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新しい開拓地

 デュラン・ホルムズは新しい開拓地にやってきた。開拓が終ったミドルハンターは優先的に今国家規模の新規開拓を行っている。そのきっかけとなったのは新しい魔王の誕生が原因だ。

 僕らミドルハンターは魔族との戦いと関わる事はほとんど無い。だが新しい魔王が変わり者でそのため僕らが関わる事になった。多くの魔王は人間と魔族との戦いの前線に出て大暴れするのが当たり前に成っている。


 しかしこの魔王前線に出てこない。魔族が持つモンスターを追い払う力を利用して、徐々に前線から魔族を後退させて追い払ったモンスターを人間にぶつけていた。元は適当にやっていた事を計画的に人間の軍隊にぶつけて魔族を前線から後退させるなんて戦略を取った魔王は歴代初めてだった。十分前線を後退させた後人間の王に対してモンスターが大量に残った地域を緩衝地帯として停戦を持ち出してきた。


 先代の魔王がかなり強くてたまたま歴代最強パーティーと言われた今の魔王討伐隊のおかげで退治できたけど、甚大な被害を蒙っていた。そのため渡りに船とこの誘いにのった。疲弊した軍隊を回復させたら一気にモンスターごと攻め落として国境をさらに押し下げてやろうともくろんでいた。


 しかし、何故かモンスターを減少させて魔族の国境に向かう作戦が上手く行かない。魔族と人間の国の間が魔王の狙い通り本当に緩衝地帯になってしまった。これを深刻に見た王様は、全く回復し無い軍隊を元に戻すためSハンター、魔王討伐隊に危険モンスターの討伐をさせて残りをミドルハンターが処理して開拓していくじっくりと支配地域を増やす長期戦略に切り替えた。


 元々魔族優勢で人間の国だった地域を奪われていたのでそれらを奪還し元の支配地域を回復する目的もあった。


 こうして普段は魔族と人間の軍隊が争う地域にミドルハンターが投入される事となった。そういった大きな時代の流れの中で僕は新しい開拓地に行く事になった。前の開拓地で仲良くなった同じ勇者の子孫のメルビン・ステイツもこの開拓に参加していた。


 魔王討伐隊などと連携を取りながらモンスターの討伐を行っていた。ミドルハンターは通常のハンターの様にSハンターにすぐに任せてしまうようでは成り立たない。かなり強力なモンスターも倒していく。ただどーせなら楽に倒せるのが良いに決まってる。緊急の強大なモンスターの出現以外開拓地を転々としていた魔王討伐隊と組む事が多かっただけだった。


 この国のミドルハンターが総出でかり出されたわけじゃない。無理の無いように今行ってる開拓事業が終った村だけに絞ったためそれほど多くの開拓地があったわけじゃない。それゆえ魔王討伐隊と組む事が多かった。


 そもそもミドルハンターは平均値の話で、その中にはいつでもSハンターや魔王討伐隊に参加できるレベルのハンターがごろごろしていた。両者とも国に管理されるため自由な気風を重んじるハンターはミドルハンターを好んで選択するため実力があっても合えてミドルハンターを続ける事が多かった。


 ミドルハンターは開拓村の土地を優先的に与えられるためその分国からの報酬は安い。お金で言えば魔王討伐隊やSハンターの方が明らかに報酬が良い。しかし、それを蹴ってまで2つのチームに属するのを嫌う気質の人がミドルハンターには多かった。単純に間の実力集団と言うわけじゃない。


 そんな討伐の繰り返しが数ヶ月すぎて新しい仲間がやってきた。エリック・ガウンと元勇者の田中太郎の二人。僕らも魔王討伐隊とはそれなりには話してたけど、さすが元勇者元パーティーメンバーのグレンさんなんかとかなり親しく話していた。


 僕が言うのもなんだけど、ミドルハンター舐めるなって人がまさに田中さんだった。Sや魔王討伐隊は一定のハードルが設けてあるだけでこの人そっちじゃない?って人がごろごろしてるんだ。


 基本開拓村メンバーと魔王討伐隊は2チームに分かれて戦う。ただ田中さんが加わった事で状況に応じて討伐隊の方に加わって戦うような臨機応変な戦い方も出切るようになっていた。片方の僕らが割を食うように見えなくも無いけど。

 それでもまずは軸となるやばいモンスターを速攻で倒したほうが良い。そのため田中さんが魔王討伐隊に入って速攻で対象となるモンスターを倒して他のモンスターへの総攻撃って形に入る。


「ワイバーンだ。田中さんやれる?」

「おう任せておけ」


 田中さんは空を飛べるわけじゃないが、瞬間移動で空中のワイバーンを攻撃してまた瞬間移動で戻るって攻撃を繰り返した。その時間を短くすれば落下の衝撃は無いそうだ。

 ただ今回は見てるだけじゃなくて、僕の電魔法の後方支援をガンガン行った。飛行モンスターには火力の高く狙いやすい魔法がかなり有効。その点僕は理想的なワイバーンと相性の良い魔法使いだったといえる。


 ワイバーンをさっさと片付けて多数のゴブリンの殲滅を開始する。


「ふー終ったな」


 僕らも強いという自負はある。だが魔王討伐隊はワイバーン以外はさすがにもてあましてるような所があった。やはり彼らは強すぎる。本来Sハンターが間に立つ位置だから当たり前と言えば当たり前。Sハンターも一応たまに協力してるが、魔王との戦いが無い討伐鯛に較べて国境付近以外の通常地域の討伐が忙しく頻繁には来てなかった。


 討伐が終って随分親しくなっていた勇者マインと話していた。年も近くて距離感が無く勇者様にもうタメ口になっていた。


「僕このまま魔族と戦う事が無く新しい転生者が現れたら討伐隊辞めてミドルハンターやりたいよ」

「でも報酬は良いんでしょ?」

「割に合わないんだよね。魔王って桁違いに強いからね。あでも王様とかお金出してる国民には勇者が割に合わないって愚痴ってるって言えないよね…」


 Sハンターとかとも話したけど、強大なモンスターと戦うスリリングさを求めてるハンターも居る事はいる。ただ少数派だなと思うのは、ミドルハンターを組んで討伐してると、2チームともミドルハンターって良いなって羨ましがられる事が多い。

 元々エリートの魔王討伐対と違ってSハンターはミドルハンター出身が多い。報酬もとめてステップアップしたけど、今更やめられないけど、ミドルハンターの方が良かったって言う人多い。


 おそらくハンターの理想ってミドルハンターなんじゃないかな?と僕は思ってる。いろんな人と関わってミドルハンターでよかったと昔から思ってるけど、なおその気持ちを強くした。

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