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転生転移研究者2

リチャード・バーム転生者でしょ?」


 アラン・アダムスは彼にそう告げた。


「何を馬鹿な事を私を偽転生者にでもするつもりですか?」

「残念ながらそうはならない。詳しい人間なら君を転生者と証明できるからだよ」


 私には確証があった。彼は隠れ転生者としては隙が多すぎた。


「君は頭の悪い人間ではないよ。私が君の立場ならそう振舞うと思うから。だってこの世界ハンターの資格を持つなら援助してくれる人達がいるなら取ったほうが良いよね。生きていくうえで何かと便利だよね。

そしてそれはハンター資格が無くてもモンスター討伐が得意ならそれを生かすほうが生きやすいからね。ハンターの資格はその延長線上でしか無いよね。結論から言うとお金も無いのに転生者として隠れて生きようなんて馬鹿がやる事だよ。君は間違ってない」


 彼からの返答は無く私はそのまま話し続けた。


「さて証明だね。君は分かってるはずだ。魔法に詳しいものなら無詠唱で使えるそれだけ強大な火の魔法なんて無いって事を。ハンター養成所時代に君はその様な強力な火の魔法を使った形跡が無い」

「どうしてそんな情報」

「いや、カマをかけてみただけだ。これでほぼ間違いないと確信したよ。君の不自然な出世物語について疑問を感じたからアブダクション的に思考したわけだよ」


 軽く日本語を入れて遊んでみた。ただ彼はアブダクションを知らなかったようだ。


「ただしいざとなったら僕は調べられるよ。何故ならそれは秘密にするような情報じゃないからだよ。コネだね。秘密にする情報とそれ以外があり私も問題行為を行ってるわけじゃない。知りたいと思ったらそれをするかもしれないけどね。多分転生者であることを君は隠してたんだろうなと仮説を立てたらすいすいとすべての謎が解けたわけだよ。これを日本語でアブダクションというんだよ」


 ただし江戸時代生まれの私はアブダクションを他の転生者から知ったのだが…。


「私は転生者が持ってる前世の記憶の日本研究家なんだよ。私じゃなければまずばれなかったと言うのはここにある」

「目的はなんだ?」

「今の勇者のマイン君を助けて欲しい。君が転生者だったとしても勇者にはならないよ。君のピークはとっくに過ぎてる。君は一代前の田中さんの世代だからね」

「何故そこまで?」

「実は隠し子ですとか無いよ。単純に君が手を抜いてハンターをやってるより全力が出せる場所に引きつりだしたいわけだよ。もう君も気がついてると思うけど、引っ込みつかないから100%を出してないだけだろ?

何故ばれたのか?でSハンターを完全に隠して活動するなんて出来るわけ無いからね。それでも君は今更隠してしまった事に引っ込みがつかないから全力を出してない。正直言って君今やってる努力無駄と思ってるよね?」

「ああその通り」

「良くある偽善的な言葉だけど、君のためでもあるんだよ。ただ嘘じゃない私は転生者転移者がマニアとして好きなんだよ。だから君のためでもある。さて君は突然記憶に目覚めたといえば良い。そうすれば隠していた事実はばれない」


 しばらくの沈黙があった。おそらく考えているのだろう。


「だがあなたもそれを知っている」

「それは大丈夫だ私も転生者だから」


 予想はしていたがアングリした彼の顔を笑ってしまいそうになる。


「お互い様だから黙っていようよ。これほど信頼置ける関係ないでしょ?」

「信頼は置けるが、あなたがマイン君助ければ良いじゃないか?」

「うーん、だって転生者研究の時間が削られるじゃん」

「じゃあ、あなたは自分の時間を削られたくないけどマイン君は死なせたくない。だから代理を立てようって事を言って無いか?」

「君が私を転生者と知ったならね。だから言いたくは無かったんだけどね。たださ、私は転生者だと認められないよ。だって君証拠を残しすぎてるんだよ。だから感情に任せて道連れにするのはやめようよ。お互い仲良く転生者同士やっていこうよ。

後決定的な心の問題で、私がどれだけこの国で勇者をやってきたと思ってるんだい?私はもう何度も転生して魔王を倒してるんだよ。一度ぐらい好きな事させてくれよ」


 そうは言いつつ私は坂田権蔵としての一貫した人格を持ってなかった。言い訳になってない言い訳を対外的にしていた。


「分かったよ受け入れるよ。でも転生者って認められたら新しい世代が居るなら力落ちないかい?」

「良くマニアの私に聞いてくれた。実体験でもあるけど、この国の転生者制度って馬鹿に出来ない部分もある。基本性能は誰にもしられないでも決まっている。でも勇者としての力が落ちるのは勇者ってのは認められる事が力になってるんじゃないか?と見てる」

「そりゃファンタジーだね」

「そもそも転生者って存在がファンタジーだろ。ちなみに私江戸時代の人間でこれマニアとして知っただけだからね。私リアルファンタジー時代に生きていたのでそんなに違和感無いんだけどね。逆に何故日本マニアになったか?と言うと日本の新しい知識とか考えが面白くて刺激的だからね」

「要するに僕は認められた事が無いから。±0ってわけなんだね」

「いや隠してた底力すべて見せるんだから多分今より上だよ。ただこれでグレンから間が開きすぎてたのが何故か解明されたね。転生者が途切れないって絶対じゃないんだけどね。もし君と私が死んで次があったなら私と二人で隠れ転生者として何かしら残しておくよ。

転生者のサイクルって短すぎて時間のずれが無いか?なら記録の問題の方が大きい。私ずれてるの実体験で知ってるからね…。その立場から言わせて貰うと基本隠れって居ないと思うよ。君変わり者だと思う」

「そりゃお互い様でしょ」

「だから言ったでしょ?私心の問題では、何度もやってて飽きただけだって。何故今なら全くの偶然。最初に話したでしょ?隠れやりたいならお金もってハンターなんてやらずに暮らして避ける事だって。たまたま今前世のたっぷりためたお金が使えるようになったからだよ」

「うわその人生羨ましいー」

「一つ話しておくとそれなりに何度も転生するってある事だから。来世でもまた会おうよ。ただ今世もまた会いに行くけどね」

「締まらないね…」


 そういって彼と別れた。その後転生者として認められて魔王討伐隊に編入されたらしい。来世があるならその時でも彼は最初から転生者だったのではないか?なんて推測の話でも残しておくか。今は秘密にしておくけど。


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