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勇者の仲間

 俺(赤川瑠夏)転移者である。転移者の多くはゲームのプレイヤーだと聞いた事がある。俺は違うただやっぱりゲームの家からのスタートになる。ただ初期設定で与えられる装備やお金が結構豪華。もしかしてこれゲームやって無い方が美味しいのかもしれない。俺は楽に異世界で生活する事が出来た。


 とんとん拍子に知名度を上げてついに勇者にまで上り詰める。俺の力は剣や拳を使う場合に炎を追加攻撃として敵に与えられる。魔法と決定的に違うのは無詠唱でかなり強力な炎を出せることにある。何より俺は剣士や格闘家としてのスタイルそのままで魔法の様な炎を使えるこの世界ではインチキみたいな能力の持ち主だった。


 しかし、俺は分かっていた。歴代の勇者からすると人外としての力が足りないんだ。笑ってしまう力じゃないため外れ勇者の称号は無かったようだがスペシャルに限りなく近いハンターレベルだと思われていた。間違いなく他のSハンターより俺は高い位置に居たと思う。

 だが何故Sハンターのチームと勇者チームが分かれてるか?は転生転移者とそれ以外では大きな開きがあった。転生転移者は人であってはならない。怪物や化け物が悪口として良く言われるなら褒め言葉として神で無ければならなかった。

 通常転移者は転生者より高い能力を持つものが多い。それは裏返すとあっちの世界の未練に比例するのじゃないか?と俺は考えている。だからあっちの世界に未練の無い俺は能力が低いのじゃないか?と疑っている。


 俺は次の次世代の転生者に勇者の座を奪われてしまった。しかし同じ勇者チームで仲間として残るようだ。それもそうだろうそもそもその勇者以外俺に並ぶものなんて居ないんだから。

 自分でも力が足りないのは知っていたので特に不満は無かった。しかしだ、まだ駆け出しの転生者に現役の俺が道を譲るというのは良く分からない判断だった。


 でも勇者と会ってそれが何故か?すぐ分かった。そもそも勇者は転生者がなる事が基本。何故なら俺は所詮は異世界の外様だからだ。プロ野球で考えると良く分かる。フリーエージェントや外国人より生え抜きの選手を応援したくなるよう物だ。

 逆に言えば通常転生者が勇者になるのに今回たまたま前任者が引退して、今回の勇者のまだ子供だったための間が空いてしまったためリリーフ的に俺が勇者に起用された。最初から俺はつなぎでしかなかった。

 そして決定打は勇者は女だった。しかも美人だ。強くて見栄えが良いので魔王討伐軍の広告塔の役割が強い勇者にはそういった人を引き付ける話題性のようなものが重要だった。


 実際勇者の実力が見たいと王様に希望によって模擬戦のようなものが行われた。相手となるのはもちろん俺。王様も自分の決断がやや世間の評判に寄り添ったものであるのは理解していた。しかし俺も王様も納得する結果となった。

 まるで歯が立たなかった。勇者は魔王のついとなる存在なのか?と言うとそうじゃない。実は仲間とよってたかって一人の魔王を倒す1VS多の戦いが基本だった。本当は100人ぐらいで囲んで殺しても良い。ただそれだと被害が大きくなるから、軍隊は魔王を孤立させて少数精鋭のチームによって魔王をよってたかって攻撃するのが魔王討伐隊の基本姿勢だった。

 もし魔王が人間の王の様にびっしり精鋭の護衛で固めて戦うなら多分この戦法は役に立たない。何故か魔王は孤立しやすい状況を良く作る。これは魔族について詳しくは無いのでこれ以上は分からない。


 この勇者なら良い勝負するんじゃないか?と思えた。基本的なものが人間離れしてるんだ。俺も確かに人間離れしてる。だが俺はせいぜい2倍程度の巨人レベル。この女勇者は5倍ぐらいの巨人のタフさと攻撃力を持つのに人間の小ささに収まっている。

 俺はたった一撃で参りましたとなってしまった。反骨心のようなものがあった。でも俺の全力を受け止めて、かつ俺は切られたわけじゃない。剣できちんと抑えたのにそのまま吹き飛ばされてしまった。これじゃ勝ち目が無い。俺だけが傷つくのが目に見えていた。


「ルカ君ずっと会いたかったんだよねー」

「君?確かに君の方が実力があると思うが一応もう20代なのだけど、君はどう見ても10代だよね?敬意を払ってくれとかじゃない。さすがに子供みたいに扱われるのは」

「きみ?私はルーテシア。ルーで良いよ。それで何?言い方が気に入らなかった?ならさ前世で決めようよ。私さルカ君の事年下だとしか思えないんだよね」

「あまさか中身ババア(日本語)?」

「ババア禁止。ええーっと、後さ中身ってのちょっと違う。転移者だっけ?」

「そう」

(それがナンなんだ?)


「転移者と転生者って微妙に違うんだよ。これは転生者が前世を自覚する年代ですべて決まる。この時期が遅れれば遅れるほど前世の延長の人格じゃないんだよ。私にとって彼女はただの過去の物語の主人公に過ぎない。だって考えてみてよ。もしこの人おっさんだったらどうするの?」

「ああそりゃ割り切れないね」

「そそ、私はとりあえず便利な知識を見せてくれる図書館みたいなものだよ。生まれてスグならおそらく同一人格の様になるだろうね。そこから時間が経つと2重人格みたいになると思う。私はそれが完全に切れて人格が無いただの記憶になってしまってる。

あんまりこういう話こっちの人しないでしょ?って言っても私は完全にこっちの人だけどね。ただ興味本位。ルカ君のも教えてよ」

「名前はそのまま年の今から5、6年前だからあっちだと14,5才が最後の記憶ってところかと」

「家族は?だって向こうに親しい人残してきたなら辛いでしょ?私なら聞いてあげるよ」

「ああそれ、俺ははっきり自覚してるけどこっちに来てよかったと思ってる。ちょうど母子家庭で母親が死んでしまって一人になった時しばらくして転移してきたから」

「ちょっとちょっと、何か私の家庭と似てるじゃない。私は未練一杯だよ。でもね死んでしまったからどうにもならない。とりあえずババア禁止。それで話すけど、私ルカ君ぐらいの子供が居たんだよね。私が死んでしまってどうなってしまったかなと、んでその子ルカって言うのよ。だからついね」

「ちょっとそれまさかと思うけど」

「まさかー、でも赤川も同じだよね…」

「でも時間が変でしょ?」

「ああ私巻き戻ってるね。そうだ私の名前言わないとね。赤川里美だよ」

「ええ母さんと同じ名前だ。しばらくって話してたけど、俺おじいちゃんの所に居たんだよ。さすがにそれ重なったりし無いでしょ。赤川次郎とお婆さんはミヨ」

「父さんと母さんじゃない。ええじゃやっぱルカ君?」

「可能性すごく高い。だって昔からキラキラネームつけてだから底辺なんだよなと思ってたんだよ」

「ええ酷いじゃない」

「でも父さん良く分からないんでしょ?ってこれも重要な事になる」

「うん3人ぐらいなら絞れるよ」

「ああもうそのちゃらんぽらんさ母さんだ」


 しばらく二人とも静かになってしまった。


「ルカ君」


 そういって手を広げて抱擁の合図を送ってきた。俺はそれに対してテンション上がってしまってつい乗ってしまおうとしたら。


「あご免…。頼むからお母さんと呼ばないでね…」


 盛り上がってきた気持ちをくじかれて、また気まずい空気が流れた。


「私さ里美さんが他人じゃないんだよ。でも別の人格として会話してるわけじゃないし、今生きてる私が共有してるとは思えないんだよ。たださ同情はするんだよ。だからついやってしまったけど、でもさそれって逆に良くないと思うんだよ。あくまですごく親しい友人としてルカ君の言葉を伝えて、代弁者としてなら話せるから。それで良いならお母さんへ向けた話しして欲しいな」

「うんあくまでルーに教えてもらうって事にするよ」

「でルカ君で良いでしょ?」

「うんそれで良いと思う」


 後から考えるとどうも向こうからこっちに来る時間の流れはてんでバラバラなんだろうと思う。同じなら今彼女はもっと子供のはずだと整理ができた。


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