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赤ちゃん幼児は泣くのが仕事です

 赤ちゃんは、そう!泣くのが仕事なのだ。


 春到来。

 川下りシーズンとなりました。

 桜がぼちぼち咲き始め、海外のお客様はもちろん、日本のお客様もたくさん来ていただいています。


 気候もよく、どこかに行きたい気持ちもたけなわ・・・そうだ川下りにいこう!そんなお客様も多いかなあと思います。

 真にありがとうございます。


 私が操船する舟には15名前後のお客様が乗っていただきました。

 ご夫婦が3組それぞれ小さなお子様を連れて、それと前方にご年配の方々でした。


 舟を進めて、まずは挨拶と自己紹介、注意事項の説明をしていきます。

 ほどなくして、

「うぇーん!」

 乳児の女子がギャン泣きはじめます。

 つられて、

「うえーん!」

 隣の男の子。

「ふふふ、こんなこともありますよね」

 なんて余裕顔をかます私。


 舟の中ほどでは、幼稚園ぐらいの男の子たちが、興奮してはしゃいでいます。

 泣き声も止み、

「さあ、それでは」

 と私は仕切り直し・・・。

「ぶぶぇーん!」

 お父さんに叱られた男の子が、本気泣きをみせます。

 すると、おさまった子どもたちも。

「うぇーん!」

「うぇーん!」

「ぶぶぇーん!」

 の大合唱。

 苦笑する私にも焦りがでます。


 とりあえずでも、ガイドをと。

「ここは・・・」

「うぇーん!」

「うぇーん!」

「ぶぶぇーん!」

「びびびびぇーーん!」

 声がかき消されます。

 前にはご年配の方が渋い顔。


「小さいお子様も乗っていますから、こういうこともあります。では、童謡を歌うよ」

 と、先出しをして、白秋先生の「ゆりかごのうた」を頼むねんねこしてくれ~と思いいつつ、歌い、

「うぇーん!」

「うぇーん!」

「ぶぶぇーん!」

「びびびびぇーーん!」

「・・・・・・じゃ、雨ふりいくよー」

♪あめあめふれふれ かあさんが・・・♪

「うぇーん!」

「うぇーん!」

「ぶぶぇーん!」

「びびびびぇーーん!」

 もはや、ガイドどころではなくなりました(笑)。


 しかし、私も船頭です。

 ここで昔取った杵柄を発動します。

「じゃ、アンパンマンのうた、いくよ~」

 心の中で、すいませんお客様、まずはこの子たちを・・・ね。

♪最初のフレーズ♪

 久しぶりに歌う「アンパンマンのマーチ」は、やはりうろ覚えで、とちり気味でした(笑)。

 だけど、それが功を奏したのか、男の子は泣き止み、アンパンマンを歌いはじめました。

 流石、アンパンマン!不動の乳幼児への人気ぶりです。

 やがて、泣きつかれたのか、もう一方の女の子は寝てしまい、男の子は泣き止みました。


(ふぃーい)

 心の中で大きく息を吐き、通常ガイドへと切り替えますが、まあ調子はでなないというか、手ごたえがないというか、それでも、やれることはしっかりやろうと私の出来る限り(といってもいつものこと)しました。

 

 川下りはおよそ一時間、小さい子にとっては、まあしんどいねと思います。

 しかも夏になると直射日光が強く照りつけますしね。

 小さい子は選択の余地がないので、親御さんの裁量です。

 舟という閉鎖された空間に、異なる環境、そりゃあ泣きますよ。

 泣いて当然。

 動き回りたい年頃なのに閉塞空間でもあります(笑)。

 それに子どもは泣くのが仕事でもありますから。

 難しいですね。

 乗合船なので、こういうことはたまに起きます。

 様々なお客様がいますし、自分達だけじゃない。

 そこをなんとかするのが、私たち船頭の仕事ですけど・・・うん、もっと精進ですね。

 腕を磨かないと(笑)。

 

 


 そんなこともあるよね~。

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