プラントハンター2
僕は引き続き探索の旅に出ていた。ウォーターレッドと似た環境で育つ別の植物を見つけた。ただ随分違うタイプの植物だった。まず大きくは無いが木と言える大きさまで成長する。次にウォーターレッドと違ってみずみずしい実ではなかった。どっちかと言えば保存が効きそうな硬いクルミや栗の様なでんぷん質が多い実がなった。
他にもいろいろな違いがあった。ウォーターレッドは荒れた地に適した作物だけど、この植物は徐々に荒地を耕作に適した土壌に変えていく。実よりもこっちがすごいのでは?と感じる植物だった。原生地で土にばらつきがあり、その差があまりに極端で気がついた。
おそらく根が土を豊かにしてるのじゃないか?と予想した。他にもこの木も全く水気が無い場所に生えてる場合もあるので水魔法を使ってるかんじがあった。
実を持ち帰って早速植えて見る事に。次の日
「どうなってるんだ?これ」
アレックスが聞いてきた。僕に言われても困る僕も生態についてまだ分かって無いのだから。
「素直に考えて、成長が極端に早いって事なんだろうね」
「にしてもこんなの見た事無いぞ」
この事で分かったけどこの異常な成長速度も固い大地をほぐす役割を担ってるようだ。砂漠や礫はどうなのか?と言うとそれは分からない。僕が見つけた原生地は岩場の様な場所だったから。不自然に豊かな土が気の回りに積もっていてひょっとしたらと推測しただけで、実際木が岩を土に耕してるのを見たわけじゃない。
幾ら成長速度が速くても見てるだけじゃ意味が無いのでまた僕は調査に向かった。数日して帰ってくると
「なんじゃこりゃー」
ついどこでそんな言葉覚えたんだ?と言う感じでびっくりした気持ちでそのまま叫んでしまった。
「誰でもそう思うよな」
木々がもう原生地ぐらいの大きさに育ち密集していた。
「あのさこれものすごい密林にならないか?現地では当然違うよな?」
「うん、木々が集まっていても大きくなくて飛び地のように広がっていた」
「おかしな話だよな。この植物が密林になるはずだよな」
実の収穫はまだだったため、それを待っていろいろ考える事にしようとなって僕は旅だった。
数日探し回ったが特に収穫が無かった。この木の様に連続していろいろ見つかるときもあれば。そう簡単には見つからないときもある。新しい植物はわんさかめぐり合うが作物として使えるものはいくら人の手が入ってない地域でも簡単には見つからない。
「見てくれ」
アレックスがそう話してきた。
「あれれ枯れたの?」
「ああ枯れたと言うか朽ちたな。実を収穫したら突然こうなった」
注意深く観察すると土に変化があった。耕された土地ばかりだったので、荒れてるほどじゃないが作物を植えるような土になってない場所としてやや村はずれに植えた。木なので村の柵のようになってくれればと言う気持ちもあったけど、まるでこれじゃ柵にはなりそうもない。
「そもそも土が耕されるって現地で土を見た推測だったんだよ。でもそれが事実になったね」
「ああこんな土無かったよな」
「それでさ推測だけど、土が耕されてしまうと生育場所として適してないのかな?」
「おいおいじゃどうやってこの植物って生き残ってきたんだ?」
「確かに変だね」
何か見落としでも合ったのかも入れないと僕は現地を再度調査する事にした。
現地につくと若い木だけ残して枯れてしまっていた。これらの木がやがて肥料になって豊かな土になるだろうと予想がついた。しかしじゃこの植物はどうなるんだ?ここでも同じ疑問が沸いた。土に落ちた大量の実を集めて再度植えて調査しようと村に帰った。
村に帰るとあっちこっちにこの植物の若い木が芽吹いていた。
「ええーーどうなったの?」
僕は諦めかけていたのにあっさり解決したかのような状況に困惑していた。得意顔のアレックスが説明してくれた。
「あれからな最後に残った若い木だけ枯れなかったんだよ」
僕はそういわれて現地の状況を思い出した。確かに同じ状況だ。
「でも最後にそれも枯れるはずでは?」
「いやその木それだよ」
そういって指差した木は大きく成熟した木になっていた。
「どういう事?」
「だから枯れてないだろ?って話しだ」
「原因は?」
「確実にこうだって言えないけど、おそらく密集すると土壌改善をしすぎるんだと思う。こいつらにとっては不向きな土になるんだけどな。んでその推測を元に等間隔にあけてあまり耕作向きじゃない場所に植えたらごらんの通りさ」
それが先ほど村に帰ってきてびっくりした光景の答えだった。
「まだ先を見ないと分からないけど、多分これで正解だろうな」
僕は分担で遣ろうと言ってくれたアレックスに強く感謝していた。お金を稼ぐまで困難が多くて探索以外もやっていたら僕は放り投げていたと思う。
「ついでに売り方も考えたぞ。まずは一部に植えて土壌改善を見てもらう。んでそれだと上手く行って一本しか残らないから。等間隔で植えれば村にずっと便利な木が残る事を教える。毎回実を売っても良い、でも今はブランドを重視すべきだと思う。
敢えて相手の得になる事を教える。それと言うのもこれ気がつく可能性が高い。なら最初から言ってしまって親切な売り手だと思わせたほうが良い。後から分かると何度も実を売るために隠していたと思われる可能性が高い」
「ああ全面的に賛成だよ」
「実はチキンバードの餌としても利用価値は高かった。つかーあいつなんでも食べないか…」
「ああ最初ウォーターレッドしか食わないと思ってた僕が恥ずかしいよ。悪食ぐらい雑食」
「さて名前決めてくれ。これは譲らない発見者がつけるべきだ。文句は言うがな」
「土変木」
「使用目的が分かりやすいなそれ。それにしよう」
これは大ヒット商品になった。ただこれは本当に短期での稼ぎにしかならない。成長が早いので効果が目に見えて分かったから。そこら中の村でこの木は植えられることになるだろう。
この木は虫と花の関係に似ている。人間が適した大地に計画的に植えることで爆発的に広がっていく植物だから。良いパートナーになれたと思う。




