表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

寝言

作者: 舞音

 「ただいま。」

俺は小声で家に入った。

「おかえり。今日も遅かったわね。」

妻が玄関まで出迎えに来てくれた。

優菜(ゆうな)は?」

「先に寝ちゃったわよ。」

「そうか…。」

6歳の娘の寝顔を見に寝室に向かう。

娘は気持ちよさそうに寝息を立てていた。

「今日も頑張ってきたよ。」

小声で呟くと優菜は寝返りをうちぼそっと言った。

「パパ、公園楽しいね。」

くすっと笑ってしまった。

日々の激務も娘の寝顔とこの寝言を聞ければ乗り越えられる。

娘を守るためなら何でもできるような気がしてくる。

ありがとう。

 パパはいつもお仕事で帰って来ない。

朝起きるとお仕事に行ったってママが言うの。

夜も一緒に寝たいからお絵描きしたりして待ってるのにパパは帰ってこない。

ママにもう寝なさいって言われてもパパを待ちたいって言ってママと一緒に待ってるけどいつも眠くなっちゃって寝ちゃってるの。

もっとパパに会いたいのに…。

お仕事がお休みの日は朝起きるとパパはだいたい寝てる。

ほっぺたを引っ張っても、揺らしても全然起きてくれない。

早く遊びたいのに…。

パパはうっすらと目を開いて私を抱きしめた。

「優菜…。寂しい思いさせてごめんね。大好きだよ。」

パパがぼそっと呟いた。

嬉しくなって私も大好きだよって言ったのにパパはまた寝息を立てている。

 パパと公園に来た。

私が走り出すとパパは荷物を持ちながら一生懸命追いかけてくる。

「優菜ー!パパからあんまり離れないでー!」

そう言いながら走ってくるパパを見ると楽しい気持ちになる。

私が行きたいところに全部ついてきてくれて一緒に遊んでくれる。

途中でお仕事の電話がかかってきたみたいで嫌な気持ちになったけどチラッとパパはこっちを見てすぐに電話を切った。

「パパ、お仕事なの?」

「ううん。今日は優菜と遊ぶ日だからお仕事は無し!」

そう言ってパパは笑いかけてくれた。

私は嬉しくてパパの手を強く握ってブランコに向かった。

 旦那と娘が一日中遊んで帰ってきた。

美味しそうに昼ごはんを食べたと思ったらそのまま二人とも昼寝をしてしまった。

片付けをしようとするとぼそっと声が聞こえてきた。

「もっとたくさん遊ぼうね。」

「うん。大好きだよ。」

「優菜も大好きだよ。」

寝言でも会話をしている二人に少しの妬ける気持ちとずっと見ていたい幸せな気持ちを感じながら眺めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ