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迷い込んだ転移者6ー3

 約100人ほどの死者が田中村では出た。損害だけ見ると圧倒的な勝利となる。しかし田中は泣きじゃくり怒りまくっていた。俺は手加減してぶん殴った。田中もかなり強者だ。それでもあいつがSハンタークラスだとしたら、俺は魔王レベルだ殺してしまう恐れがある。それでもぶっ倒れるぐらいはぶん殴った。


「なんて声かけて良いか分からないが、俺はお前の第3勢力に同意して協力したんだ。俺を失望させるな。すぐに魔王と同盟締結の発表を公式に行うようにしろ」


 俺は田中と距離があるように振舞ったが以前ほどじゃない。もし逆の立場で俺の家族が死んでいたら怒ってたし泣いていた。何も出来なかっただろう。あえて俺が田中の感情に対するブレーキ役をしたし出来た。その辺は冷たいといわれても俺はそれで良いとおもってる。田中村の集団は感情のブレーキがかけにくい。


「人間が憎いか?」

「ああ」

「すぐにその感情を捨てろ。憎しみでこんな小さな国で人間を全滅できるか?逆だ徹底的に滅ぼされる。俺達が遣る事はあくまで3国のパワーバランスによる調整だけしかない。遣られたらやり返すような国力なんて最初から無いんだ」

「ごめん、どうかしてた」

「いやお前思ったより家族思いなんだな」

「うん自分でもそう思う。こんなにつらいと思わなかった。だからこんな無茶な事出来たんだと思う」

「しゃーねえよ。だからってどこかへ逃げられるわけ無いんだから対抗して食料を自給する土地を増やして増えるしかない」

「本当にそうかな?こそこそ隠れて生きる道もあたんじゃないかな?」

「その可能性奪ったのは多分俺だよ。絶対謝るもんかと思ってたけど今は素直に思う悪かった。たださ、自分のやった事が誰かに影響を及ぼすのは仕方ないと思う。それがどんな影響なのか?なんて誰にも分からない。だから謝りたくなかった。でも今素直に謝れる。正誤じゃない。気持ちの問題だ」


 戦後処理で、魔王からすぐに同盟締結の発表があり、田中村は魔族には正式の国として認められた。それに対する人間側の返答は無かった。田中村代表として田中は、人間の王様に書簡を送った。


 今後敵対行動があった場合は、停戦破棄と見なされて魔族と合同の部隊で迎え撃つ事と。人間の国に侵略の意思は一切無い事。今回は自衛他のための戦いであり侵略はむしろ人間側であると批判した。なお戦勝国ではあるが国として魔族にも認められてなかったため賠償金は請求しない。


 人間からの返答はすぐには来なかった。


 失った人口はすぐに回復し、様々な地域であわせて1500人まで増えた。まだ十分な余裕があるが、田中はここで一旦人口抑制の指令を皆に出す。その間に魔族側に話をして、融和地域に子供達を送る事になった。


「ソルベさん良いの?移民の侵略とかにならない?」

「そもそも人間入れてるし…。だから第3の亜人を入れて3すくみの状態にしてしまうんだよ」

「なるほどこっちは人口問題が解決できて得だしこれは良い関係だね」

「魔王様のお考えだからね」

「何か凄い人だね。何もかもがらっと変わったね」

「いや君らのイレギュラーな存在が変化を大きくしたんだからね。魔王様もその話だと苦笑いしてたよ。こんな世界の変化誰も読めるわけ無いよ」


 田中はこの後もミドルハンターの地域に無理矢理人間と全く区別がつかない美しい女の子ばかりをねじ込んで。開拓後に嫁として上手く開拓村に入り込ませる事に成功する。

 当初はハンターとしてねじ込もうとしていたが、最終的に国の管理下におかれるときにミドルハンターの資格が無いとハンターの手伝いをして居座るという作戦が上手く行かない事に気がついた。農民としては身元が良く分からないので当然入れない。


 そのため身元がはっきりしてるミドルハンターや農民の嫁として入り込む作戦に切り替えた。この場合結構管理がザルな事に気がついたから。女のハンターに強引に婿をねじ込むのは頓挫した。数が少ないし、そもそも強引だったのですぐにこの計画は引いてしまった。

 田中は本音は侵略したいんだと思う。綺麗な3国の3すくみになってない。今は魔王の戦争を辞めたいって思いが前提になって存在できてるだけの国だから。それがいつまで続くか?分からない。


「あのさ何そんな焦ってるの?」

「うーんとさ、いずれはモンスター娘の血が薄くなったらやたらと早い成長遅くなると思う。それには2種族の血をいれるのが一番だと思ってる」

「前といってる事180度違うな」

「自業自得だから。家族が死んで辛くて感情に任せ生めや増やせよ遣ってしまったら。将来人口問題がかなり深刻になって不味いんじゃないか?と思い始めた。成長期を遅くするのが一番だからね。戦争で死ぬより子孫が餓死する未来の方が辛いよ。

人間の国を怒らせないようにこっそりやるのが難しいからな。国として認めて欲しいよ。なら堂々と人送り込むのに」

「森の近く無理矢理開拓して税でも納めたどう?」

「それ怖い。もしそれ軍隊が潰しに来たら僕守らないといけない。でもそれ自衛にならない」

「そりゃ侵略してるのはそっちだからな」

「でも税金納めてるジャン。奴隷的扱いさえされなければ僕労働力として皆を外に出して良いと思ってる。ただな侵略紛いに開拓すると軍隊討伐、そして奴隷ってコースになるだろうな」

「あんなに嫌ってたのに」

「人間の王様は好きじゃないよ。土地が欲しい。血を薄めたい」

「ハンター養成所に送り込んだらどうだ?それならレールに乗れるぞ」

「先行投資して仕送りでもしてもらうか」


 金銀宝石を人間魔族の国に売りまくって、金を付くって大量にハンター養成所に送り込んだ。金さえ払えば細かい事気にし無い姿勢は聞いていたんで。ミドルハンターに大量に送り込んだ。それほどじゃない子孫達はハンター過疎地のでハンターになって村にもぐりこませた。これによって劇的に人口問題が解決した。


 気楽な顔してる田中と違って、先祖帰りしないだろうなと俺は心配になったけど。未だ人間の国に認められてないけど、暗躍して勝手に関係を作ってしまった。後結婚した場合ある程度は人間との混血なら抑えられるけど、成長が早くてばれないか?と不安にはなった。んまーミドルハンターの嫁は合意の元だからそこだけは幸せな家庭を築けるかな。


「所で祐二さ国の名前どうするんだ?」


 田中太郎さんと被るから名前にすると話して最近は名前で読んでる。田中さんに戦争後自分達の正体を打ち明けたから。ただ俺がモンスター部隊の隊長なのはまだ黙っておいた。それからちょくちょく顔あわせる事が多かったので。


「亜人国で良いよ。亜人がどこか蔑称っぽいけど、正確に人型モンスターといわれるよりは良い。なんとなくそう呼ばれてるから。公式にもそうだと言って置けば良いさ」


 亜人国。早く人間の国からその名前を認められたいものだ。

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