迷い込んだ転移者6
俺(土田武)はあっちこっち動き回る忙しい日々を送っていた。また3人ほど嫁が増えてしまった。上級者と言ってた時期が懐かしい。リザードマン、インプ、ドラゴンのモンスター娘を貰った。いやでもインプから生まれたサキュバスとか十分可愛い。ただドラゴンなんか逞しい。
なんと言うか俺の場合狩りやモンスター誘導などさまざまな事があって、それにどうしても指揮が出来るモンスターが必要になる。それをやってもらってる。ただもう子供達が大きくなってそれができるようになってる。十分足りてる気もする。
町の住人として皆が俺と一緒に出るわけじゃない。妊娠子育てとか期間はすごく短いけど、それでもそういう時期離れると6人は嫁居たほうが良いかな?いろいろ考えてしまって。
後田中は外の血を入れるのを嫌ってたけど、俺の子供だけは自分の子孫を親族になっても良いと言ってくれた。かなり悩んだようだ。100%人間の血は田中の集団に俺の子供の血が入った。
「うーんもうなんと言うか娘を武に与えた罰だと思うよ。子供生まれたらその子に配偶者が居ないのは可愛そうだよな。そう思うと是非自分がそれを受け止めなくてはと思えたんだよ」
「俺は純潔なんて拘ってないけどな。別にお前の一族の近親相姦が良くないとは思ってない。嫁がとんでもなく多いからな。俺はそれ無理だからな」
「ああ分かってる僕も同腹の子供同士は結婚基本禁止だから。ただ例外はあるけどね兄妹姉弟の自由恋愛は仕方なく認めてるよ」
「しかしな、俺の子供成長早くても頭良いの田中の頭なんだろ?」
「でもさそこに武の子育てが入ると経験が違うものになるよ。僕の血族の子供とは考え方とか全然違うと思うよ。たださ成長の早さを僕の頭が補ってるけど、ゆっくり育ってそうじゃない子供の頭も一族には欲しいよ。人間と魔族の奥さん来ないかな…」
「もうさ倫理観がぶっ壊れ気味の部分があってさ、人間なら奴隷、魔族なら戦争孤児でも貰ってくるか?俺は良いよ今の奥さんで十分満足してるから」
「頼めるかな?」
「多少騙す事になるかもしれないけどな」
奴隷はそれなりの年齢、魔族はギリギリの年齢を知り合いを通じて孤児を引き取った。事情はものすごく大雑把に話してある。2号さんなんなも理解してもらってる。でも、2号どころじゃない…。
つれてきてすぐはカルチャーショックの様になっていたけど、良い町なのと、田中は基本優しいし、住民=家族が温かく迎えてくれるので気にしなくなった。二人は奥さんとなり妊娠した。
「二人の子供が生まれる頃に一緒に妊娠して出来た孫やひ孫が人間で言えば10才ぐらいになってるだろうな」
「サンデーサイレンスの様だな」
「ええっとさ勘違いしてるかもしれないけど、自分でも経験あると思うけどさ、気をつけないと100発100中になるから。僕種付けばかりしてるわけじゃないからね…」
「ああ一応分かってる」
「なんて言うか僕のコピーみたいに言われてちょっと引っかかってさ、武の家族には武が良い影響になるけど、僕は僕のコピーぷらす血族と関わる経験が大半だからね」
ハムスターの様に田中の血族は増えていった。さすがに不味いと思ったのか微妙に調整し始めた。子供も役に立つけど、さすがに赤ん坊は戦場には出せない。その数を抑えるぐらいに大きな集団になってきた。
俺が連れてくるモンスター集団がものすごく大きかった。枯れる事の無いモンスター牧場を俺は作っていた。俺自身はたまにしか狩りをしてなかった。あくまでモンスターをどう動かすか?の仮想的軍事訓練として家族で狩をしていた。
田中村から働きに見合ったお金を貰い別途肉を貰って換金していた。情報収集のため子供達も使っていた。俺の血が濃かったり、または田中の血族で人間に近い子を貰った時は大体子供はほぼ人間だった。俺の魔族の力は受け継がないので人間側の土地で活動させていた。魔族の土地はもっぱら俺が担当していた。
田中とは独自ルートで情報を探っていた。ただ二人で一致した情報があり、それが人間の境界地への再度進行の噂だった。大規模な軍隊の動きがあると食料が微妙に不足する。まだまるでその気配が見えないので、神経質すぎるか?とは思っていたけど、慎重をさらに慎重を重ねてちょうど良い事なので些細な情報にも敏感に対応していた。
それまでにはいろんな事があった。以前から田中の村を支える奇妙な作物について魔族の土地で広めて欲しいと俺に田中から依頼があった。田中も魔族側の情報網を持つが、表立って魔族として活動する子供は居なかった。田中側からはいろいろと接点があるようだけど、魔族側からの窓口は全部俺だった。
「ええーっとただし、これで増やして欲しくは無い。あくまでこういう作物がありますよ?って点だけ。買った相手を儲けさせてあげたいから。そうなるようにしたいんだ」
おかげでかなりややこしい形になった。まずソルベさんに実際見せる。次に人間側の人とあわせるようにする。ただしそれは境界の開拓村になる。一度間を挟む。ソルベさんがそこから人間側に行くのは危険だと本人が考えたからだった。相手が元ミドルハンターなのでその辺り知り合いが居るらしい。
俺はいろいろと面倒なので、このソルベさんと人間として付き合ってる事にして開拓村に行った。ただソルベさんから誘われたのは、俺の正体を明かして味方になってもらったほうが良いと話されたからだった。詳しく話さなくて良いとは言われていた。ソルベさんが乗ってきたので俺は田中にしらせてすぐ戻り元ミドルハンターには田中の子供が知らせた。
ソルベさんの方が先に着いたので、俺達は開拓村のミドルハンターと話した。
「どうも」
ソルベさんは上手く名前を言わないようにまずは話を持って言ってくれた。別に偽名でも良いけど取り合えず。
「田中太郎です」
(こいつも田中かよ)
オッサンなので祐二の田中とは区別が付くけど。何気ない雑談で過ぎていく。ソルベさんが突然変な事を言い出した。
「田中さん、転生者や転移者で国に秘密で連合組んだりしないの?」
「いやそれソルベさんから言われるとちょっとね…」
俺に目配せしてきた。まあ良いか。
「俺土田武って言います。ソルベさんとは仲良くさせてもらっています。俺は転移者ですが、一切国と関わった事がありません。田中さんは国の命令で日本人同士が殺し合う事になったらそれでも国の命令に従いますか?」
「君何を遣ってるの?」
「詳しくは言えないのですが、個人として魔族でもなく人間と対立する事が多々あります」
「敵だとか味方だとかは言えないけど、俺は日本人である前にミドルハンターだ。仲間のこの国の人間のミドルハンターの不利益とは戦うつもりだよ」
「分かりました」
「田中さん気を悪くしたなら申し訳ありません。私は魔族と人間の争いを無くしたい思いは一貫してあります。人間に対して人間が停戦を守る限りは過激な活動を起こすとかは絶対に無いです。ただ田中さんにだけは伝えておきたいのですが、私の知らないところで軍隊が境界線に近づいた事があったらしいですね?」
「俺の立場も考えてくださいよ。言えないこともあるんですよ」
「隠していたことを批判してるわけじゃないです。もう別のルートから事実だった事は確認は取れています。事実確認をしたいわけじゃないです。ただ彼の事を過激派だとかそういう風には見ないで遣ってほしいんですよ」
田中さんはしばらく考えて。
「前から思ってたんだよ。人間と魔族のバランスのために転生転移者は居ると。でもそれは仮説でしかなくて、魔族側には居ないの?と考えた事がある。もしかして君?」
「いやそのあまり突っ込まないでください…、開拓者の人の考えが聞きたくてソルベさんについてきただけですから。今日は本来の目的は別口なんですよ。俺は魔族でもなければ人間でも無いです。転移者です」
「ああそうだな俺も人種を問われたらそう答える。まさか君が魔王じゃないだろうな?」
「田中さん声大きいですよ」
「やっぱそうなの?」
「そういう意味じゃ無いです。そもそも魔族がどうたらと大きな声では避けてくださいよ。あくまで私は行商人なんですから」
「ちなみ俺魔王様じゃないですよ…」
「ああご免ご免」
「いずれ私のいう事は分かると思います。ただ今噂に過ぎなくて話せる段階じゃないんですよ」
「あああれと関係してるんだな」
「ああそれです」
「言葉に出すと突っ込んで話してしまうからやめておこうか。じゃあさあれで言うよ。多分次あれがあったら魔王討伐隊は動かないと思うよ」
俺はその言葉を聴いて過激に反応してしまった。
「どういう事ですか?」
「だからぼかしてるんだから突っ込まない。ただ言えるのは前の事ソルベさんは怒ってるでしょ?融和政策に乗ったのにそれを反故にする裏切り行為ですよね。それは彼らも同じだとしか言えないです」
「土田君それで十分だよね?」
「はい、ただそんな勝手許されるのですか?」
「はい、君突っ込まない。知りたいならもっと君話すべきだよ?」
「申し訳ありません…」
数時間経ってアレックスと言う人物が現れて無事取引が終った。アレックスと言う人物はソルベさんの正体を知ってて取引した。
「今後そちらの国に直接は無理でしょうか?」
「一応問題が無いよ。そういう双方の取り決めだから。たださ共存圏までだよ?さすがにそれ以上は人間への悪感情があるからね。そういうの低い人に共存圏は集まってもらったから。本来ならそっちに行くべきだと思うけど良いの?」
「まだまだ飽和状態にはなってませんが、いずれはそこら中にこの作物が増えます。何せ上手く育てれば簡単に増殖しますからね。そのあたりのノウハウを今回教えてしまったのでソルベさんの周辺は定着すると思います。将来的な事を考えると魔族側に広げれば飽和状態を才伸ばしに出来ると思っています」
「なるほど」
「短期的には爆発的なヒット商品になってて、今は楽です。でもそういった短期的なビジネスにしてるのも理由があります。まず今お売りしてる3つは栽培が簡単すぎてあっという間に広まるのでその前に売ってるんですよ」
「じゃ私が広めたら迷惑なのかい?」
「長期的には仕方ないですが、短期的には避けて欲しいですね。あくまで希望ですけどね」
「うん考慮するよ」
「でも虫の良い話ですよね?ちゃんとソルベさんにも得があるんですよ。自分らを儲けさせてくれたら次の作物探して売りますよ?って話しなんですよ。その活動資金としてどうしても先行投資してもらないといけないので短期的に稼いでいます。僕と組んでるパートナーが居て彼こそが実は3つの作物の発見者なんですよ」
「確かに発見者なくしてなりたちませんね。じゃ期待して人に投資するとしてあまり広めないようにしておくよ」
「ええお願いします」
ソルベさんと俺からアピールして、余分に持ってきた作物もすべてこの村に売り切った。知り合いらしいけど、戦場になるかも?と思ってここでは栽培してなかったらしい。今もその危険性があると思うけど、まあそれは俺の考える事じゃないか。田中がこの作物をベタ褒めしていたけど、その関係者とあったらその気持ちが分かるような気がしてきた。
俺自身ソルベさんに売り込むため良さを田中から叩き込まれた。ただ実際アレックスさんとあって、この先の方がもっと期待できる。田中はそこまで計算してるか?分からないけど。
このアレックスとの繋がりから、田中はついに家畜の購入を決断する。まだまだモンスターには余裕がある。それと言うのも当初田中が考えていた計画に俺の力を計算に入れてなかったから。俺秘密にしてたからな。俺のおかげで後回しになっていたようだ。
「あのさ、産業とかはどうするの?」
「ああええーっとここって秘密じゃない?それで堂々と交易って無いんじゃない?自分の所で使うもので農業以外特に必要なもの無いよ。教育水準高いしね。公になったらそういうのも力入れるよ」
十分な備蓄。高い戦闘力と戦う兵隊の数。すべてにおいてもう十分なほど整ったと思う。後は余剰食糧を金に買えてそれで様々なものを買い限界まで人口を増やすだけかと。ただ武器なども十分行き渡ってる。そもそも素手で十分強い。
「あのさ将来的には人口問題どうするんだ?」
「外に認めてもらったら子供達外に多少は出すよ。寿命は長いから大人になってからの余生が長いんだよ。労働人口がかなりいるから。侵略と言う形じゃなくて遣っていこうと思う。先天的に皆強いから。皆狩りや農業得意だしミドルハンターの土地に参加しても良い。後は多少抑制するよ。その辺りハムスターじゃないから分かってる」
固まって生活するようにしていたが、かなり人口がしっかりしてきたので、境界の森以外にもモンスターの攻撃を避けつつ分散して村を広げる事にした。いざ戦争になったら助けてもらうつもりだ。これによって当面の人口問題はほとんど解決した。




