応報
「もう〜い〜かい?」
「「「「まあ〜だだよ」」」」
低学年の小学生の女の子たちが公園でかくれんぼをして游んでいる。
公園に隣接する駐車場に1台のワゴン車が停まっていて、運転席に座っている男は女の子たちを眺め物色していた。
女の子の1人が隠れる場所を探してワゴン車の側に寄ってくる。
男は周りを見渡しワゴン車に近寄ってくる女の子以外に人がいない事を確認。
ワゴン車の側でウロウロしている女の子の口と鼻に薬品を染み込ませたハンカチを押しあて、ワゴン車の後部座席に放り込む。
駐車場からワゴン車を出そうとした男の目に、駐車場の出入口の脇にある提示板に貼られたポスターが映る。
そのポスターに書かれているのは、市内を流れる川の川原で遺体で見つかった女の子の犯人に繋がる情報を求める物。
男の目を釘付けにしているのはポスターの女の子の写真。
今、拉致った女の子そっくりだったから。
後部座席に目をやろうとした男の首をゾっとするほど冷たく小さな手が掴み、女の子のささやき声が聞こえた。
「小父さんも私をイジメるの?」
男は恐怖で顔を歪ませる。
男の心臓が鼓動する事を止めた時、男の耳に子供たちの「「「「もう〜い〜よ」」」」の声が響いていた。