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ある転移者の話2

 僕(羽佐間俊)はモンスター討伐を行うハンターと言う人達がいるのを知って、ハンター養成所に通う事にした。ただし僕はハンターになりたいのであって、勇者にはなりたくない。だから自分の力をセーブして通う事になった。

 それでもある程度は優秀な所は見せておかなくてはいけない。まず不自然だし、確実に資格も欲しい。それなりにではあるが目立つ存在になりかった。僕の目的は情報収集とコネ作りが大きかったので。


 ただ不味い事に外れ勇者の次と期待される転生者アルバートと同期になってしまった。何かしら日本の記憶からボロが出るかもしれないので彼には近寄らないようにしていた。

 記憶があるのをばれないように、全力がばれないように僕はそこそこ気を使って学生時代を過ごしていた。ただそうは言ってもやっぱり気になってしまう。僕は転生者転移者について知りすぎていた。そのせいでマニアになってしまった部分がある、

 ついついアルバードを一人の転生者として観察してしまう。そこで分かったのは彼はもう学生なのにスペシャルハンターとして国の活動をしていた。さすがに養成所と離れた魔族の国に送られる魔王討伐隊には参加してなかったけど。


 ここで実戦経験をつんで卒業と同時に勇者として任命されて世代交代って所なのかな。外れ勇者にはかわいそうだが、彼は強い。ただ僕よりは強くないな。彼は爆発系の力で派手な強さを持ってるけど、所詮はそれ以外は人間をちょっと超える程度しかない。

 僕は魔王を一人で倒せると思っていたのは彼を物差しにすると大げさな判断じゃないと思えた。ただ今の魔王がどれぐらい強いのか?は分からない。そこまで詳しい情報は知らない歴代の魔王の強さと較べてになる。


 卒業までにそれなりには知り合いと言うものが出来たと思う。ただここかなり短期間。もっと学びたいものは教師にならないと駄目らしい。学ぶために教師になるのか?ハンター資格を持ったものを教えるというのはこの学校の教師と交流を持つと言う事になる。それには教師になるのが早道だとなる。

 基本的には実戦のための養成所でそれは実戦から学んだほうが早いから。ハンター資格を持ったものがそれ以上になるため学ぶのは出来ない。それこそが力の限界になる。


 さて困ったやる事が無い…。養成所に居る間は関わりのある生徒も多かったのだが、卒業してしまうとまた孤独になってしまう。かと言って僕は村の出身者が基本なる一般的なハンターはできない。道として村に根付いて指導していくコーチ業がある。

 これはやりたくない。やるなら転々としていくなら良いのだが、そんなハンターは基本居ない。やっているうちに村に愛着も沸くだろう。それはある。ただそんなのいつだって出来る。


 僕はひらめいた。なら僕の村を作れば良いんじゃないか?と。後から人間関係が出来てる村に溶け込むから面倒なんだ。それを0から同条件で作るならすごく楽だ。元々一人で暮らしていたので、安全を確保してそこに農地でも作り人を呼び込めば良いかと。


 家の近くから始めることにした。ただ問題はこの辺りモンスターが多い。この国はモンスターが密集して生息する特別な地域がいくつもある。そこには人間が立ち入れない。基本その外のモンスター過疎地域がハンターが守る地域になる。

 すべてを解決するのは無理だが、せめて僕の家の近くならモンスターを徹底的に駆除して住みやすい土地に出来るかもしれないと僕は考えて実行する事にした。


 それなりの年月が経って、やっとそれなりには楽に暮らせる土地になってきた。ただまだこれじゃ他の地域に較べると危険だ。僕だから安全だと言えるけど一人のやれることには限界がある。確かに僕は強い負けない。でも強いモンスターを倒すことは出来ても数には対抗できない。


 学生時代の人間関係を使って若くして引退したハンターを探し、その人達を通じて引退した転生者などにも声をかけてもらうことにした。後は養成所に相談を持ちかけた。


「先生、僕は今モンスターの多発地帯でモンスターを駆除して人の住める土地にしようと活動しています。そういった事に興味のある人を探してもらえないでしょうか?」

「良いよ。それ面白い試みだと思う。学生にも声をかけようか?皆が村に戻って自警団をするわけじゃない。かと言って国のスペシャルハンターとして活動するわけでもないどっちつかずの中途半端な学生もいるんだよ。そういう生徒は飛びつくんじゃないかな」

「是非その生徒達に僕の活動を話してください」


 こうして僕は一つの村を作る事に成功する。これがきっかけとなり国が本腰を入れて僕の活動に協力してくれることになった。自分が作った村に未練はあったけど、僕は国の要請で次の新しい村の開拓事業に協力した。

 国に深く関わるようになると僕は勇者に選ばれてももう良いと言う気持ちができた。それで国に知られるのを承知で全力で戦うようになった。もちろん以前から全力で戦っている。ただ国が知らない中での活動だったので。


 しかし僕は勇者に選ばれる事は無かった。僕のこの活動のリーダーとしての力量をそのまま使って欲しかったようだ。僕はおそらく勇者レベルだと知られてると思う。ただ僕の同期が居たのが大きい。結局アルバートの存在が僕を助けてくれた。

 当たり前に勇者が居るのにわざわざ他で活躍してほしい僕を国は勇者として任命しなかった。それに日本の話は国の人にはしてなかった。



 その後羽佐間俊の活動はハンターの重要な任務として国に認められた活動として定着する。羽佐間俊が始めてのミドルハンターとして歴史に刻まれることとなった。


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