでないのに
さも楽しそうに
うきうきして
深谷が言う。
試験マニアか。
そうなのだ
私が運命的に出会った
夏目漱石もしたという海外留学。
文部科学省の国費留学。
その張り紙をみてから
はや4ヶ月。
深谷をアドバイザーに迎え
へんな交換条件を出され
マラソンに出るとか
出ないとか
しかしながらそれ以前に
しごく当然に
そして素早く
深谷に却下された
今年度の国費留学の応募。
そしてきたるべき秋。
マラソン出場前に
まずは現状をみろ。
そして、自分のレベルを知れ。
いつになく
とても厳しい顔で
そして声で
その時、深谷はそう言った。
そして時期は来た。
そう、秋は留学選考シーズン。
10月、11月、12月と
次年度の選考が多く行われる。
本当にピンからきりまで
数多くの留学プログラムがある。
留学先も、アジア、ヨーロッパ、
そして、アメリカ。
ケンブリッジも、ハーバードも
そして、オックスフォードも。
うちは、アジア特にシンガポール
イギリス全般
そして、アメリカ西海岸そして、カナダ
が特に留学の斡旋が多いそうだ。
またまた深谷情報だが、
一般的な試験内容は、おおむね
筆記、1次面接、2次面接の
3段階。
筆記は、
国語、数学、一般教養の試験など。
まあそれは一般的な試験でのこと。
ペーパーは、多種多様。
そして、試験によっては、
英語の論文提出も求められる。
そんな盛りだくさんの試験。
次年度へのの留学試験準備、
そして、選考が始まる。
そんな戦いにいよいよ
乗り込む。
しかし相変わらず
国費留学なんて
無理ときびしく言い渡した
あのときと違い深谷。
なんでこそっとした
笑みなんだろうな
もっちょっと爽やかなに
いけるんでないかい。
何かをたくらんでる。
なし