北方開拓地にて
俺は亜人のミドルハンター。ちょいとばかり人に似てるから。俺は人の世界で暮らす事になった。でも俺には特別な役割が当たれられた。苦労するとは言われた。本来ミドルハンターってのは食うには困らない一般的なハンターからすれば成りたい職業のNO1だと思う。
勇者とかSハンターじゃないのか?ああいうのなんていうか天性のもので普通の人間じゃ日本で言う宝くじ当たるようだ者だ。って俺たち亜人は皆何かこの日本ってやつのうっすらとした記憶が染み付いてる。族長はそれを亜人って種族が共通して持つ原風景ふるさとなんだとさ。
俺たちは森の中で生まれたんじゃないのかい?となるともっと前の話らしい。分かりやすく言えば族長は皆の先祖だから、その族長のふるさとは皆のふるさとでもあるって話らしい。分かったような分からないような。
苦労するって言われたのは俺が受けた特別な役割じゃないミドルハンターは、国から補助金貰って国に税金を収める農地を増やす連中の事を言う。俺はその補助金なしに税金だけは納めろらしい。じゃそっちの方が良いに決まってるじゃないか?だから苦労するといわれた。もちろんこれには族長には都合の悪い事がある。
族長は俺たちの森の近くを開拓したいのに国はやらないんだ。だから勝手に人間の土地を堂々と亜人が開拓するために俺にミドルハンターの資格を取らせて人間のフリをさせるのを思いついたんだ。
「族長そんな上手い話は無いでしょう?」
「それがさ元々のミドルハンターはそうやって始まったってちゃんと文献が残ってるんだ。だからドズンは羽佐間俊って初代ミドルハンターに憧れてるって吹聴すれば良いんだよ。それにもうハンター資格は十分に調査してある。亜人ならちょろいレベルの資格でしかも金さえ払えば出自についてとやかく言われない。これほど便利な身分証明は無いぞ、下手したら地方の農民より信用してもらえるんだよ?」
「なんでそんなザルな制度が…」
「ああそれがそうとも言えないんだよ。魔族ってのはこういう小技まず使わない。魔族がスパイ活動なんてそもそもモンスターが現れたばれるし。向いてないし、かつ文化的にも性質的に合わない。じゃ1国しかない人間の国でスパイ活動なんてあるわけない。今後僕たちの事が明るみになったら全面的に変わるかもね。
スパイじゃないね。まあ他国の人間が自国民のフリをするって事が全く分からない国なんだよ。
でもさそんな簡単じゃないよ?これは亜人族だからいつもやってる事だけど、人間ならこんな事やらないよ。初代は転移者だから強かったからね」
「族長と同じ?」
「うん、そうなる」
「族長、俺はお金なんてあまり稼げなくても、亜人国と繋がりを無くすといわれてやるミドルハンターなんて魅力的じゃ無いです」
「まあ僕は自分の国が貧しい事分かってるから。亜人が持ってる力は人間にとってこれぐらい価値があるんだって、知って欲しいのはあるから外に出てる皆には何も不満は持ってないけどさ」
「なるほど、確かにそれは面白いです。ただ俺別に安くこき使われてると思って無いですからね?」
「事実こき使ってるよ。僕はさだから将来もっと豊か何なるために今頑張ってるんだよ?その協力をドズンにはやらせてるんだから。今貧しいのは意識しておいて欲しい。ここから抜け出すための今の活動なんだから」
「やっぱ族長カッコ良いですー」
族長はなんとも言えない顔で苦笑いしていた。でも実際亜人国はどんどん豊かになってる。それもこれもすべて族長がやってきた。
「あのさ、いつかは僕も豊かな国にして皆から少しお金貰って、自分の国で開拓する人に分配して補助金出してあげたい。ただ農地を耕すより、モンスターおぱらっていろいろ土台となる作業して苦労が多い。それに対して対価を払いたい。今は貧しくて出来ないけどさ。苦労だけ多いけどドズン頑張ってくれる?」
「はい任せてください」
なんとなく族長の考えが分かってきた。人間の国に雇われてミドルハンターすればこんなにもらえるんだよ?って選択肢を与えてるんだと思う。で俺はそれを突っぱねた。そんな事より族長が思う事を手伝いたい。意思の確認なんだと思う。森の中で同じことしても人間のフリしなくて良い。俺は多分一番大変なのが分かる。でもやり取げると誓った。
まあやる事自体はさほど難しくない。森の中でずっとやってきた事で、その経験から俺は選ばれてるんだから。問題はその他?の部分だ。これが結構苦労する。森の奴らとのやり取りを人間のややこしい連中に見られてはいけない。人間に見られてはいけないわけじゃない。モンスター討伐だとか誤魔化せば良い。
国に直接雇われてるような連中に見られたら不味い。まず税を払ってる役人。後は軍人だ。まあハンター仲間は特に問題が無い。商人は大体問題が無い。うちの村と森のやつらが遣ってるから。元々こっそりやっていたのを開拓地を、隠れ蓑にする事でもっと大々的にやろうと言うのが根幹にある。すでに商品のやり取りは成立してて規模が変わるだけだ。
そこに村の物資の運搬も入る。後は直接森のモンスターの肉を貰ったりもする。森に入らないとあんまり危ない地域じゃない。人間は必要以上に恐れて今まで放置してきたけど。だから逆にモンスターの肉は通常の開拓地より食べられない。
森は逆で、モンスターの肉が主で農作物が補助になる。元々はモンスターの肉だけ生活してたのを族長が足りないから混ぜたのと、後は、モンスター狩りすぎると駄目だからとこうなった。
俺自体はあんまり変わった事してない。どっちかと言えば、外に商売に行くやつらが森、うちの村どっちもややこしい事してる。俺は立場上この村からあんまり離れられないから。そもそも増えていく村全部俺が統括してる。ハンターの資格高いからポンポン取らせられないんだ。もちろん、亜人国から人間になった連中も養成所のお金だけは返している。
俺は、いろいろややこしい連中がこの辺り来ないか?情報を集めたり、時折見回りさせてる連中からおかしなのがこないか?聞いたりしてるだけだ。そもそもずっと開拓してて、その他をたっぷり出来るわけが無い。俺の役目は人間の世界ではっきりとしたハンターって身分があるこれにつきるから。大抵の事は俺がハンターの資格持ってる事で話せば解決する。
俺がここに居て開拓してて、ややこしい奴が絡んできたらハンター資格を持ってる俺が話をする。これこそが俺の仕事だと思う。まあ俺族長に養成所のお金返して無いから。今になると族長がこき使ってるの意味が分かる。これだけやって俺族長に返すお金ないんだから。基本森の連中と物々交換。食ってくのが背一杯。多分人間なら村の皆からいくらか取るんじゃないかな?
それならお金溜まると思う。取れるのは分かるけど、ごく僅かしか無い余裕農業だから良くない時期もあるんだし、溜めさせてあげたいよ。村がいくつも出来てそれをすべて統括する様になって、どんな変化したか?なら多くの亜人を食わせてあげている。結局これなんだよ。土地が限界を迎えるまでずっとこのまんまで、多分族長も似たような事ずっとしてるんだろうな。
そんな事思うと自分で皆を食わせる立場になってますます族長スゲーなって思う。




