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奴隷ちゃん3

 僕(吉田健一)はハンター資格を取った。後何日かで僕のスキルが判明する。ハンター資格を取ったは良いが、今の実力では村の自警団止まりだ。別に馬鹿にしてるわけじゃない。地方の村なんて守るべき気持ちがはっきり言ってまるで無い。食うために仕方ないか?と言うほどまだ困ってるわけじゃない。


 そもそもそんな苦しいなら養成所に払うお金が無い。レイヤが現役だった頃無かった職業としてミドルハンターと言うものがあった。僕はこれになりたかった。ただ今の実力じゃ無理。僕は身体能力が並じゃないのでその辺りハンターは向いている。だがそれだけでなんとかなるほどミドルハンターは甘くない。


 やはり僕固有の力が欲しい。


「あのさレイヤ、僕のスキル次第では君は僕と離れたほうが良いんじゃないかな」

「別に村の自警団のハンターでもついていきますよ?私はハンター資格がありますが、それを機能させるためには死んだとされた勇者が実は生きていたとハンターギルドに知らせないといけないと思います。だからそれをする気が無いので、健一と一緒に自警団をやる方が合理的だと思います」

「実は生きていた行けると思うけどな。どーせ転生転移自体が摩訶不思議な出来事なんだから魔法で年取らずに生きてましたってそんなに驚かれないでしょ」

「でも私ハンターとして把握されると魔王討伐隊に任命される恐れあります。だって経歴が明らか過ぎて」

「なるほどそれは確かにいやだね。良いよ半年前に自由になったのに何故僕が資格取るまで待っててくれたのか良く分からなかったけど、それなら納得できる」

(それだけじゃ無いのですけどね…)


 レイヤは健一が養成所を卒業する前に魔王との奴隷契約は終っていた。でも何故かまだ健一の家に居た。健一の家でただ飯ぐらいしていたわけじゃない。レイヤはモンスターを狩って生きていた。モンスターハントは金にならない。

 それは安全な地域の話で、モンスター多発地域にある健一の家の周りなら十分にモンスターを狩って生活できた。ただしモンスターの肉を食べるなら豊かな食生活だが、売るとなるとわずかばかりの金にしかならない。健一が帰ってくるまで細々と暮らしていた。


 健一は一人ではとてもこの付近でモンスターハントをしながら暮らすなんて出来ない。身を守るぐらいなら常人とは比較にならない身体能力を持つため素で強い。しかしそれは逃げる事を重視した場合だけで真っ向からこの地域のモンスターを倒すような力は無い。でも二人なら以前とは違いもう素人じゃない。スキルが判明する数日間二人でモンスターハントを繰り返していた。


「これはお金をためるような暮らしは無理だね…」

「ええ、養成所卒業生ならハンターが居ない村の紹介ぐらいしてもらえますよ」

「進路って形で優秀ならいろいろ斡旋してくれるんだけどね。僕みたいな位置づけは困るだろうね。普通村に帰るだけだから。ただ需要があるのは分かってる。でもさ斡旋されなかったのに紹介してるの?」

「私も漫然とモンスターハントしてたわけじゃないですからね。300年前の知識とのズレをいろいろ調べていました。こっちから紹介して欲しいといえば斡旋してくれますよ。そこは変わっていませんよ」

「でもなレイヤの存在がな…」

「仮としてなら夫婦ですむ事にしたらどうですか?」


 どういう意味なんだろうか?と間が空いてしまった。


「いやいや僕らは奴隷契約とか無いんだよ?何故そこまでレイヤはしてくれるの?」

「秘密です」

「ええいやでもまあ僕にはすごく都合が良いし言いたくないなら確かに聞けないな」


 数日が経ち僕の能力が判明した。ある日パッと分かった。目に見えて分かる力じゃない。それもあるのかもしれない。パッと頭の中に浮かんだ。他人を成長させる能力。すごい能力だと思う。だがこれハンター向きじゃない…。歴史上最弱の転移者なのではと思ってしまう。


「いやいやそんな事無いですよ。転移転生者は持ってる能力次第で無茶苦茶弱くなります。そもそも私なんてありがちな炎の魔法が強くて、基本的な戦闘能力が高いってだけですよ。私の様に平均タイプも居れば、超特化タイプの人居ます」

「レイヤは転生者としての高いレベルの平均だもんな。僕なんて身体能力だけが転移転生者としては最低レベルってだけしか無いよな」

「じゃそれをコーチング料金みたいにしてハンターから金とりましょう。私がボディガード兼仲介人やりますから。多分それ強くなった相手に殺されてお金踏み倒されそうなので」


 手始めにレイヤにその能力を使ってみた。レイヤは特にこの能力の恩恵が高かった。高いレベルのハンターほど実力と反比例して成長力は落ちてくる。それを初期の状態に戻してしまう。もちろん2倍成長できるなんて派手なものじゃない。それでも上澄みが無い成長を遂げたハンターにはこれほど効果的な能力は無い。


「うわ全盛期ぐらいの力戻りましたよ。勇者ってのは認知が重要なんですよ。すでに死んでるとされる私は0に近いです。どんぞこぐらいのプラスアルファ無し状態から勇者やってた全盛期ぐらい復活しています。これはすごいですよ。ただこれ家で待ってて来てくれるの待つのは不味いですね」

「ああそれなら良いよ。最初は転々と村を回ろう。ミドルハンター知ってる?」

「はい分かりますよ」

「地方の自警団を回るよりさ開拓村にごっそり居るミドルハンターからお金貰ったほうが良いと思うんだよ。ミドルハンター地方のハンターより金持ってるから高めに設定してね。将来的には名前が売れたら来てもらう事にしてさ、しかもこの辺りならミドルハンターしか気楽に来れないからミドルハンターをターゲットにするのは間違ってないと思うんだよ」


 ただし、コーチ業と言っても何日も関わるわけじゃない。数十分で終る。でもやり始めて分かったのは、数日効果を見届けないといけない。詐欺だと思われるので後払いで対応していた。開拓村をターゲットにしたは正解だった。

 一気に数人にやったので、そのおかげで効果があるのに無いという嘘によって踏み倒される事を避けられた。さすがに他のハンターに効果があるのに無いと言い張るあつかましいハンターは居ないようだ。将来的にはそういう被害もあるのかもしれないけど、家を店に出来るまでは解決するだろう。


 こうして僕らはハンター成長お助け業を始める事となった。追伸、自分にも使ってみたらちょっとだけ成長できた。ただ元が低いので対した効果にならなかった。そんな上手い話は無いものだ。


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