幼少期
全てを手に入れた女性が
ある出会いにより価値観が変わり
全てを失っていく物語。
それでも
出会えて幸せだと思える女性
とてつもなく深い愛の先に見えるものは
人生とは、真理とは、投げかけてくれる物語。
私は開業医の娘だった。
母親は優しくて美しい人だった、そして父は賢く堅実で理想的な父親だった、
私には一つ上に兄がいた。
私はそんな家庭環境のなか何不自由なく育った。
毎日が笑顔に溢れ、何もかもが満たされていた。
一つ不満があるとしたら、一つ上の兄の存在だ、いつもゲームをしていて、よく母に叱られていた。
兄弟喧嘩も激しかった、年齢が一つしか違わないことでよく比べられていたし、兄が手がかかる子供だったこともあり、私は母からの愛情というものをあまり感じられないでいた。
今にして思えばたくさん愛してもらっていたはずだ。
私は電車とバスを使い約1時間かかる私立の小学校に通った。兄は何故か近所の公立の小学校だった。
私は皆がほぼ公立の小学校に通う中珍しく私立の小学校に通っていたことで少し余所者の扱いを受けていた。
余所者というと言い方がよくないが、特別扱いの様に当時は感じていた。
そういう環境下のもと、私はおとなしく特に嫌なことも言わず従順に育った。
従順といえば聞こえがいいが、人に流されやすく、自分の意思を持たない子供だった。
そんな私がカルマを背負い、鬱病になるまであと30年もある。