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プラントハンター5

 僕は魔族の国に入った。結局許可証という形になった。基本一人で活動する事が多かったため他者と行動する事になれてなかった。ミーアはさすがに慣れた。後ミーアと根本的に違うのは、ミーアは僕らの国からずっと付き合ってくれてる。魔族の国だけの案内人と言うのは、何か監視されてるようだ。ただまあどちらが良かったのか?って話に過ぎなくて魔王様が気を使ってくれたわけじゃない。


 そこまで行く前で許可が降りた。魔族の魔王様の周りの居る人にも僕の作物の成果について関心を寄せられているようだ。そのためすぐに許可が下りたみたいだった。ただ魔族の人には悪いが、僕の目的は魔族の面白い作物を紹介するのが目的で、魔族側にはあまりメリットのある探索にはならないと思ってる。


 理由は明確なのだが、僕が見つけた作物は全て人間があまり入らなかった土地の物ばかり。そういう意味では人間が入らなかった魔族の国であって、魔族の人にとっては良く知った場所ばかりと言うのが違いだった。後はモンスター危険地帯で入れなかったのも重なっていて、そうなると魔族の人にはあまり関係ない地域になってしまう。


 僕は期待していたが、魔族の人の期待には多分答えられないだろう。


「さてミーアどこから行こうか?」

「私も実は魔族の国初めてです。そもそもジョナサンさんに出会ったとき初めて人間の国に行ったばかりだったですから」

「要するに亜人国から出たこと無かったんだね」

「そうです」


 回りくどい言い回しになってしまった事に対して、ミーアはちょっと苦笑いになった。大雑把でも良いから先入観為しにいろいろ見て回る事にした。


「うーん、変な作物について聞いてみたらどうですかね?」

「むむ、僕が面白い作物と言ったのはミーアからすれば変な作物なのか…」

「何かいろいろすみません…」


 だがそのミーアの助言が役に立った。変な作物と聞いて回ったらすぐに変な作物に出会えた。見た目は本当に普通のリンゴみたいな果実のなる木でしかなかった。しかし、これは水が無くても育つし、かれた土でも育つ、そして受粉も勝手に風が吹いて効率よく他の木にばら撒いていく。寒さにも強い。


「これすごい木だと思う。ただ変ってほどじゃないな」

「何が変なのか?と聞いたらこれすべて木が魔法をかけて処理してるそうです」

「そりゃ面白い」


 これは魔族の木だ。魔法の得意な魔族の国を代表するような木だ。どうにかして人間の国でも育てられないか?と聞いてみると。


「熟した実の種を植えればそのうち芽が出ますよ。熟した実は先ほど渡したもので最後です。でも種なら取ってあるから持って行って良いですよ?」

「それは助かります。これはすごい木ですね。大抵の作物が不利とされるような環境を克服しています。そのすべてを4属性の魔法で自前で克服してるんですよね?」

「ええそうなります。ただ」

「ただ?」


 やっぱ美味しすぎるものなこれ。何あると思った。


「この木元気なうちに伐採しようとすると手痛いしっぺ返しを喰らいます。得意な魔法で攻撃の意思のあるきこりを攻撃してきます」

「あはは、ますます面白い。気をつけますよ。でもそれって気をつければそれほど不味い特性じゃないでしょ?」

「実はこの木って高名な魔法使いなら、何十年も経った木は杖として使いたいって欲しがる貴重品なんですよ。それゆえ多くのきこりが悪戦苦闘するわけです」

「老木といかなくてもそういった木になるとさらに価値があがるわけですね。大変価値のある木の種を譲ってくださりありがとうございます」

「いえいえそこまで残る木はわずかなので、それは運が良いぐらいで覚えておいて貰えば良いかと」


 かなりの数の種を渡されて僕らは移動した。


「ミーアありがとう」

「お役に立てたなら嬉しいです」


 さて、僕らは魔族の国を回ったが、こんなユニークな作物は他には無かった。皮肉なものだが、他に見つかった作物の方がミーアには価値があると感じられたようだ。


 固い緑の殻に覆われた黄色の食べる部分からなる作物。中身をくりぬいてランタンに使うなどいろいろ工夫できるらしい。パンプキンと名づけた。後は食べ物と言うより香辛料かな?というもので真っ赤な色の辛い実がなる作物。赤い胡椒みたいなものとしてレッドペッパー。そして最後はレッドペッパーに似た感じの実で緑の作物。あまり旨いというわけじゃないけど、なれると苦味が美味しいピマン。


「さすがジョナサンさんですー」

「いやマギの木の方がすごいと思うけどな」


 そういえば例の変な木、魔法使いって意味でマギの木と言うそうだ。


「すごいと思うんだけどな…」

「うーん、木になる果実って随分時間が掛かるでしょ?ああこれ素晴らしい作物だなと分かるのって何年も後だと思うんですよ。後ちょっとこれすごさがピンと来ないんですよね」

「ああこれ1つ1つは地味なんだよ。でも様々な悪い環境に対応できるのが予想できる点なんだよね。大体作物に良くないとされるのってその4つだからね。まあ風は自家受粉で何とかなるけど。ミーアってさ僕がびっくり箱みたいな作物見て面白いと思ってない?」

「思ってます…」

「あるよそれは絶対ある。ただそういったびっくりな所がきちんと良さになってないと特にな…」

「説明聞いたらなんとなく分かった気がします」

「んまーでもミーアの助言で見つかったし今回は結果オーライで良いさ」


 まあ表面的には確かにびっくり箱みたいな作物ばっかり喜んでるように見えるかも。後今回1つ1つは地味だし。仕方ないといえば仕方ないかな。すぐには売れないと思うから。そういうのを見抜くミーアの視点が重要なのかも。


 僕はもうちょっと何か無いか?と不満だったが、とりあえず始めての魔族の国はこれぐらいにしておこう。今度はもっと細かく調査しよう。人の国に無い作物を一杯持って帰れるのは嬉しい。


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