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プラントハンター3

 様々な変化があった。まずは大きなスポンサーがついたのが大きかった。この人は自分達ですでに栽培できるレベルなのにわざわざ初期の頃は種や苗を買ってくれた事。わざと僕を支援するため投資してくれた。それがずっと続く事はさすがになかったけど。一早く僕達の作物の有用性を理解してくれた。


 一応ヒット商品だったけど、それでもここまで大きくそして素早くお金を与えてくれた相手は居なかった。誰よりも僕らの作物の価値を認めてくれて、かつ直接相手にしてるアレックスより僕に投資をしたいといってくれた事だった。

 この期待に応えて僕はどんどん良質な作物を発見した。ただその人は喜んでくれたけど僕は不満だった。それからみつけたものは、根を食べる植物。スライムの様なゼリー状の食べ物が取れる芋。これらは地味に広まって僕らを助けてくれたけど、最大のヒットは黄色の粒を食べる植物。これは麦に変わる新たな植物としてコーンとして大きく広まった。特にスポンサーの人には受けが良かった。


 世界も変化していたその中心人物がこのスポンサーだと後から知った。コーンのヒットの前に謎の集団との森で戦争があった。この謎の集団こそスポンサーの人物が率いる亜人という種族だった。コーンの発見の前に彼ら亜人との深いつながりが出来た。まずアレックスのお手伝いとして二人の亜人の女性を雇った。


 アレックスは売り込みのためそこら中走り回ってるので、村に訪ねてきた客に対応できない。この問題は以前からあったが以前は失敗する可能性が高い事をしていて人を雇う余裕なんて無かった。その貧しい懐具合で良いから雇ってあげてくれと亜人のリーダーが頼んだそうだ。恩返しの様なものだと話していたらしい。


 それに上手く行くだろうと考えていて、そのための手助けをしたいとの事だった。土変木がヒットして軌道に乗って来たばかりだったので、忙しくなった僕らの商売が上手く回ったのは彼女達二人のおかげが大きかった。

 後は是非僕の助けをしたいともう一人亜人の女性をあてがわれた。僕は危険だからと話したが、この子がべらぼうに強くて折れてしまった。賃金無し、お金もある程度持ってくるし継続的に亜人の国から与える、そして狩りなど得意で護衛にもなるし食料には困らないだろうからと。


 いずれは儲かってくればきちんと雇うつもりだ。多少面倒な部分もあると思っていたが、この子農業に凄く詳しい。後野山を探索しなれて、すぐに居ないと困るパートナーになる。


「3人は亜人なんだよね?」

「人間の人達はそう読んでますね。本当は人型モンスターって族長は言った方が的確だとは話してました。ただそれだとモンスターとして忌避されるから蔑称っぽいけど亜人で良いとしています。亜人って人じゃないって強調してて、純粋な人じゃない不純物が混じったような見下した感じがあるのは私もなんとなくは分かります」

「あご免」

「ああ良いんですよ。人型モンスターに較べたら。随分ましですからね。ただ劣ったと言うイメージで勘違いしてしまう人が多いのですが、おそらく種族としては魔族人間で最強だと思いますよ。私達は族長の考えがしっかり浸透してるので無いのですが、魔族や人間だとこの力があったら支配する側に回ろうとするでしょうね」

「上位種と言う考え方だね。じゃ族長さんはどうしてそうならないのかな?」

「ジョナサンさんなら言っても良いのかな?と思います。私達は欠点があって族長の知性を越えることは出来ないですよ。人は違いますよね。馬鹿な親から賢い子供が生まれますよね?ああいうのがあまり私達は無いです。増長した考えを持つことを厳しく批判しています。

その根底は暴力武力の強さだけを種族の強さだと思い込むなって考えがあるんですよ。そもそもこれだけ大きな集団に慣れたのは力じゃないです。族長の知性があったからだと私達は皆思っています」

「人間なら確実に増長する過激派が出てくるね」

「逆にそれが出ないのも私達の良い点であり悪い点だと族長は話していました。良い意味で団結力はあるが、悪い意味で様々な考えの人が生まれにくいって話していました。それに私すぐ族長の話で説明するでしょ?それも悪いところだと出て行く前に言われました」


 なるほど確かに、彼女なりの見方はきちんとある。探索や発見、そういったものには彼女らしさがある。でもこういった複雑な事は族長の受け売りが多い。


「私なりの考えもきちんとそれでもあります。その視点で最近元気ないですよね?」

「えそう?」

「コーンの発見で喜んでいたし、なおかつ商売でもすごいヒットだと村に戻ったとき二人から聞きました。でもすぐに元気がなくなってしまった気がします」

「ああそうか。アレックスと僕じゃ求めてるものが違うんだよね。アレックスは儲かる事と、多くの人の食糧事情が豊かになる事なんだよ。僕はその気持ちが薄いんだよね。族長さんはどういう意味で僕に投資してくれたか?はコーンで大体分かった。族長さんは亜人国のためになる作物が欲しいんだね?」

「そうなります」

「強制はし無いし、ミーアが族長を尊敬してるのは良く分かる。でも族長が言ったミーアの悪いところを変える意味でも重要だと思ってる。僕のやりたい事に影響を受け手欲しい。そうする事で族長の知性から自由になれると思うよ。僕はね今までの農業と全く違う視点の作物を発見したいんだよ。

コーンとかって新しい作物だけど、別に麦でも大きな違いは無い。微妙に違う性質を利用して味、様々な違いのメリットを生かすものだと思う。でもさ土変木は全く今までの作物に向かない土地でも栽培できるでしょ?むしろそっちの方が向いてる。あの時の喜びがコーンには無いんだよ。

多分コーンによって僕はもう何も発見しなくても生きて生けるほどのお金を得るかもしれない。でも僕は僕と似たような気持ちで、この作物面白いと思ってくれる人のために働いてるんだよ。

族長さんそうなのかな?と思ってたけど、族長さんもっと現実的だよね」


 少しミーアは困惑した顔で返した。


「その点は私達のために頑張ってくれたので、否定的に言われると抵抗もありますがそうです」

「悪く言ったつもりはないけど、まあミーアが自由な発想になるってのはそういう事だと思うよ」

「族長を否定するのですか?」

「いずれ国に帰る時があって、その時まだ疑問だったら、族長と話す機会があったらこの話してごらんよ。多分族長は僕の意図を分かってくれるよ」

「否定してる人の意見を分かるのですか?」

「うん、それがいろんな考えを持つ一歩だからね。ただね、族長も言ってたと思うよ。良い意味で団結力があるって、いろいろと難しいんだよ。僕と居る事で族長に疑問をぶつける気持がなくなれば良いなと思ってるけどね」

「ちなみに私一時的に一緒に居るわけじゃないですよ?」

「あそうなの?ノウハウを学ぶとかじゃないの?」

「その話は族長はしていました。盗むみたいで嫌だから。そうしたいけど、それはしないって話していました。あくまで自分が見込んだ人を助けてやって欲しいと言われました」

「いろんな面のある族長だね」

「今でも優しい人ですけど、昔とは多少性格が変わったと村の年上の人達は話していました」

「突然この世界の長い歴史で劇的な変化をもたらす人物として登場してきたからね。困難な事は山ほどあるんだろうね」


 偉そうに言って結局愚痴を聞いてもらっただけの気がする…。


「ミーア、何かさ魔族の国に亜人も住むらしいね」

「あ、はいそうなっています」

「最近上手く僕の理想通りの作物が発見できないのって、探索する場所を変えてみると良いんじゃないか?と思うんだよ。まず亜人国を探索して魔族の国に行きたい。亜人国はミーアで良いけど、魔族は誰か魔族の人も案内人として同行してくれるか?または公的な許可証のようなものが欲しいのだけど、族長に頼めないかな?」

「難しいとは思いますが、相談には乗ってくれると思います。族長はジョナサンさん尊敬してますから。行けばまず会おうと逆にすると思いますよ」

「それは好都合だね。じゃ亜人国に案内してくれるかな?」

「はい喜んで」


 一旦村に帰るとアレックスに子供が出来ていた。二人とも奥さんにしたらしい…。ミーアとはそういう関係にならないように警戒していたけど、正直言って可愛らしい子だ。僕はどうも族長信用できないところもある。計算高い人だなとどうしても感じてしまうので、ミーアにもそういう意味があるんじゃないか?と疑ってしまうんだ。


 そうなってしまったらそうなったで構わないほど、もう離れたくないパートナーになってしまってるけど…。


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