つるはしを持った転移者11-2
ある日、情報が入ってきた。以前僕がなんとなく雑談で話していた。海に住めるモンスターが居ればなと話していたら、東部にそういう被害で困ってるという情報が来た。
「んじゃ行って来るからー」
そうウルに言った。いよいよ僕も外に出て活躍するんだー。
「駄目です、護衛を連れて行ってもらいます。どうも祐二は安全地帯の中だけにいて危機感が無いです。いつもの計画性の無い思い付きじゃこういう時危ないですよ?」
「むーー」
そういわれて4人護衛がついた。人型で最強クラスだと思う。特にヴァンパイヤの特性の薄いゴムラちゃんはSハンタークラスの力量があると思う。亜人は底辺がやたら強いだけで、実際はばらつきがすごい。この点特異能力次第の転生転移者に似てる。ただ今の所勇者クラスは居ない。武の突出した強さは間違いなく亜人国NO1だと思う。と言うか勇者でも魔王でもなれると言われてるからな。
しかし見た目はどう見てもただの少女なのにこの子亜人最強クラスだからな。平均的には人外な外見ほど亜人は強い。だからこそ例外的に強いヴァンパイヤの種族は重宝するんだ。ジョナサンにつけたミーアもかなり強い。ジョナサンをすごく重視してるので、死んで欲しく無いから僕が人選した子なんだ。まあ気に入るかな?も重要項目だけど。
現地に着いた。当然僕の狙いは、海で生活する娘の誕生だ。なんだかんだ言ってモンスターって人間が好きだよな…。僕らの土地って前はただの人気のない海なので海生モンスターは皆無。つかー最近まで居ないのかな?って諦めていた。両生類っぽい水気を好む系統っているんだけど、淡水なんだよな。塩水はちょっとと塩を作るときに断われてしまった。
「あのー、海から来たモンスターの被害があると聞いてやってきた討伐隊なのですが、案内してもらえませんか?」
嘘は言って無い。ハンターだとも言って無いし、国から派遣されたわけでもない。すんなり案内してもらったが
「ああここからは危険なので申し訳ない。迷うところじゃないので後はお願いします」
そういって案内してくれた人は去っていった。現場に到着する。ああたむろってるね。半漁人ってやつなのか?後は完全に水の中に居る蛇みたいのも混じってる。あれどうやって倒そう??
僕が手を出す前に4人が攻撃した。
「うおーい殺すなよ?」
心配だったので僕も独自に攻撃した。すぐに新しい娘が生まれた。ちょっと魚っぽい子だ。他の弱ったモンスターからも娘が生まれて。
「あの蛇僕の方に持ってきてー」
そう新しく生まれた魚娘達に頼んだ。
追い込まれて僕の方に来たのでつるはしで攻撃してやったら娘が出てきた倒せた。蛇かと思ったらドラゴン系だな。
「族長って普通に強いんですね」
とゴムラちゃんに言われた。僕って尊敬されてるのは分かるけど、たまに馬鹿にされるような発言をされるような気がするのは気のせいだろうか…。
「いや君らの祖先の娘産んだの僕だからーー昔はパーティーのリーダーしてたんだよ?奥さんが危ないから出ちゃ駄目って過保護にするから、すっかり暇そうな族長になってしまったけど…」
「族長申し訳ありません」
「良いよ、そう見られてるんだろうな?ってやっぱりかって思っただけなので。奥さん達から昔は頑張っていた話広めてもらうから。ゴムラちゃんも広めておいてね」
明らかに人間じゃないので、持ってきたローブを着せて帰った。怪しすぎるので、つれてきた数人はローブ脱いでもらった。
海の家で族長としてのお仕事に励んで、いろいろと割り振った。まず魚。んでそれを基盤として、目的とする海岸沿いの東の先端の開発。これを陸の種族と連動して行う。次に半島に島の近い場所にすでに存在する村と協力して島を微妙に開発してもらう。陸での活動がやや向いてないけど、その代わりエラ呼吸できるのが良かった。半水半陸の村を東部も含めた島のあっちこっちに作ってもらった。
陸の村の生活を助けて、余剰の魚が内地の僕の所まで干物だけど届くようになった。国全体としてかなりの量の農産物が余っていたのでそれをせっせと他国に輸出して金を溜めていた。そこから新しいもうちょっと大きい船を買って、いよいよ東部との貿易に乗り出した。
まずは怪しげな集団になるので、東部の亜人村を海にも広げた。ここを中継地点として広げていった。この地域がややこしいのは中央部よりはジョナサンたちが開拓した明確な中央とつながりの深い人間の領土があって、そこより西はまた森になり亜人国の影響が強くなる。そして東部は山脈の麓にあり、その上部には亜人国の山岳民族が居て麓の村と交流がある。
海辺は山脈裏側の村と船で交易をしている。人間と亜人国の影響がモザイク状態になってぐちゃぐちゃになってて、東部自身は中央の影響の薄い一応人間の国になってる。南部勢力の様な第2の人間国にある亜人族の地域じゃない。ただ東部への深いつながりは、豊かな人間の技術を堂々と吸収する良い場所になった。
今までは魔族の融和地域に入ってきた人間の技術を間接的に得ていた。今は直接そういった高い文化と振れあう交流が出来た。融和地域と東部の技術の流入で亜人国の金属製品の質が急激に向上した。
山脈の再開発中に見つかった天然の鉱脈と重なって輸出できるほどになっていた。細々とミドルハンターや、人間と接する亜人系の村を中心に金属製品の輸出による金銭の獲得が出来るようになってきた。ただ大々的には避けていた。
やっぱり急激に進歩しただけで2流の部分は否定できなかった。安かろう悪かろうの物が不足しがちな地域向けとして人気商品になっていただけだった。所詮はまだ真似っこで独自の高い技術には程遠かった。それでもとにかく金が無いって状況は変わりつつあった。
税金など取ってないけど、貢物って感じで族長の僕の所に入ってきて、後は僕が直接進めたものはそのままお金として僕の元に入ってきていたから。
どう使えば良いのか?逆に最近は迷う事が多くなっていた。




