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奴隷ちゃん4

 僕(吉田健一)は大きな変化があった。しょぼいと思っていた自分に使った成長させる力が実は僕だけ何度も効果があるのが分かった。これは大きな発見だった。レイヤに使えないか?ともう一度かけたのが後だから良かった。先にレイヤから使っていたら、ああ2回は駄目かと僕に対しても諦めていた。


 僕だけが特例で何度も成長できるようだ。ただし無限じゃなかった。取りあえずはミドルハンター平均レベルまでは成長できたんじゃないかと思う。元々僕は転移者特有の身体能力の高さがある。ただそれだけじゃ子供の頃から訓練実戦経験豊富なハンター達には適わない。僕はこの身体能力の高さという恵まれた部分でなんとか差を埋めていただけだ。


 でも通常生じるある程度基礎的な事を覚えると行き詰る壁みたいのを何度も何度も一瞬で乗り越えていくため成長力が半端なかった。僕はもう素人同然だった僕じゃないと思う。ベテランハンターぐらいの力量にはなってる。レイヤと言う相棒もいるし、もうコーチ業で食わなくても良い。


 だが僕は先行投資が生きてきた今稼ぎたい。徐々に名前が売れていくたびに僕は料金を上げていた。当然だと思う。だってすべての開拓村を回ってしまったら僕の仕事はなくなってしまう。後は新規にミドルハンターになる人達だけになる。この人達を相手にするには今までと同じじゃやってられない。例え兼業でも僕は遣りたくなかった。


 僕自身が壁を何度も感じた3流ハンターなので、自分の能力の金銭的価値が良く分かってる。分かってるけど信用が無い。そこでそれを得るために過去僕が成長させた開拓村の人達から、僕の確かな能力の裏づけをしてもらおうと思って過去に行った村を訪ねたらいろいろとやっかいな事になっていた。


「レイヤどういう事なの?」

「ざっと聞いた話では開拓が終ったら次の村に移動しますよね?」

「うんそういうのは僕ももう把握してる」

「ただ、この辺り見回ったけど、どこにも居ないって話ですよね?」

「そうそう」

「そこでまあ別の話を聞いてそれと総合して分かった事があります」

「何?」

「どうやら開拓事業は終った村から優先的に特定の地域に移る事になって、そこは過去戦場だった場所らしくて私達がこの辺りを探しても誰も居ないのはそういうわけです。魔族との戦争ががらっと変わったと聞いて集めて見て発見しました」

「なるほどじゃ行こう」

「はい調べておきました」


 レイヤもう奴隷契約が終っている。でも何か僕に付き従ってくれる。性格ががらっと変わったと言うわけじゃなくて、何かすぐには全くの別人みたいになるわけじゃない。そういう事かな?と思ってる。ただ徐々にではあるが自分の意見を言うようになって来てる。そこが僕と行動する事に沿っているなら別に分かれなくて良いかと思い始めてる。


 正直言って僕は強くはなったつもりだが、それでもレイヤと居る安心感はすごかった。ただ彼女自身が徐々に変化してるならいつかお前なんかと居たくないと変化するんじゃないか?と言うのを恐れていた。ただ最低限の保険が出来たことと、後は徐々に変化してる部分で僕と居たいと思ってる?なんて楽観視してしまうためだと思う。


 最重要拠点らしい新しい開拓地に着いた。


「ケンイチじゃないか」


 昔成長させたエリックと再会した。


「また頼めるかい?」

「ご免あれから調査して自分以外は2度目は効果が無いんだ。詐欺になってしまうから受けられない」

「なるほどその詐欺はたちが悪いな」


 と笑って返してくれた。


「実は商売人は自分の弱みを晒してはいけないとは思うんだけど、正直困ってる。この先続けていけばミドルハンターの人達はすべて僕の力の恩恵を受けた人になってしまう。そうなると儲からない。だから徐々に上げて行ってるんだけど、もっと大幅に上げたいんだけど、エリック以外にも居るならなお良いけど、過去に僕の恩恵を受けた人に僕の力の保証人になってもらえないかと」

「喜んで、ならもっとすごい人が居るよ。その人達のネームバリューなら他の村でも通用するよ。何か一筆もらえないか頼んで見ると良いよ。魔王討伐隊のメンバーが今のこの村に居るから」

「それは是非紹介して欲しい」

「それなりにお金持ってる人達だけど、まだ上げないほうが良いと思うよ。何か一筆書いてもらうならさ」

「エリック、アドバイスありがとう」


 早速魔王討伐隊のメンバーと会い力を使って、自分達の名前を使って良いと許可を貰いついでに証明としてサインなど書いてもらった。それがどれだけ効果があるか?分からないけど国が発行する彼らだけが持つ用紙に書かれたモノなので分かる人は分かるものになった。


「本当ですか?」


 その間レイヤは開拓村の人達と話していた。


「ああ魔王が人と魔族が暮らす、共存地帯を作るって発表をして国がそれを受け入れた」

「王様ってそんな理想主義なのですか?」

「多分違う。討伐隊の皆は多少突っ込んで知ってるらしいから話を聞いたけど、おそらく兵隊を送って中から潰す作戦かと」

「トロイの木馬ですか」

「おいおいちょっと待った何故あんたそれ知ってるんだ?」


 レイヤと話していたのは、元勇者の田中太郎と言う人物だった。レイヤはしまったと言う顔をした。


「転生者かい?日本人には見えないよな」

「はい」

「まあ、一緒に居る彼から聞いたのかな?とも思ったんだけどね」

「分かります?」

「そりゃあんな変な力で顔見たら、こっちの人間には見えないからさ吉田君転移者だろ?さすがに君達と会うの2度目だからね分かるよ。転移者はさごろごろいるんだけど、転生者ってそんなに居ないんだよ。すでにもう2人もいるのに君も?」

「ええーっと私はちょっと特殊な事情でいつか話すで良いですか?」

「良いよ。話し戻すけどさ、あっちの魔王はそんな馬鹿じゃないと思うんだよ。それなりに手は打ってて、戦場で魔族と相対してるから鉢合わせすると困るので兵隊さんはやめて欲しいと話してて、でも魔族が見た事が無い兵隊ならどうにもなりませんけどねって通達を送ってきてる。

魔族との戦争経験の無い新兵なら何も問題ないと魔王が保証してしまったんだ。何をするか?は分かってて考えてるんだよ。王様もここまで言われると不利になるから条件として最初は集まって生活させてくれと突きつけてきた。

魔族と人間の融和がテーマなのに俺が魔王ならこの王様分かってるのかな?と嫌になるよ。でも魔王これ飲んだんだよね。徐々に慣れないとねと王様の意見そのまま賛同して返してきた。ここまで譲歩されたら乗らない手は無いからね。これが本当に?への返答だよ」


 レイヤはこんな話がさっさとまとまるわけが無いと思っていたので王様の即決が意外だったがこれで納得できた。


「田中さんは魔王討伐隊じゃないんですよね?ちょっと詳しすぎませんか?」

「君ねー面倒な話無料で聞いておいてソースは?と聞くわけかい。でもまあ良いよ。転生者と分かったサービスでおまけだよ。もちろん魔王討伐隊のメンバーとは親しくしてて情報いろいろ貰ってる。でもこれは魔族からだよ。ああやばい事言ってしまったな」

「ええ?」

「転生者と分かったので君なら大丈夫だ。魔王の息の掛かった魔族がちょくちょくこの村に来るんだよ。ただし表向きはただの人間。俺らは知ってるけど、他の人にはええーーあの人魔族だったんですか?というぐらい見た目分からない」

「その人紹介してもらせんか?」


 田中は返答に困ったが


「良いよ。最初から何かレイヤさん変なんだよな。魔族と何かあるんだね?悪い感情か?だけ聞きたい」

「逆です魔族に私ほど好意的な人間いないと思います」

「でも吉田君はどうなの?」

「彼は嫌だといったらここでお別れも考えています」

「あれ好きなんじゃないの?」


 レイヤはちょっと固まってしまった。


「ななな何を言ってるんですか」

「あ好きなんだね。レイヤさんもそういう顔するんだ。始めてあった時より表情が豊かになったね」

「それでも行かなくちゃいけないと感じています」


 健一の仕事がすべて終りレイヤは打ち明けた。


「良いよ行こうじゃない。僕はレイヤの事情知ってるからね。それで僕が断わると思ってるとは…。当分お金には困らないししばらく休業して行こうよ」

「健一ありがとうございます」

「ほら砕けてと何度も言ってるじゃない。また昔に戻ってる」


 田中さんの言う魔族の人が来て僕らは魔族の人間が住む居住区へ旅立つ事になった。

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