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奴隷ちゃん

 僕(吉田健一)はある日ゲームをしていたら異世界にやってきた。ただかなり困った事になった。自分の力はすぐに分かった。どうやら僕は特殊な力がある。しかしその力はどんなにモンスターを倒して経験を詰んでも1年は発動し無いらしい。僕はこのふざけた制度を定期預金スキルと呼んだ。


 仕方が無いからゲームの時にあったNPCを雇うシステムを使うことにした。ボッチプレイヤーでコミュ障な人向けに一人では難易度の高いモンスターを狩るための便利なNPCを雇ってパーティーを組むシステムがあった。

 ゲームじゃないだろ?しかし僕は調査の結果これを奴隷によって置き換えてることが分かった。なるほどと感心。たまたまNPC雇う予定だったからお金は準備してあった。

 1年間の空白の弱いプレイヤー時期を支えるため僕は奴隷制度についてありがたいとしか思わなかった。抵抗が無かったか?それよりこれからどうするの?こっちの方がよっぽど怖いって。


 自分で出来る事をわざわざやらせるんじゃない。自分には出来ないけどお金の力で何とかする。お金で生きていけば良いだろ?でも1年我慢すれば僕ははれて優秀なソロプレイヤーになれる。手を打たなければお金が減っていくだけだ。

 ただ僕は1年後どんな能力が発動するのか?は知らない。その辺りは計画性はなかった。でもやらなければそれは0でしかない。可能性は1になる場合がある。


 NPC制度のせいで僕は安直にNPCみたいなものだと思えば精神的にも楽かもしれない?と思えても居た。衣食足りて礼節を知るとはあるが、きつい立場だと奴隷は酷いとか思えない…。生きるのに必死だった強盗や泥棒よりましだろ?って話しになる。


 女戦士を買いました。NPCで雇おうとしてた金額とちょうど同じなので運命感じて即決です。可愛いのもあります…。奴隷だろ何しても良いだろう?とさすがにそこまでは思わなかったけど期待はちょっとしてしまった。


「始めましてご主人様レイヤです」

「実は見た目で決めてしまったけど君強いの?」

「試してみますか?」


 早速僕は二人でモンスター討伐に向かった。最弱ではないけど、1匹しか今の僕には無理なゴブリン3匹と戦った。


「なんじゃそりゃー」


 電光石火とはまさにコレ。早くて見えない。僕この人と戦ったら殺されるかも…。この世界には転移者と言うのが居てものすごく強い人達らしい。もちろん僕はそれ。ただ僕ちょっと特殊で、かつゲーム時代まだ始めたばかりでレベルが低かった。

 だから多分僕転移者としては定期預金が下ろせるまで弱いと思う。だからかもしれない。それでもとにかくこの人強いってすぐに分かった。


「あのさ相場とか分からないけど、僕レイヤを買った値段安すぎない?もっと君なら需要あるでしょ?そもそも何故その強さで奴隷に落ちたの?ハンターで稼げるレベルじゃない?」

「複雑な事情があります聞きますか?」


 妙にこの人淡々としてる。僕がNPCを雇う事を連想してしまうのはそれがある。それも特殊事情が聞きたくなる理由の一つだった。


「言いたくない事は無理に聞かないけど、正直それ聞きたい。情けないけどレイヤ怖い…」

「大丈夫ですよ。そんな簡単に裏切るなら戦士奴隷を使ってモンスター討伐なんて制度自体無いですよ。ただご主人様に安心してもらうのは大事な事ですよね」


 安心してもらおうなんて優しい感じが全く声色に出てないのがなんとも言えなかったけど。


「私は元転生者=勇者です」

「何それ??僕と似たようなもの?なら日本人?」

「転生者の事は知ってますか?」

「それなりにね。一般の人じゃ分からないけど、前世が日本人ってのも僕は転移者だから分かるよ」

「前世はレイコです」

「名前の響き似てるね」

「偶然だとは思いますけどね。ローソンがコンビニなのは知ってますか?」

「うん知ってる。その質問ならこっちの知識だけじゃなりきるのは難しいと思う。うん前世あると見て、顔が明らかに違うから転生者だね。実は留学生とかある?」

「レイコで駄目ですか?」

「ご免言ってみただけ…。転移者じゃないねって話に過ぎ無いからスルーして」


 話しの腰を折ってしまったようだ。


「昔魔王討伐とかやっていました。ただ私達のパーティ負けてしまいました。でも魔王生き残った私だけ殺しませんでした。その代わり奴隷にされました。ただその時使った魔法が特殊で、私奴隷になる代わりに解放まで歳をとらないって魔法=呪いを受けました」

「それでかでも何故人間の世界に居るの?」

「契約満期が近づいてきて何をどうやったか?分かりませんが私転移されて人間の奴隷商人に扱われるようになり、ご主人様に買われました。そもそも私を奴隷にした魔王もう随分前に別の勇者に殺されて死んでいます」

「えレイヤ幾つなの?」

「300年近く生きています」

「そういう刑期アメリカとかであったよね。ファンタジーな世界ではそれできてしまうのか。別に不快とかじゃなくて、今みたいな何か無感情と言うか無機質な感じって長すぎた奴隷生活で心が磨耗したとか?」

「ああこれですか」


 結構いやな事聞いたと思うけどまるで他人事みたいだ。


「これはですね。私奴隷の仕事をほとんど嫌だと思わないんですよ。それも魔王の魔法みたいです。別に奴隷として仕えるのが喜びってわけじゃないです。でも私何か言われないと寝る食べる排泄するぐらいで後何もしようとしません。

あちなみに排泄もご主人様に我慢しろと言われてお漏らしして喜ぶとかそういうのなら我慢しますよ?」

「いやそんな細かい事まで互いの関係を詰めなくて良いから…」


「そうですか横道それましたが、なんというか奴隷として使われないと生きている意味が無いと感じる部分があります。感情って言えるレベルの物じゃないかもしれませんけど。退屈を辛いと思う感情もあまり無いのですけどね。

実を言うと解放の時間が迫ってるのが怖いです。騙されたとご主人様は思うかもしれませんが、私後半年で解放されます」

「ええせめて1年にならない?僕お金払ったのにどうして?」

「根底の部分で魔王が勝手に組んだ人間にとっては詐欺契約みたいなものだからです。偽造奴隷魔法って感じです」

「なんとかならない?」

「その時私が一緒にパーティをやりたい人と思えれば良いじゃないでしょうか?」

「何かあんま嫌われるような事するなよって脅されてるみたいだな…」

「ただ私もう300年近くこんななので不安もあります」

「あれ無感情ってわけじゃないんだね?」

「少ないながら感情的にナル部分残っています。そもそも痛いとか一応不快ですよ?」

「ごめんごめん、ロボット分かるよね?あれっぽいなと思ったから」

(うーん不味かったかな…)


「あんまり失礼な発言は後で困りますよ?」

「怒ってる?」

「それは無いです。ただ私元の人格の記憶がありますからね。元の人格ならロボット扱いされるのは不快だと思うでしょうね。今の私だと分からないと思うから、聞いてくれれば答えます。ただ私変化も不安ですが、そもそも変化するのか?とも思っています。

魔法が解けたら突然私元の人格になるのか?と言うと慣れた部分ってあるんじゃないか?とは思います。ただいろいろ感情は蘇るんでしょうね。すごい今楽ですよ。私人間って皆奴隷になれば良いのにって思っていますよ。

どーせね人間と関わって生きていくと奴隷的になる部分があるんですよ。そういう時奴隷魔法は悟ってますね。ああもちろん魔王の魔法があればって前提ですね。過去自分が生き辛いと思っていた日本、こっちでの勇者時代とかありますからね」

「それが悟りって仏陀怒らない?」

「どうでしょうね。流れるように生きれるんですよね。そもそも死んでしまえばすべて終りなわけです。ただ私ののろいはそれは許しませんでした。だからそこ禁止されてしまうとこの魔法さえあれば奴隷は素晴らしいと思います。自由意志ってそんなに素晴らしいの?って考える部分もあります」

「怖いの分かってきたかも…」

「でしょ?まあ半年後の私に嫌われないように頑張ってください。今は私にやることを与えてくれるのでご主人様の存在好意的ですよ」


 こうして僕と元勇者今奴隷レイヤの異世界生活が始まった。

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