つるはしを持った転移者17ー2
「そうじゃなくて、他の町に分散してと言うのは無いのですか?」
「そもそもそういった細かく町に分散してるのは無い。たまにやる軍事演習とか召集が面倒だしね。ええーっとウルの指摘も最もだよ。ただそこがこの国の特殊性さ。不測の事態に備えた軍じゃない。魔族って決められた相手への兵力なので他の仕事が無いんだよ。
それはハンターとその村、町に自警団が居るからね。ちらほらいるけど、それは税を納めなかったりしたものを力でおさえつけるための警察みたいな組織だと思う。
ただそれが軍隊が遣ってるから町にいるけど、これらを集めて軍隊として機能させるってほど意識するものじゃない。んま治安維持って意味があるけど、その中で最大の脅威が魔族だから。過去に最初に攻められた町がウルドなんだよ。
たださ最近どうか?と言うと無いよ。だから魔族と人間の戦いってどこか生ぬるくなってるんだよ。昔はここまで攻めてきたのて分かると僕も魔族と人間の中が悪いの分かる。でもそれ500年以上前でしょ?伝統としてウルドの過剰兵力に繋がってるけどさ」
「分かりました」
「さて、さらに具体的に話そう。歴史は話したね?そこがポイントになるんだよ。ウルドの兵力残り1100は、実は砦を西として100と残りは東南北で3つに分散されてる」
「集中したほうがまとまってすぐに行動できませんか?」
「それが歴史だよ。町が攻められたんだよ。これは町に対する防御として4方を固めて、防御力が高い砦は援軍待ちの100ってわけさ」
「何か良く分かりませんね」
「僕だってそうさ。最初聞いたときは?って思ったよ。それで歴史を紐解くとおそらく形骸化したんじゃない?って見てる。今となっては合理的じゃないから意味が分からんのだよ。まあ良いさこれを僕らは利用して、潰していくよ。当面この北西部を全体としてまとまる前に集めさせずに2000削ってしまう」
「やけにこっちに都合が良いですね?」
「罠とかじゃないよ。歴史調べてあるし亜人が生まれる前からの歴史が、どうやって誘う罠になるのさ。さてその一番の答えは僕が勝つための穴をずっと探してたからだよ。それがたまたまウルドって街だっただけだよ。
正直もう全面戦争でも勝てる可能性がある。それでも僕は穴を探して待ったんだよ。遅れれば遅れるほど相手が軍備を整えてくるのにだよ。ちなみにこの2000多いって話の続きで増えてるんだよこれ。戦う意思を感じてる」
「しかし良く数分かりましたね」
「んまーいついつどこで訓練するって堂々と発表があるからね。この点はさ情報戦なんてした事が無いんだから仕方ないと思うよ。おかげで僕もあまり金かけずに諜報活動出来てるよ。んでもそういう細かい事イチイチ目視で確認とか兼業でやらせられないからね。そのための専門部隊だよ。別にスパイ組織みたいな立派なものじゃないよ」
僕は間を置いて
「ああそうそう、すべて筒抜けなわけじゃない。新しく情報分門として積極的に敵の情報を貰う南部の森の住民が今そこら中の街に散らばってるからね。軍の施設に普通に出入りしてるよ?」
「危なくないんですか?」
「別にどうだろう。街のおばちゃんの噂話、雑談レベルだよ。そういったものの確度、精度はすべて肝心の諜報部隊に任せてあるから。特に危ない事は一切させてない。情報を集めさせてるわけじゃないんだよ。そんなの仕事しながら面倒じゃない。
気がついた事あったらおせーてって言ってるだけだよ。迷惑だよ兼業でやらせていたら。他の人間の国いる亜人には知ってても言うなぐらい。その差だと思う」
「そういえばこの手の事って二人も交え無いですか?」
「細かすぎる。大雑把には伝えてある。何か作戦を実行する時はまたさらに話すから。ウルには1~10すべて教えるぐらいで話してる。出来る限り要点だけ伝えておいたほうが頭入るから。ウルはそれ以上の事要求してる。作戦立案への協力も入ってるからね」
二人で細かい事まで詰めて、後はそれを武と戸村君に話してとなる。ただ武は初期の段階では協力は無いかも。モンスターは大軍相手じゃないと、細かい小部隊でのミッションには不安だ。
「ウル微妙に修正がある。人間の国の税に詳しい村のミドルハンターに聞いたけど、今でも騎士とか貴族みたいのが税金取ってる地域がある。もちろん領地じゃない。それなりに上の人間で軍に勤めながら税金も取ってる。
んまー平時は暇だからな…、ただそれが地域でてんでばらばらになってる。ええーっと地方領主制度が形骸化してるため徐々に王に直結する組織に変わりつつあるけど、これが中途半端になってる」
「そうなると?」
「全体としてある所が攻撃を受けた場合。数揃うの多分かなり遅い。後自警団のメンバーってハンターか?兵士か?って選択が多くて、そういう半農の兵士もかなり多い。後は傭兵ね。今一番困ってるのって傭兵じゃないかな。おそらく、僕らが思ってるより集まりが悪くて、各個撃破簡単なんじゃないの?って見てる」
「国の制度が関係してるんですね」
「うん、小さな島みたいなところだからね。そのせいで王国の中央集権が進んでるけど、それって王様と魔王がともに地方領主にすぎないとも見れるんだよ。こんな中途半端な状態になったのもわけがあるって話さ。
大陸がもうちょっと大きかったら、確実に領主=貴族の権力が強かっただろうね。調べれば調べるほど、軍備拡張は止めた方が良いだろうな。大きな戦争をすると半農半兵の農家にダメージがある可能性がある」
戦っていればそれなりに時間が過ぎるからその間に常備兵に足される形で各家に住んだ騎士、兵士が集まってくると言う感じかと。
二人を呼んだ。
「いよいよ、人間との戦いを始める。ただ二人に知っておいて欲しいのは、正直このまま人間が攻めてくるのを待った方が僕には都合が良い。ただ森を燃やされるかもしれないとの戸村君の鋭い指摘で僕は対処を全く変えた。僕から攻めなくてはいけない。ただそれでも全面戦争は避けたい。そのための策をずっと練ってきた。前提となる戦力の準備と、それが出来たので話すよ。
まず第一段階は武は必要が無い」
「良いのか?」
「うん、繊細で小規模な作戦が中心になるので、大雑把なモンスター部隊向いてない。次にこの作戦の要は戸村君のゴーレムにある」
「僕の?」
「うん、不可欠、協力が無理なら練り直すほど」
「もちろん協力するよ。亜人国の問題は僕の問題になりつつある」
ざっとウルとした話をして戸村君への個別の話をした。
「ウル、南部の森に伝えて潜入してる亜人に危険を避けるように話しておいて。万が一計画漏れる恐れがあるから。細かくは伝えなくて良い。あの住人なら多分対処できる。
じゃあ戦いを始めようか」




