表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/98

つるはしを持った転移者6-3

 南部に到着するのに思ったより手間取った。その間に様々な事が起きた。


「これ見てください」


 ウルはそう言った、ウルに任せていた収集で思わぬ発見があった。とんでもなく早い成長をする木。


「これが?」

「何かに使えませんかね?」

「ウルは何に使えると思うの?」

「人間との交易の隠れ蓑にしてる開拓地がありますよね?」

「うん」

「表向きはモンスターの急襲を防ぐとして木が北部に植えてあります。私も見てきました。ただ成長が遅くてその役割をまだ果たしてないんですよね。しかも表向き、人間に森から出てくる亜人国の荷物の運搬を見えにくくするってあるんですよ。だからいち早く成長して欲しいわけです」

「面白い。早速やって」


 なるほど、面白い植物を探してるわけじゃないからジョナサンにはこれ見つけられない。パッと見どこにでもある木と変わらないし、食べるって視点だとこれ何の価値も無いわ。


「上手く行きました。青々とした木の壁が出来ました」

「つかー早い」

「森に近いほど魔力が濃いとかあるかもしれませんよ。真相はわかりませんけどね」

「ところで作物を探してたよね?何故これ?」

「肝心のものがおそろかになってるわけじゃないです。そこはさすがジョナサン様と思います。元々私達があまり深くは探索しなかった山脈のものらしいですよね。私もそこに言ってみたのですが、特に目立ったものは無かったです。探したけど無かったんですよ?」

「ごめんごめん批判してるわけじゃないから。単純にどういう思いでこれ見つけたんだ?って気に成ったから」

「そこはジョナサン様のおかげもありますよ。めぼしいものはもう探してるとして、ちょっと視点を変えて有用なものを探そうと思ったんですよ」

「やっぱウルに頼んでよかった」

「ちなみに塩出来てましたよ」

「ええそこまで見てきたの?」

「はいまとまった量とれて報告すると意気込んでました。私がばらした事内緒ですよ。ちゃんと驚いてあげてください。後魚も取れたようで、随分少量が余ったので戻すはなしをしていました。魚を交換するって形であそこは村として機能するじゃないでしょうか?」

「そうだね、2人と連携してその辺りはもう僕言わないからウルに任せるよ」

「はい分かりました」


 武とウルにかなり助けられた。人材がいねーって思ったけど。そこまでじゃないわ。どうしても欲しいのが、どうやったら人間が亜人との戦争を諦めてくれるか?かな。本当は逐次小出しに小競り合いなら戦争状態になっても良い。絶対勝てるから。本来小国はそれ苦手。人口がすり減らされるから。その点大きなアドバンテージがあるので問題にならない。問題は大軍が一気に来ること。


 勝てるわけが無いって相手を前にずっと立ち向かってるんだからこのストレスすごいわ。もう人間の根本は兵士を殺したい部分があると見てる。常に戦争して無いと駄目なように国家が慣れてしまってるんだ。根本的に兵隊を徹底的に減らすって改革をし無いといけない。それが出来てない。


 対魔族戦のままずっとやってるから余剰の兵隊の食料が国を圧迫する。でもさすがに2度の敗北は大きい。小出しじゃなくて、今度は国を潰すために用意してくるだろう。小出しなら不快だけどやらなくちゃ止まらないんだから仕方ないと対応できる。でもそれはおそらく無い。


 どうやって兵隊の数を減らすか?王様の考えを変えさせるか?この2つの助言をくれる人材は是非欲しい。


 さて、根本的な解決は出来ない。だがちりも積もれば山となるはコツコツやってる。奇策を思いついた。成長の早い木を使って森を広げる…。んでモンスターをどんどん外に持っていって人間の領土を狭くする。これ広がってるのばれても良い。それが亜人の仕業だとばれなきゃ良い。


 夜行性のヴァンパイヤ族を使ってコツコツ植林をし始めた。これはヴァンパイヤも大変だろうから。コツコツやる事になった。第1回目の計画だけだけ大サービスで最大で50Mは広げた。なるべく出っ張りが人為的に見えないように。これを決行しようと思ったのは、緩衝地帯の村を木で囲んだから。


 これって考えてみると森をすべてまた木で囲めば領土増えない?って気がついた。自分でも馬鹿すぎると思うから第2回からはもっと抑えて遣ってもらう。ヴァンパイヤ達植林が仕事になってしまうところだった。ただ人口増加はまだ先の話し200Mは全体で大きくし無いと。まずはモンスターの生息地を人間側に追いやる嫌がらせに近い。


 多分森を切り開いて開墾してきたんだと思う。まだまだ内陸部にもモンスターが数多く居る森が一杯残ってるから。人間にとっては邪魔な事してると思う…。これをコツコツ遣ってる間に大雑把ではあるけど緩衝地帯に進出できた。後は今ある転々とした村を軸に拡大していくだけかと。ちょっと人間側のモンスターの密度が高くなってしまったかな。


 急に拡大したのでスカスカだけど、人口2000ぐらいになったと思う。ただ外に出て行った数はもう分からない。戦力としては純粋に当てにできるのが魔族軍に500人ほどの亜人部隊がいる。男も女も兵隊として送ったから子供が出来るのもありうる。この一族が魔族で大きな集団になってくれれば嬉しい。魔族と混血してくれても構わない。その方が魔王にクーデターを疑われなくすむので。


 準備は整えてるけど。戦争なんて起きて欲しくない。人間側からすればただの戦争だが、亜人側からは種族が全滅する戦争になる。いざとなったら奥の手を使うかも。追い込まれたら奥さんを大量に作る。相手が本気で絶滅作戦を立ててきたら僕も切れると思う。この手は出来る限り使いたくない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ