石の上にも三年
芝生の上に3年いた。3年もいた。
「石の上にも3年いて」
そう言われたときは、焦った。
でも、硬さが気になるのは最初だけだった。1年経てばもう、一生暮らせる気になってくる。不思議なものだ。
正座はキツい。でも、イスみたいに座れるタイプだった。しかも、お手伝いさんもいた。だから、耐えられた。
でも、芝生時代は良かった。ゴロゴロが、ほぼ無限に出来たから。歩くことも、走ることも自由に出来たから。
もうすぐ、石生活は終わる。そして、新しい生活に入る。
これからの3年は、どっちか選んでいいと言われた。芝生の上なのか。石の上なのか。
走れる方が、いいに決まっている。柔らかい方が、いいに決まっている。でも、石も捨てがたい。
「あの石の近くには木があって。生い茂った葉っぱが、傘代わりになるんだよな」
そう、独り言をつぶやいていた。石の硬さには勝てるが、雨の冷たさには勝てない。