つるはしを持った転移者15
「モーターを作ろう」
僕はウルにそう話した。
「モーターですか?」
「飛躍的に生産効率を上げるには人力だけじゃ苦しい。そこで機械化だ。しかしエンジンが作れるなら人間の国より技術力がある。ならもっと簡易的なモーターにしよう。まだ問題がある。仮にエンジンを作ったとして十分な出力が出せる燃料が無いんだ。この点僕らには水力がある。電力発電してモーターランドにしよう」
実は僕簡易的なモーターを作った事が在る。その経験が第1世代モンスター娘ぐらいにはコピーされている。皆で頑張れば出来るんじゃないか?しかも発電とモーターは同じ仕組み。問題となるポイントは、永久磁石と電磁石をモーターによって切り替えるのと、蓄電式の電池。交流と直流の問題。
当然最初は電気が無いから永久磁石式や、蓄電池による電池でスタートする。これをいずれは使って電磁石式の発電へと切り替える。
「うーん、上手行ったから逆に問題ですね。とてもじゃ無いですが、これじゃ人間の仕事を任せるようなものになりませんよ?」
「モーターと電気は作れたのにね…。技術屋と学者連中の玩具として渡してこれは一旦辞めよう…」
発電に使った水車のエネルギーを別の用途に使う事で多少は生産性の向上に繋がった。
「将来技術屋達が発展させるのを期待しよう…」
「思ったのですが、将来的にも電池が重くて農業機械に使うのは無理じゃないでしょうか…」
「有線かそりゃ無いね。だから農業機械ってエンジンなの?」
「ええ生産性向上で使えそうな電ノコって基本有線ですよね」
「僕らの時代でもさ電気自動車って蓄電が問題なんだよね。あのレベル作り出すには文化水準低すぎる。多分あの電池効率よく作るのに石油文明の恩恵あると思うよ。詰んでるな…」
一気に技術立国になる夢を断念。その前段階の水車がすごく役に立って良かった。まあ亜人は人並外れた力あるから生産効率人間の倍ぐらいはあるけど。
新しく広まった体力回復石を別の用途に使えないか?を模索。前から魔力をもっと大量に組み込めば耐え切れなくて、爆弾みたいなものになるんじゃないか?と模索していた。所謂無属性魔法って奴だ。これで魔力の流れを作って、5個ぐらいの石を1つにまとめてしまう。魔力切れで普通の石に戻ってしまう。
「なんとか成功しましたね」
「これさ危ないんじゃない?」
「限界は当然あってその時注入中に爆発されたら危険でしょうね」
「自分じゃなきゃ良いとは思ってないけど、ここからは魔法を熟知した魔法具の技術屋や魔族系の子供達に任せたほうが良いな。くれぐれも危険な事はしないように言って置いてね」
「でこれどうやって爆発させるのですか?」
「火魔法のマジックアイテムを時限式にでもして使用かな」
早速試してみた。中々の破壊力。
「後はすべて改良してだね。これ使えるね?」
「はい」
「これ戦争にだけ使うけど、ちょっと製造法は秘密にしたほうが良いな。僕の直轄の秘密の情報みたいな場所を作ろう。僕の権限無しに無断に覗いたら駄目」
多少お金が掛かるのが難点だが、これは爆弾兵器として使える。
「1年たたずに6000人達成しました」
「何故予測ミス?」
「そもそも大体ですからね…」
「よしさらに加速していこう。大丈夫?」
「はい、以前とは違います。加速度的に増える人口に対応できるようになっています。土地は十分ありますしね」
以前から亜人の人間化がいろいろと問題も起こしていた。様々な戦略に便利だったけど、もう十分な人に似た亜人は居る。ここらで減点に立ち返ろうというのと、多少無茶しても良い余裕が出来始めていた。
モンスター娘の大量発生。それらを子孫世代と子作りしてもらう。もう僕の奥さんじゃない。亜人の血を濃くする。どーせその子供には僕の血が流れるんだろし。
当然発生する問題が、人口爆発。土地が増えて食料的に余裕が出来たのがすごく大きい。人間化によって人口減を成長低下が最近重要だったけど、即戦力としても使えるファースト世代の増加も重要だし。ここは仕掛けて行くべきだと思う。
それにしてもモーターは失敗だった…。作れたのに使えないと言うのが残念すぎる。まあもちろん子供の工作レベルだけど、過去の自分に早く気が付けよなと言いたいのもある。蓄電池も一応作ったけど、その前に電池作ったときにこれ重過ぎると思って断念。この電池を機械につけたらさぞエネルギーロスするだろうなと分かってしまって。もちろん作った後にねって話で。
まず農業機械としては使えると思ってない。ただ何か生活のためのものを他の人なら考え付くかもしれないので、僕としては保留。後は将来的には魔力変換装置作ってる技術を取り入れないとな…。上手くやって生きたいのでその辺り穏便に。そっちだけ上手く行ってくれたのが良かった。ただ無理して実験しないで欲しいわ。今でも十分使えるから。




