君と過ごす、物語の続き
今回の小説、実はただの思い付き&無計画で進めていたものなんです。前書きでこんなもの書くべきではないということはわかっているのですが、ぜひぜひ読んでほしいと思います。
この子たちの恋愛物語……お楽しみあれ!!!
『私いつも見てるけどさ、君っていつもそれ食べてるよね』
『ん?いいじゃん僕の数少ない好きな食べ物なんだからさ』
そういいながら彼は手に持っているりんごをかじっている。たしかに彼が別のものを食べてるところをあまり見ない。だからちょっと栄養面が気になってくるけど……。
『りんご、好き?』
『何回聞いてくるのさ、好きだよ』
『……じゃあ私は?』
『何、君はなんか幼馴染みたいな関係になってるでしょ、それ以上の関係って考えたこともないのだけど……強いて答えるのならば、好き寄りだな』
あっさりとそういうけど、割と私の心に刺さるってことをこいつ知らないな……?実際彼のことを私は好いているのだろう。でも、それを直接伝える手段を私は知らなかった。
『……ふーん、まあいっか。それよりまた本読みに行こうよ』
『ん?いいよ、図書館にでも行こうか』
そう呟き、彼は立ち上がった。しばらく伸びをしてから私のほうに振り返った。
『行くよ、ほら』
手を差し出しながら、私のほうに手を伸ばしてきた。その手をつかむと引っ張ってきて、私の体が軽く引っ張られた。
『いつも強引だねぇ……可愛い女の子にモテないよ』
『しらねーよ、今はお前がかかわってくれるから楽しいしそれでいいし』
突然そんなこと言われるとちょっと……ドキッとしますが???ちょっと刺激が強かった。何こいつ……。
『……何こいつ、とでも言いたげな顔だな?』
『げ、ばれた』
『ばれたってなんだよばれたって、ほら行くんだろ、司書様よ』
『はいはい、次騒いだらほんとに出禁だよ』
『僕じゃねーよ、それはお前が一番知ってるんでしょ』
『知ってるよ、だから出禁になんかしないし~、私の図書館なんだもん』
私は民間の図書館を経営している。その図書館は市営の図書館と同じようなものだけど、本当に民営?というレベルで大きい図書館だ。そこで私は経営者兼司書をしている。司書は何人かいるけど、そのうちの一人が私だ。
そんな図書館は、私の夢だった。それに、思い出の地でもある。だって、彼と出会ったのはこの図書館が出来てすぐの事だったのだから。
オープンしてすぐのころ、民営だからどうしても入場料の設定をしないといけなかった。じゃないと経営どころの話じゃなかったからだ。そんなころの最初のお客さんが彼だった。そして、対応したのが私だった。
『ここって図書館……?』
『漫画喫茶みたいですよね、色んな小説、資料、本当にいろんなものをそろえた有料の図書館ですよ、入場料は200円、それで1日入り放題、ここが限界だったんですよね……』
『資料は劣化する。紙だと余計……ってところでしょうか』
出会ったころの彼は礼儀正しくて、ただただ『いい人』という印象がしみついていた。それから彼と私の交流は進んでいき、今は外でも会う程の仲になっていた。彼とは気が合うし、私としても話していて気楽だったから、ちょっとした話相手に自然となっていた。
図書館には談話室を用意していて、そこには彼もよく入ってきた。そこでは邪魔にならない程度だったら話してもいいということにしていた。そのために防音室をわざわざ特注で作ったんだから……。ものすごいお金はかかっちゃったけどね……。たとえ数人で叫ぼうがバンドが思いっきり演奏しようが外には一切聞こえない程度の、かなり高性能な防音室にはなっている。ちなみに、防音室の資金に関しては彼がほとんどを出してくれました。本当に頭が上がらないです……。
そんな防音室で繰り広げられる会話はいつもこうだった
『ねえ、それ面白い?』
『面白いと思った?私は面白いから読んでるの。そういう君はなにそれ』
『ちょっと気になった資料、一応これでも小説家だからね』
『私思うんだけどね、よく小説家が勤まるよね……売れてるの?』
『僕のペンネーム知ってるくせに何を言ってるのやら……』
ちなみに彼のペンネームは私も知ってるほどの有名人だった。実際私から頭を下げて本を置かせてもらってるぐらいの有名人。そんな彼を私は尊敬していた。尊敬していたし憧れでもあった。この図書館を作る前までは私も小説家になりたかったんだし……。でも、今は図書館が出来てからそんな夢がどうでもよくなるほど忙しい毎日と、本たちに囲まれた生活が楽しくなっていたのだ。
そして、ここを経営し始めて1年ほどの年月が経った頃、私の図書館もかなり有名になってきて、出入りする人数もかなり増えてきた。それと一緒に本を大量に寄付してくれる人も現れるようになった。そのタイミングで私は改築することを決めた。なんせ、今までは3万冊ほどしかなかった本が、今はその10倍ぐらいになっている。それと一緒に本の置き場に困り始めたところがある。談話室にも本棚置き始めたし、廊下なんかほとんどが本棚になっている。そのころもしっかり通っていた彼は本棚の裏に作った私の部屋に出入りするようになっていた。
『……女の子の部屋に入りびたるものじゃないですよ、お客さん』
『……その女の子の部屋に招き入れたのはどちらさま?』
『……すみませんでした』
その犯人は私だ。防音室の中に防音室を作って、その中に私用の部屋を作ったのだ。普段は本棚に隠れて見えないようにしているけど、仕掛けを動かしたら扉が出てくるように私がリクエストしたのだった。ちなみに、この防音室は彼が作ってくれた。そんな巨額の出資もできるのどれだけ稼げてるのやら……。でも……。
『……でもさ、この部屋作ってくれた人を入れないわけにはいかないじゃん』
『君はねぇ……なんというか、無防備すぎるんだよね』
『何が無防備なの……全く理解できないのですが私』
楽しくわいわい話していて、私も気分的にはものすごく楽しかったし、仕事もかなりはかどった。毎日の売上なども記録をしないといけないから、この部屋にこもることも増えていくのだった。
だから自然と私は司書兼経営者から司書のトップ兼経営者という立場になっていた。ちなみにここのスタッフもそこそこの人数いるのだ。司書が10人、お手伝いさんという名の司書助手たちが10人、あとは警備の人が居たりお掃除さんが居たりするから合計30人ぐらいはいるのかな、ちなみに総務とか経理とかもちゃんとある。言ってしまえば1つの会社だね。
ちなみに彼はそれでも1利用者を貫いている。あなた大株主だよ……。改装費まで出してくれて……。彼には本当に一生頭が上がらない。
そんな、改装してから半年が経過したころ、パタリと彼が来なくなったタイミングがあったのだ。その頃どうやら編集部に通い詰めで忙しかったようなのだが、そんなタイミングで私は倒れてしまった。何故かと思っていたけど普通に過労だったようだ。1週間ほど入院してから戻ると、入院中に私の仕事を任せていた人全員から同じような話を聞いた。とある男の子が、私を訪ねてカウンターによく来ていたと。それはやっぱり彼だったのだ。
久々に戻ってきて、自室で仕事を片付けているとノックをする音が聞こえてきた。
『どうぞ、お入りください』
ドアのほうへ声をかけてみるけど、しばらく何も返ってこなかった。不審に思った私はドアのほうに向かっていってみた。そしてそこで気が付いた。
『……ごめんね、鍵かけてたよね、そりゃ入れないよね……』
そう呟きながら、今の状態に気が付いた。うん今、一人ってことをいいことにものすごくラフな格好をしていたのだ。だから鍵を閉めていたのに……。
『……あっぶな、普通に開けるところだった』
多分、ドアの向こうはいつもの彼だと思う。だから余計私は今の恰好では彼の前に出れなかった。そのあたりから私は少しずつおかしいと思っていた。
ゆっくり着替えながら、私はちょっとした動悸に襲われていた。それは病的なものなのか、それとも緊張しているのか、今の私にはわからなかった。
『あの人が……彼氏だったらなぁ……』
そう思ったことは多分何回もあるのだと思う。私が気が付かなかっただけ、それだけで……。
着替え終わってから鍵を開けて外を見てみると、やっぱり彼が立っていた。
『何してたんだよ、お客一人外に放り出しといて』
『ごめんね、ちょっと中で着替えてたの。一応一人だからね、別に中で何してようが外には絶対ばれない構造になってるし……それより中おいで』
『はいはい……こういうところ無防備なんだよ』
『何?聞こえなかったけど何か言った?』
『んー?悪口』
『殺す』
『口わっる』
けらけら笑いながらいつものソファーに腰かけてパソコンを取り出していた。手招きされたから画面を見てみると、そこには衝撃的なことが書かれてあった。
『そんなことより、これを見てみな』
『そんなことって、何よ……え、千万部突破!?!?』
『そ、書籍化決まってから3年ちょっと、ここまで頑張って本当に良かったと思うよ……』
『え、おめでと!!!デリバリーだデリバリー』
『ふっ……こいつのこういうところ好きだわー』
『何よ、めでたい事にはめでたい料理!!って思ったけど何食べたい?今日は私のおごりでいいよ』
『ほう……ローストビーフ』
『容赦なさすぎ……いいけど……ここの改装費のお礼もちゃんとできてないわけだし……』
それから私たち二人は、二人で仕事の事は忘れてお酒を飲んでいた。いつの間にか時間は過ぎて行って、閉館の時間になっていたけど私は寝ていて気が付かなかった。
『……んぇ、頭痛い』
『おはよ、いい寝顔ゲットしたぜ』
『……あぁ???撮りやがったな!?!?』
しれっと私の寝顔を写真に撮っていた彼を追いかけて、スマホを奪い取ってから寝顔に関しては完全に消し去った。さすがに恥ずかしすぎる……その代わりに。
『その代わりにだけど、ツーショならいいよ……?』
『……どうした、急なツンデレ……』
『やっぱやめ、写真なんかあげない』
『すまんそれは冗談、お願い』
『仕方ない……私レベルの美人とのツーショは有料級なんだからね』
『それはそうだな、可愛いし』
唐突な可愛い、それ以上の誉め言葉は見つからない。
『……うっるせぇ!!!ばーーーーーか!!!』
思いっきり耳元で叫んでやった。そしたら鼓膜は破れてなかったけどだいぶ響いたみたいで、耳を抑えていた。その横で私はけらけらと笑いながら謝っていた。
そのあと何事もなかったように写真撮ってから、解散することにしたのだけど、時計を見てみると午前0時だった。
『……どうするの?終電ないでしょ、私はここに泊るけど』
『そーだな……タクシー使えば帰れるが……なんだそのキラキラした目は』
『泊って行こ、可愛い女の子からのお誘いだよ』
『じゃあ……泊っていこうかな……また可愛い寝顔が見えるわけだし……』
『寝顔目当てでも別にいいけど……私はソファーで寝るし……こういうこともあろうかと押入れがあるのだこの部屋、設計に関してはすごい詰めてもらったからね』
『ほんとに僕のお金で何してるのこの人は』
そういうけど寄付してくれたじゃん、最大限活用するのは必要なことだよ、ちゃんと寝泊りできるように社員全員分のふとんとかは用意してある。これは残業させるためではないこと大前提のお話ではあるのだけどね。
『私は最大限活用しただけなのだよ、福利厚生と呼びたまえ』
『面白い福利厚生だこと、研究好きの司書たちにも休んでもらいたいって気持ちからかな』
『そういうこと、私はね『知識は財産』だと思ってるの』
そういいながら私は上着を脱ぎ始める。中には部屋着として長いTシャツを着ているから別に問題とかはなかった。
『その財産は増やせば増やすほど得るものは大きい、私の知識も君の知識も、それはいつか財産になるのだよ。だから好きなことに関して知ることはやめないように言ってるの、それが司書たちのお仕事みたいなものだよ』
『こいつ面白いこというから一緒にいて飽きないんだよね』
『そりゃどうも、寝ている私はそっとしておいてね』
私はソファーに寝転がって布団をかぶって寝ることにした。彼のことは信頼してるし何もないとは思うんだけどね。私はゆっくりと夢の中に落ちていった。……はずだった。
その前に少しだけ聞こえてきたことがあった。
『…………おやすみ、四之宮詩乃。寝てると思うが聞いててほしい。多分僕は君の事が好きだと思う、ただよくわからないし確信も持ててない、だから君の言葉がいつかはほしいなとは思う』
私は、その言葉に返事ができなかった。そして、その日は1度も寝ることができなかったのだ。
気が付いたら、朝になっていた。スマホを見てみると朝の5時になっていた。窓から朝日が入り込んでいて、私の目に容赦なく照り付けていた。そして、私は昨日の夜の彼の言葉を思い出した。
『多分、僕は君の事が好きだと思う』
これはすごくうれしかった。私も多分なんだけど……彼のことが好きなんだと思うし……。
『…………あぁぁぁぁぁぁぁぁもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!』
『うるさいな……早朝なんだから静かにしやがれ……頭に響く……』
『あっそれは失礼しました……それより、おはよ』
『おはよ、いい夢でも見たの?ものすごいいい笑顔してるけど、写真撮っていい?』
『機嫌いいからいいよっいえい♪』
あえてピースしてみたら、照れてる様子で一瞬目をそらした。やば、可愛い……と思っていたら彼からとんでもないセリフが飛んできた。
『……下着見えてるぞ』
その言葉が聞こえた瞬間、私はばっと下を向いた。私はオーバーサイズのTシャツに短パンで寝ていたから確かに見えても仕方ない……というより……。
『……大変申し訳ありませんでした……』
すぐに上着を羽織ってからもう一回ポーズを取り直した。でも……さっきのことでかなり恥ずかしくなっていた。
『……恥ずかしいから着替える。ちょっとあっち向いてて』
『同じ部屋で着替えるか……?別に付き合ってるわけでもないのに』
『いいじゃん別に……というか……』
『……何?何言ってるか聞こえん』
私が言った方向向きながらそう答えてくれる。さっさと着替えてしまおうと思ったけど緊張で……。
『……何も言ってないし、こっち向いたら殺すからね』
『物騒だな、見ないから安心しな』
『……別に、見られてもいいけど』
『何か言った?声小さくて聞こえん』
『聞こえなくてよろしい……着替え終わったからこっち向いてもいいよ……』
というか、彼の顔が本当に見れなくなっている。今日もこの人ここに入りびたるつもりなのかな……。それに、多分彼にはこれを渡したほうがいいのかな。
『ついでだから、これあげる……私の権限使えるように……』
私は書斎の机からとあるカードを取り出して彼に渡した。このカードの権限は……。
『……これで入場料0で出入りできるから、いつでも私に会いに……来れるよ?』
『その上目遣いやめないか……可愛すぎて直視できない……』
『ほほう……私の魅力に気が付いたな……?』
ちょっとうれしかった。可愛いって思ってくれて、私に惚れちゃってる様子が……とてつもなくかわいかった。
でも、いつかは渡そうと思ってたこの権限渡したってことは、私のほとんどを渡してしまったようなものなんだよね。やっぱ私もこの人の事……好きなのかな……。
無自覚というか、なんというか。やっぱ……恋心がわかんないかも……。
『ね、直球で聞くけど、私の事どう思ってる?』
『突然だな、親友以上恋人未満ってところかな、信頼してるしすごい可愛いと思ってしまうところもある。だけど……恋人なのかって言われたら?が浮かんでくるところがあるんだよね。だから余計言いたいけど、これからも親友でいてくれ』
『ほほう……いいこと聞いちゃったっ』
それから、私はこの人の事を知ろうとした。今でも仲いいのは事実だけど、それ以上の仲になるために、もっと今まで以上に知ろうとした。
彼はいつも通り遊びに来るし、私はいつも通り仕事をする。ただ、少し変わったのは……私が疲れた時はちょこっとだけ甘えに行くようになった。それもちょっとしたアピールみたいになるかなって……そう考えた結果だった。恋人みたいな感じではないけど、私が疲れた時とか体調が悪いときとかはちゃんとそばで看病してくれる。この人やっぱり……あの夜のことは事実だったのかな、そう思っていたのだった。
初めての二人でのお泊りから2か月が経過した、私は彼のことをかなり知れたとは思うのだけど、あれから彼の本音を聞けないままだった。飽きられたのかな、もしくは……このまま進展しないのかな、そんな不安が少しずつ湧き出るようになっていた。
『……ね、なんで私の仕事手伝ってくれてるの?』
彼は私の経理仕事を手伝ってくれるようになった。まあ、1回倒れてから定期的に手伝ってくれていたのだけど、実はもう一回倒れてしまったのだ。その時も1週間ぐらい入院してしまって、そこから本格的に手伝ってくれるようになった。これが愛情か……。
『……次倒れたら殺す』
『ひーこわい、まるでライオンみたい♡』
『……軽く考えてるみたいだけど、過労で亡くなったとか聞いたら生きる気力がなくなるぞ』
『あーそれは私が困ってしまうね……それだったらお給料払うよ?』
『その場合役員報酬になるんじゃないか?あんまりいらんぞその場合でも』
『まあ、あれから結構売れてる小説家になっちゃったからね。私の届かない存在になっちゃった……』
『図書館の経営者が何を言ってるのやら……もう県内トップレベルの図書館になってしまったぞここ……何回改装したんだ』
『えっと……3回目終わったところだね』
『どこが届かない存在だ』
そういわれるとそうなのかもしれない。結構売り上げがよくて、改装したり色んな資料を仕入れることにお金を回せるようになっていた。だから司書の人数は20人になったし、下手な中小企業ぐらいの従業員を抱えるようになった1人の経営者になったのだった。
『ちょっと気になったこと聞いてもいい?』
『唐突だな、どした?』
『……君ってさ、恋愛する気とか、ない?』
言い切った瞬間彼は飲んでいた珈琲を噴き出した。噴き出してむせて、ゲホゲホと言っている。
ちょっと笑ってしまったけど、慌てて背中をさすってあげた。
『突然だったね、ごめん。気にせずちょっとこの資料を……』
『……ないわけではないな』
『……』
その返し方だけは……やっぱだめだった、今彼の顔を本当に見れない。多分顔真っ赤になってると思う。そう感じてしまうぐらい顔が熱かった。
『そ、そうなんだ……へー……ちょ、ちょっと熱いから保冷剤取ってくる……』
慌てるように談話室内にある二つ目の部屋に転がり込んだ。ここには生活できるように色々な設備を作ってもらった。実は私ここに住み始めたから、ここには食料だったりも置いてある。
『……はぁ……本当に私あの人の顔見れなくなっちゃうかも……』
私自身好意を寄せているのはわかっている。でも、それを伝えて引かれないか心配になっているところがあるのだ。
数か月前に聞いたあのセリフ、今でも鮮明に覚えているし、何なら……あのまま『いいよ』って返事をしてもよかったのかもしれないと、今思っている。
冷凍庫から保冷剤を取り出して、タオルで巻いてから首元に当てながら考えていた。ひんやりして気持ちいい……。
このもやもやした気持ちを解決する方法を考えていたけど、結局行きつく結論は……彼に告白することだった。でも私にそんなことできると思えない……。引っ込み思案でビビりで……そんな……。
『できるわけ……ないじゃん……』
私の目から自然と涙がこぼれていた。感情があふれだしているような……そんな感じだった。今、彼にこんなところ見られたら幻滅されてもおかしくないんじゃないか、そう考えるほどだった。
少しだけ泣いてすっきりした私は、保冷剤を持ったまま書斎に戻っていった。彼の方を見てみると真剣に書類に向き合っていた
『ごめんね、遅くなっちゃった』
『いいよ、理由は聞かないし怒りもしないから気にしないこと』
やっぱり優しい……私は、彼のこんな優しいところに惚れたのだ。
『……ねえ律』
『どうした?名前で呼ぶとは珍しい』
『今はそんなことどうでもいいの……一つお願いしてもいいかな』
『お願い?いいけどどうした?』
その言葉からは少しの間が開いた。私の口から次のセリフが出てこなかった。喋ろうとしても言葉が詰まって出てこない。そんなことが数分続いた。その間も彼は待ってくれた。
『ふぅ……すぅ……茅野律、私の彼氏になってくれない?』
『……』
彼から返事は返ってこなかった。書類を書いていた手は止まったまま、ペンを持ったままになっていた。私が緊張して待っていると、ようやく口を開いた。
『その返事は……今欲しい?』
『今くれないのなら……暴れて資料めちゃくちゃにしてやる……』
『……なるほどなぁ、だったら答えすぐ返さないとだな』
そういった彼は立ち上がって私のほうへとゆっくり歩いてきた。そのままびくびくする体を抱きかかえてきた。
『……ふぇ?』
『今更なんて反応してんだ、これが返事でもいいか』
そのまま私を包み込むようにハグをしてくれた。暖かくて、体格差のある体が私にとっては本当に心地のいいものだった。でも……私としての答えは……。
『言葉で……ほしいな……なんて……』
『なるほどな、じゃあ……』
彼は一息ついてから言葉を続けた。
『僕と結婚してくれるかい?』
それは、想像以上の答えだった。私は確かにそろそろ結婚してもいいのではないか?という年齢ではあるけど……遅くもない早くもない年齢ではあるけど……。
『え……え?ふぇ?』
『そのままの意味よ、僕はずっと前から詩乃の事が好きだった。その事実は変わらない。それは愛情に変わっていったんだよ。その結果が……こういうことってことではダメだろうか』
少し悲しそうな雰囲気で、私のほうに向きなおってくる。不器用……私もそうだけど、本当に不器用でかわいらしくて、言葉を選ばないような、そんな……そんな彼が私は……大好きだったのだ。だから、返事に関してはしっかり決まっていた。
『……不束者ですが、よろしくお願いいたします』
そのまま私は彼にキスをした。これが私の初めてだった。でも……これ以上の幸せはないと思っている。
そのあと、私たち二人は正式に結婚することになり、彼は小説家として、私は……彼の奥さんとして、そして経営者として、これからも楽しく生きていくことになったのだ。
ここまで読んでくださってありがとうございます!!!
結構無計画で進めていたんですけど、結構手が動いてくれてここまで書けたんですよ。結構久々の長めの小説だったんですけどね、書くの楽しかったですよものすごく
普段は僕たち4姉妹の日記を投稿してるんですけどね、それは基本1000文字ぐらいなのでその9倍ぐらいですね。まあ少ないけど短編としてはちょうどいいのかなと思います!
たまにこうやって長い小説書いていきたいとは思ってます。モチベも結構あるのでこれからたまに投稿したりしますね!!!
ここまで読んでくださった方はありがとうございます!!!雨宮家長女の雨宮瑞月と申します。4姉妹の日記を基本毎日投稿してますのでよかったら見てみてください!!!
次回もお楽しみに!!




