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転生者の不思議2

 マイン・イースターはハンター資格を取った。ただ自警団に居る時から前世の話をしていて、誰が見てもすぐに分かる特殊能力の持ち主。ハンター養成所では高い評価。それらの理由から卒業後にスグに転生者として魔王討伐隊に組み込まれた。

 自分としてはど新人がいきなりは無いだろうとは思ってたけど、勇者じゃないんだなとはちょっと思っていた。現在の勇者田中太郎さんが条件をつけたらしい。俺がちょっと試してやると模擬戦をやる事になった。


 別に強く勇者になりたいわけじゃないが、やはり僕もこの国で生まれて転生者伝説を聞いて育ってきた子供だから憧れはある。それに現在の勇者に認められて譲られるなんて方が逆に望ましいと思った。僕が若いのも大きいと思う。

 僕は未経験ではない。きちんと自警団で実績を積んでいる。ただ本当に強い敵との戦いは経験してない。ある意味田中太郎さんとの戦いが初めてなのかもしれない。


 王様の面前での御前試合、さすがに緊張する。


「それでは二人前に出てベン・デインズ王の臣下の礼を」


 そうして僕ら二人は王に臣下の礼を行い試合は開始される。そもそも僕が王国の騎士の様な立場になる式もこの試合と同時に行われてるのでそれらを纏めた進行になっている。


「試合開始」


 田中さんの能力はある程度は聞いている。瞬間移動だと。なおかつ転生者らしく並外れた身体能力。ただ不思議能力じゃ僕も負けていませんよ田中さん。始まってすぐ田中さんは瞬間移動をしかけてきた。初見は特にこの能力に面食らう。実は僕全く反応できてなかった。

 いやいやその前にこんなの反応できる奴いるのか?でも僕の武器君は反応した。田中さんの一撃を盾が防いだ。


「おいおい聞いてないよ。武器の能力だろ?」


 田中さんが疑問の声を上げる。


「あはは、僕もこんな変化初めてです。でもねこれ防具じゃないですよ」


 そういって僕はバニッシュを仕掛けた。相撲で言う盾によるぶちかましだ。僕らの並外れた身体能力ならこれがすごい武器になる。すかさずに剣を握り勝負を決めようとしたら田中さんすぐに立ち上がって距離をとった。


「それ俺じゃなかったら骨折れてるぞ」

「だから言ったでしょ武器だって」

「殺し合いじゃないんだがな」

「ええ田中さんならこれぐらいで死なないかと思って全力でやりました」


 一般的には致命傷を避けると言うのは常識だと思う。僕はそれをきちんと守ってる。ただ相手が田中さんだと分かって一般の戦士ならやばい攻撃をガンガン続けていた。


 田中さんは僕の攻撃を受けて距離をとった時僕は弓に変化した武器を使って弓を打った。


「あぶねーーマジで勇者でも死ぬからー。ああ辞め辞め、その能力反則だよ。勝負にならない」

「それはお互い様でしょ」


 と僕はにやりと笑って答えた。


「まあお互い酷い能力だよな」


 研鑽し磨き上げた珠玉の技術。そんなもの僕らは微塵も使ってなかった。能力任せのトリッキーな戦い。僕の凄さは盾にと弓の攻撃に集約されてる。相手に動きを僕のうかがい知らない所で反応している。田中さんが弓で負けを認めたのは瞬間移動先を読まれてるのを理解したからだ。

 田中さん殺しの僕はエキスパートになると思う。ただ僕もあなたも散々その酷い能力で努力の人達をコテンパンに凝らしめてきたはずだと思ったのでお互い様だと返しておいた。


 僕はコレで勇者になった。完敗ぐらい叩きのめされた田中さんは討伐隊を去った。もちろん田中さんは僕相手だと弱くなるだけで、去る理由にならない。元々前任のグレンさんに対して次の勇者が現れるまでのつなぎとしてやっていたらしい。

 だから以前からやりたかったミドルハンターに引退を兼ねて転職するようだ。グレンさんもまだ現役なのでまだまだやれると思うけど、転移者の人は魔王討伐隊に対して思いが淡白らしい。逆に言えば田中さんが変わり者だったと言われている。


 普通は国が頼み込んでなってもらうらしい。無理矢理押さえつけるには危険人物ばかりなので。自主的に参加した田中さんが転移者にしては変わり者で勇者まで進んで引き受けたなんてそうある事じゃない。田中さんもやっぱり転移者なんだなと思われる結果となった。


 ただ王様は喜んでいた。僕が完勝したので田中さんが去る事に対してさほど未練が無いようだ。国としても忠誠心や、使命感も薄い生粋の国民じゃない転移者の勇者は基本望んでない。ただチームから去るのは痛いと思いつつもまだ若い僕を信用してなかったのだろう。

 ただ僕も特に気にしてなかった。逆の立場なら信用するほうが変だ。それこそ転移者を嫌ってるように見えてしまうかもしれない。それでも転生者の方が勇者としては優遇されるのが普通だった。


 僕はこうして歴史の中で脈々と続いてきた勇者に任命された。

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