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新たなダンジョン『零時迷子』

「零時迷子…?それが新しいダンジョンの名前なの、ジュリアさん」

「はい。鑑定スキル持ちの方に彼のダンジョンを鑑定して頂いた所、そのように。」

…どうやら新しいダンジョンは【零時迷子】と言うらしい。因みに討伐難易度は発見された現段階で出現が見られた魔物から鑑みた結果……討伐難易度はB~S級と判定が下った。あくまでも“現時点で”だが。

「遠き翼のお二方…お気をつけて下さい」

「はい、きっと二人無事に戻って来ますジュリアさん!」

「ではな~♪」

ジュリアの激励にサリナは威勢良く、クロエは楽しみで仕方ないのか細くしなやかな猫尻尾をピンと伸ばして声まで弾ませて喫茶店のような木目調の落ち着いた冒険者ギルドを飛び出して行った。

冒険者の仕事は命懸けだ。だが──誰より何より…時には寝食すらも忘れて〝冒険〟に勤しむ命知らずの愚か者の集まりである。

未知を求め未知に魅せられ〝既知に飽いた獣〟。

冒険者(かれら)をそう称する者もいる。

魔物の血に(まみ)れ時には分の悪い賭けを己自身の命すらをも賭けて(ベット)して手にするのがパン一つでも冒険者(かれら)は〝冒険〟を止めない、止められないのだ。

ある者は畏れある者は野蛮だと謗り貶す。

…だが、忘れてならないのは冒険者は冒険者ギルドは国家には従属していないと言うこと。

それ即ち一度(ひとたび)敵に回れば冒険者を声高に馬鹿にし卑下し貶していた“愚か者”から先に淘汰されると言うこと。

何故なら冒険者(かれら)が危険なダンジョンから持ち帰る数多の宝物や獣の肉や素材から貴族の纏う豪華絢爛な毛皮のコート、ドレスに必要な各種稀少素材諸々。…全て魔物から取れる特別な糸から楽器や紅茶等の嗜好品はダンジョンからその多くが出土されているのだから。

冒険者の多くは平民だ。だが、一部の貴族…跡目を継げない次男三男、長女次女が稀に冒険者登録しに来る。完全実力主義の冒険者の世界…忖度も賄賂もコネも一切合切通じない。(そんな事をしたら精霊王が制裁に飛んで来る)

冒険者ギルド…ギルドマスターに任命された時、戦神アルバトロスに()()()公平平等にギルド運営を行う。

精霊王は戦神の“代わり”に精霊界(ティルナローグ)から虹の橋虹の橋(ニルヴァーナ)を渡ってやって来る。精霊王は全部で10属性全てに在るとされている。(誰も会った事がないので詳細は不明)


「ふんふ~ん♪」

「ご機嫌ね、クロエ」

「当たり前田のクラッカーよ♪」

「だからそれ何?新しいお菓子の名前……な訳ないか。コレ、だものね……ハァ」

サリナは幼馴染みのたまに出るこの言い回しにいつも呆れている。お菓子の名前か、と訊いても『違う』と言うだけ…そして決まって曖昧な笑みで『…なんでもない』

「なんでもないわ」

と言って何処か遠くを見遣る…今のように。

伝わらない、伝えられないもどかしさにほんの少し“違う”淋しそうな、哀しそうな表情(かお)が…サリナは妙に引っ掛かっている。

普段が明るく活発なクロエ故に。

だから。

「…辛気臭い顔してんじゃないわよ、クロエ!」

「…っ!?あ、危な──ッ!?な、なにすンの…っ!?」

…だから、サリナはそんな辛気臭い(ツラ)の幼馴染みの顔面目掛けて短縮詠唱で光の球(ライトボール)をぶつけた──が、獣人らしく恐るべき反射神経で(かわ)される。

後ろの木にぶつかって消えた……チッ、野生児が。

「…ナレーションで罵倒された…?」

「……。」

野生の勘か。

「猫獣人は“獣”じゃない!…あと野生の勘ではなく『女の勘』!」

「猫扱いは許容するのね…」

「…最近近所の野良猫達(あいつら)の言いたいことが分かってきた…猫語を習得するのも時間の問題かもしれない」

「……幼馴染みが野生に還りそうで引く」

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