地味な魔法
俺はハンター資格を持つ魔法使い。仕事としてはミドルハンターって扱いになるのかな。開拓地を回っている。魔法使いなんて専門職みたいにいう気は無いけど、魔法も剣士もどっちもやる魔法剣士ってのは何か違う。もちろん近接戦闘において剣は振るう。
しかし、攻撃の軸はあくまで魔法。だから俺は誇りを持って自分を魔法使いと言いたい。魔族だと違うのだろうけど、どうも人間の国では魔法はあまり人気が無い。これは武器防具の発達が大きい。どんどん進化する武器防具に対して人間の国では魔族に較べて魔法が遅れていてあまり変化が無い。
後不人気な理由に高いレベルの魔法は詠唱がそれなりに長い事。攻撃力の高い魔法を無詠唱で遣るなんて、転生転移者しか居ない。と言うかあれは魔法なのか?剣と魔法って分けられていて、その分類では間違いなく魔法なんだ。しかしあれを魔法に入れると魔法は過去の様に、なんでもありの考えても仕方ない技術になってしまう。
それが長い時間をかけて主に魔族がだが、魔法は出鱈目なものじゃないと整理整頓されてきた。転移転生者の力はその他と言う項目を作って魔法から排除して欲しい。ただ転移転生者の力が魔法に入れられたのは理由もある。多くの転移転生者は魔法の延長のような力を使うから。
ただそう見えるだけで、出鱈目で滅茶苦茶なすごい力を持った転移転生者と、魔法のパワーアップ版みたいな力って実は同じだと思う。魔法に詳しいものならあれはその他にして転移転生者だけが使える特殊な力と纏めるべきだという意見が多い。
さてそれは置いておいて、不人気理由に魔法は初期魔法はすごく重宝されるが、上位魔法と初期魔法の間が使えない。このせいで上位魔法に行く前に断念するものが多すぎるんだ。魔法ああ便利だね。ハンターになったらまず習得したいよ。これは事実だと思うが、それは初期魔法の事なんだ。すぐ覚えて知らない人間に対して大きな攻撃の幅が増えるアドバンテージになる。
多くのハンターが魔法を学ぶのは重要だといってるのは、初期魔法の事でそれ以降熱心なものが居ない。故に剣士としては並でも上位魔法を使う俺は自らを魔法剣士ではなく、魔法使いと名乗るんだ。
魔法剣士には2種類居る。ポピュラーなのは、初期魔法を剣術の中に組み入れて使うのが上手い。第2は転移転生者だ。馬鹿みたいな使い勝手の良い魔法みたいな、その他の力を組み合わせた剣術。この連中と俺が同類にされたくないから分けてる。
魔法の有用性は上位魔法を覚えてやっと始まる。使えないと思われる魔法もチームとして機能するなら使い勝手が良い。集中攻撃をするなら、分担できる魔法はありがたい。ただ一人で戦うのを前提にするなら確かに魔法剣士は一つの魔法の使い方のあり方だと思う。
まあ本物の魔法剣士も魔族なら居るんじゃないか?と考えてる。戦場に出たことが無い俺はそれを知らないけど。養成所で本物とであった戦場経験者の先生が話していた。
分担攻撃においてはあまり初期魔法って有用じゃない。隙を作ったり、フェイントになったり使える。だが、初期魔法で大怪我をするモンスターはゴブリンぐらいだ。初期魔法では致命傷を与える事ができない。それに対して剣士のレベルにもよるが、上位魔法は剣の攻撃力を超えるものがある。そして弱いものは広範囲で攻撃できる。
そんなすごいなら何故皆目指さないのか?当たらない…。決して全く当たらないわけじゃない。いろいろと工夫が居るのと確率の問題に過ぎない。例えば良く当たるけど弱い武器による攻撃と、確実に高いレベルの攻撃を与えるが外れる事が多い魔法とどっちが良いか?ならそう簡単に答えは出ないはずだ。
当たらない原因は長い詠唱と、やや詠唱後のタイミングの問題と、なんとなく範囲指定のため、そこが確率的になるため。タイミングの問題は発動した時にはもう狙った場に居ないこと。
魔法によっては追尾機能があるが、それはごく一部の魔法で威力も落ちる。それでも俺は当たるかもしれないが、必ず致命傷負わせる攻撃はその中の何割か?と言うと武器による攻撃の的中率と言うのが怪しいものだと見ている。必ずしも武器より凄いってわけじゃない魔法を、労苦が多いのに習得するのは変わり者だけになってしまう。
ミドルハンターが基本魔法の使い方が上手い。だからと言って必ずしも魔法使いが多いわけじゃない。魔法を使ってより良い結果を出す。これがミドルハンターの特徴。武器が剣なら、剣術だけで同じレベルを保つのは難しいからだ。
過去俺が出会った相手が典型的なミドルハンターらしい奴だった。
「エリック、俺は後方から援護する」
「ああじゃ俺が詠唱邪魔されないように、剣で対処するから」
エリックは典型的な中途半端な魔法剣士だった。珍しく初期魔法じゃなくて中級魔法クラスをこき混ぜた変な奴だったけど。それでも初期魔法混成剣士の延長のスタイルだった。短い詠唱と無詠唱を剣術に組み合わせる魔法によって、剣士をメインでやってるハンターに較べてアドバンテージあるタイプ。
どんな剣士でもハンターであれば魔法を使う。ただエリックほど高度に使いこなせてないだけで。エリックが特徴的だったのは、魔法使い専門としても相手次第ではあわせるからだ。俺が相手ならエリックは魔法剣士になる。そしてエリックが思い出深いのは、自分は魔法が得意だと思ってる点なんだ。
これでよく覚えてる。いやもちろん否定したりし無い。本音で話さなかったのか?と言うとそうでもない。確かに魔法が得意なんだ。だがミドルハンターとして魔法だけで戦ってどうにかなるレベルじゃないんだ。
俺レベルの人間がごろごろいたらエリックの認識は変わっていたと思う。でも俺は特異な存在で、確かにエリックは相対的に見て魔法が得意だった。
そしてエリックが認識を変えなかった最大の問題は、転生転移者の存在だ。あれをすごい魔法使いだと思ってるからずれてるんだ。別格例外を含めてるから。地味に凄い本物の魔法使いについて気がつかない。
ミドルハンターでさえこうなんだ。ハンター全体で魔法の有用性が正しく認識される事は無いだろう。すごい魔法は全て転生転移者の手柄になってしまうから。
別にエリックが嫌いじゃない。どっちかと言えば方向性が違うだけで素直に優れた奴だと認められる。魔法によって他のハンターと差をつけていた代表の様な奴だった。だからこそ開拓地が違うから分かれた今でも覚えてるわけで。中途半端な魔法剣士としては多分最高点のような人物なんだろうなと思う。だからこそ転生転移者とそうじゃない人間には大きな壁がある。




