表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/98

転生者の話

 アレックス・ヨークは転生者として認められた。転生者は認められなければ転生者になれない。どれだけ力を持っていても転生者としての役割を与えられるのは認められた転生者のみになる。転生者にとって認められる過程で重要なのはむしろ前の転生者に大きく関係する。


 転生者は基本途切れることが無く僕らの世界に現れる。だが、前の転生者は次の転生者が認められた時にその力が弱くなってしまう。こういった転生者のサイクルが途切れることなく脈々と続いてる。ただ強いだけじゃ駄目。前世の記憶を持っている事が重要になる。それはこの世界の生まれ変わりだけじゃない。

 多くの転生者は別世界の日本と言う国の記憶を持って生まれてくる。一部この国の生まれ変わりも居る事はいるが大半は日本生まれの転生者が多い。


 認められると言う曖昧なものが重要にナル。ここがポイントになってて、前の転生者の力もすぐに劣化するわけじゃない。世間の認知と言う曖昧な広がりと同様にしか弱くならない。それと同時代に転生者が複数居る事は多々あるので、世代交代と言う呼ぶのに相応しいサイクルになっている。転生者の多くは人間の寿命としては長生きで4.5世代の転生者が一つの時代に生きてる事はざらにある。


 この世界において転生者は間違いなく英雄で勇者と呼ばれるものにふさわしい。この世界におけるモンスター討伐は専門のハンターと呼ばれる職業が確立してて転生者もその一員なのか?と言うとそうである場合もあるし、そうじゃない場合もある。根本的に転生者はレベルが違う。高いレベルのハンターは人外の力を持つことがざらにある。


 それらをはるか下に見下ろすレベルが転生者のレベルになる。転生者は最初からモンスター討伐の上の仕事をするために期待されている。対魔族戦のスペシャリストと呼べる。特に魔族を統率する特別強い存在である魔王のライバルとの位置づけになる。魔王とナル候補者も似てて、一つの世代に何人も現れない。転生者と同じように世代交代のサイクルの中魔王と勇者の戦いを繰り返す。


 転生者が何故圧倒的な力を持つのか?は、魔法を越えた特別な力を持つためが大きい。魔法は肉体攻撃や武器とは違う特殊な力だが既存の知られた力でしかない。なんだこれは見た事も無いそんな奇跡の力を見せるのが転生者独特の力になる。

 ただし、歴代の転生者同士を戦わせると仮想でしかないが、おそらくあからさまな優劣が生まれると思う。ユニークであるが故に当たり外れが大きすぎる。ただ大外れでも高いレベルのハンターぐらいの力はあるので人外であるのは間違いないのだけど。外れ年はハンターが勇者になってしまう場合もある。

 転生者=勇者ではない。転生者として認められても魔王討伐の中心人物でなければ勇者になれない。パーティーのメンバーぐらいにはなれるけど。


 僕は日本の記憶があるため魔王討伐はパーティと言う発想より特殊部隊の意味合いが強いと思う。魔族と人間は仲が悪くて、常に戦争状態にある。それゆえ単純に僕らパーティだけで片付く話じゃない。あくまで軍隊の助けが合って最後の切り札として存在してる。

 僕らにとってものすごく邪魔な魔物と組んで人間を攻撃する魔族は絶対に相容れない存在となってる。だが基本的には魔族の方が強くて、一進一退を繰り返す。それを人間の数で対抗してる感じだ。唯一個人として戦えるのが僕ら転生者を中心とした勇者パーティーという事になる。


 肝心の僕の能力は何なのか?と言うと強大な炎を扱う力となる。なんだありきたりだなとなると多分そうなる。単純にこれほどの火力の魔法が存在し無いだけで火魔法の延長でしか無い。じゃ外れなのか?と言うとそれは違う。それは僕はこれまでの戦いによる実績で転生者として認められたので自分の力を過信してるわけじゃない。

 何故こういった認められる事が重要視されてるか?と言うと、転生者の歴史は長く、その初期の頃に前世の記憶を持ったフリをする偽者転生者が何度も現れたから。それゆえ前世の記憶はまるでアテにならない事になった。もし同じ日本出身の転生者と出会って突っ込まれたすぐにばれる話だけど。そこまで詳細な証明をする前に転生者なら強いだろって事で片付いてしまった。


 転生者はごく少数であるため転生者同士が語らうと言うのがあまり無い。基本前の世代は次の世代が認められたら前線から退いてしまうために出会う期間が少ない。長生きであるため互いに引退してから話をする事などはあるそうだ。僕は別の転生者と話す経験はしてない。


 転生者は日本の記憶があっても、この世界独自の常識に徐々に染まっていく。歴代の転生者が乗ってる転生者ブックにどう描かれるのか?これが転生者として認められる事の一つの楽しみでもある。日本人としての僕は多少恥ずかしいと思う気持ちもある。でも誇りや名誉、シンプルな楽しみがやがて前世のそういった目立ちたがりな部分がある恥ずかしさをかき消してしまう。

 転生者は皆の憧れの人物で、転生者自身も基本その常識通りに生きていて、転生者ブックにどう書かれるのか?を楽しみにするのは、この世界の常識では当たり前の事だった。


 外れ転生者として笑いのネタになるようになる事は無いと思う。ただ弱いだけじゃない。ユニークすぎて笑ってしまう転生者も居る事はいるから。単純に弱いだけじゃない。記憶に残る転生者だけど憧れるにはちょっとと…。僕もこれはちょっときついなと思った転生者で大便から強力な武器が生まれるクソ勇者と呼ばれた転生者が居る。


 いやでも、最近は僕って地味じゃない?と思い出してる。僕も毒されてきたのかクソ勇者ありだなと思い始めている。だって炎を扱う転生者って大量に居てその中でトップレベルの人は記憶に残るけどとてもとても僕はそんなレベルじゃない。だけど、弱くも無い。どっちにしても多分歴代の転生者の中で誰も記憶し無い地味転生者のひとりとなると思う。


 やっぱクソ勇者ありだなと思い始めたのは自分の地味さに気がついてしまったから。魔族は強くて死にそうになるから弱いよりは良いんだけど…。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ